第44話:真の恐怖と勇者の足掻き
読者の皆様、こんにちは!
第44話では、古代竜イグニアとの激闘が最高潮を迎えます!
圧倒的な暴威を振るう炎帝竜に対し、レオンたち勇者パーティーとアクロシアの強者たちが総力戦を挑みます。
絶望的な戦いの中でレオンたちの脳裏に蘇る「ある真の恐怖」の記憶とは……!?
どうぞお楽しみください!
右翼を直撃した極大の金色の閃光[オーレリアン・ホーリーレイ]に、イグニアは空中体勢を大きく崩した。
炎帝竜は見下ろすように視線を走らせ、赤色のマントを羽織り、両手で大剣を構える一人の青年の姿を捉えた。
勇者の背後には、射手ロイと、詠唱を進める魔導士エリーナ、アンド最後方に控える聖女クララが構えていた。
「[シャープシューティング・アロー]!」
「[アクアグローブ]!」
水属性の魔力を纏った矢と巨大な水球が、寸分の狂いもなくイグニアの右翼の負傷箇所へと叩き込まれた。
激しい衝撃に耐えかね、イグニアは地面へと大きく失速した。しかし衝突の直前、巨大な両翼を猛烈に羽ばたかせ、強引にその巨躯を押し留めた。
翼が巻き起こした暴風は、周囲数キロメートルに及ぶ灼熱の炎壁と化して広がり、前線の兵士たちを吹き飛ばした。
(少し遊びが過ぎたか……だが、これで終わりだ)
イグニアは冷淡にそう確信した。
しかし、噴き上がる土煙と炎が晴れた場所には、傷つきながらも障壁に守られた者たちが立っていた。
アクロシア王国最強と称されるSランクパーティー——勇者レオンの仲間たちであった。
「くそっ、なんて威力だ……!」
ロイが口元の血を拭いながら毒づく。
「ええ、恐ろしいわね……」
魔導士エリーナも蒼白な顔で言葉を添える。
「クララの障壁がなければ、僕たちは全滅していたよ。助かった」
レオンが感謝を口にする。
「[エリアヒール]!」
クララは間髪入れずに自身を中心とした広範囲回復魔法を発動させ、パーティー全員の傷を癒やしていく。
「よし、反撃だ!」
レオンはイグニアに再飛翔の隙を与えぬよう、一気に距離を詰めて突撃を開始した。ロイとエリーナも間髪置かずにスキルの詠唱に入る。
正面から向かってくる人間を見たイグニアは、心の中で冷笑した。
(直進で突っ込んでくるとは……我を舐めているのか)
イグニアの口元に巨大な魔法陣が展開される。
[エンペラー・フレイム]——巨大な炎の濁流が、巨大な顎から解き放たれた。
同時に、レオンは跳躍し、聖なる魔力を大剣に限界まで充填させた。眩いばかりの金色の光芒が周囲を照らし出す。
「[オーレリアン・スラッシュ]!!」
レオンは迫り来る炎の奔流目掛けて刺突を放った。
[クーリングコート]の防護効果があるとはいえ、あまりの熱波に全身が灼かれるような激痛がレオンを襲う。しかし彼は歯を食いしばり、必死の覚悟で猛炎を切り裂いて突き進んだ。
ついにイグニアの吐き出した炎が途切れる。
「助かったよ、レオン!」
ロイとエリーナの叫びが重なり、再び翼の同じ傷口へとスキルが叩き込まれる。
「[シャープシューティング・アロー]!」
「[アクアグローブ]!」
イグニアは嘲笑った。
(無駄だ。同じ場所を攻撃したところで、我の再生能力ならば瞬時に……)
「[ダークエンド]!!」
その瞬間、地面に漆黒の魔法陣が浮かび上がり、天を突く光柱となってイグニアの翼を貫いた。
人類最強の宮廷大魔導士バーナードが、全生命力を賭して放った極大魔法であった。
「あとは……頼んだぞ、若者たちよ……」
バーナードはその場に崩れ落ちた。
翼を砕かれたイグニアが凄まじい音を立てて墜落する。
その衝撃波により跳ね飛ばされたレオンは、瓦礫の山へと激突しかけた。だがその直前、筋骨たくましい男が割り込み、その背中で激突を受け止めた。大将軍ヴェルナーであった。
崩れ落ちる石柱の下敷きになり、血を吐きながらもヴェルナーは大将軍として不敵に笑った。
「老いぼれの体が……少しは役に立ったようだな……」
「何を言っているのですか! あなたはまだお若いでしょう! ありがとうございます、将軍!」
「気休めを言うな……頼んだぞ、勇者殿……」
「任せてください! この命に代えても、この大地を守り抜いてみせます!」
翼を失ったイグニアは立ち上がり、怒りの咆哮を轟かせた。
ロイとエリーナは間髪入れずスキルを乱射する。
「[マルチアロー]!」
「[アクアスピア]!」
クララもまた障壁を展開し、回復を絶やさずに援護を続ける。
——その時、勇者たちの脳裏に過去の記憶がフラッシュバックした。
魔王討伐の勅命を受け、魔王領へと進軍していたあの日。
突然、軍全体が淡いピンク色の異空間へと転移させられた。
目の前に現れたのは、白い髪、頭上の角、オッドアイの瞳、そして長くて鋭い黒い爪を持つ美しい少女。
圧倒的な絶望の威圧感。軍の誰もが指一本動かせず、ステータスが激減していくのを感じた。
彼女が放ったたった一撃の中級スキルにより、全軍が瞬時に壊滅したのだ。
あの出来事は彼らの心に深いトラウマを刻み込んだ。
自分たちが生き残れたのは、ただ「彼女が気まぐれに生かしてくれただけ」なのだと知っていたからだ。
だからこそ、彼らは二度とあのような絶望に屈しないため、心を立て直し、血の滲むような修練を重ねてきたのだ。
(そうだ……俺たちは、これよりも遥かに恐ろしい『怪物』と対峙したことがあるんだ。あの奴に比べれば……こんなドラゴンなんて、怖くも何ともない!!)
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最後までお読みいただきありがとうございました!
第44話では、イグニアとの熾烈な攻防と、勇者パーティーを突き動かす「魔王」の圧倒的な存在感の記憶をお届けしました!
過去のトラウマを糧にして立ち向かう勇者たちの戦いは、どのような結末を迎えるのか!?
次回の展開もどうぞお楽しみに!
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それでは、次回の更新もお楽しみに!




