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第33話:神への経費請求と、勇者の即次元送還

いつもお読みいただきありがとうございます!


第33話は、駄女神様への容赦なき「経費請求」と、エルフたちの相変わらず重症なディバイン・フィルター、そして宴会に突撃してきた勇者レオンの「2秒退場」編です!

騒がしい外の宴会と、異空間での静かなお食事タイムのギャップをお楽しみください!


それでは、第33話スタートです!

「待ちなさいよぉぉぉぉっ!」


駄女神ガチャラの絶叫が宴会場内に響き渡る。彼女は人生最後の宝物でも守るかのように、いちごケーキの皿を必死に抱きかかえていた。


しかし、完璧な魔王衣装をまとった木咲リンは、表情一つ変えない。ジト目の奥には、プロのHR責任者らしい無慈悲な光が宿っている。


「魔王城調達規定・第4章第12条により、無料の給食福利厚生は『正しく雇用契約を結んだ従業員』のみに適用されます……」リンは手に持ったバインダーをすっと前に差し出した。「現在、あなたは『無所属の侵入者』の扱いとなります。したがって、いちごケーキ3個、アイスティー2杯、プリン1個の消費につきましては市場価格で計算し、あなたの復活ボーナスから控除させていただきます」


「このドケチ魔王めぇぇぇぇっ!」


駄女神は椅子の上でジタバタと悶絶した。


一方、エルフたちのテーブルでは……。


[検知:神聖認知歪曲ディバイン・フィルターが突発的に作動しました]


エルフの女王は胸の前で手を組み、感涙にむせびながら騒ぐ女神を見つめていた。


*(おお……女神様は魔王の心を『節約の試練』によって試しておられるのですね! なんと神聖で、奥深い哲学に満ちたお姿でしょう……)*


となりの狼族の将軍は、肉を噛みちぎりながら哀れみの視線を女王に向けた。

*(まあ……そう思わせておいた方が精神衛生上安全だな)*


---


実は、この宴会が始まる前のこと——。


夕方17時。定刻の退勤時間となり、いつも通り魔王城で雑務を手伝っていた勇者レオンは、リンに決闘を申し込もうと剣を抜こうとしていた。


しかし、狼族の将軍が彼の肩をポンと叩いて引き止めたのだ。


「今日はやめておけ勇者殿。今日の魔王様はエルフの女王の歓迎宴会で大忙しなんだ。今日は帰って休みなさい」


そう言われたレオンは肩を落とし、城の外のベンチで寂しそうに丸くなっていた……。だが時間が経つにつれ、リンに会いたい、戦いたいという衝動が抑えきれなくなり、宴会の真っ最中に突撃してきたのだ!


[ドォォォンッ!]


宴会場の巨大な扉が豪快に押し開かれた!


神聖な青いオーラと眩い光の粒子が部屋中にあふれ出し、エルフたちが思わず目を手で覆う!


「そこまでだ、魔王リン!!」


重厚で力強い声が響き渡る!


金髪碧眼の美青年が、光のヴェールをまとって現れた。白と金の騎士甲冑に身を包み、真っ赤なマントをたなびかせ、右手には『聖剣オーレリアン』を構えてリンを凛々しく指さしている!


「ゆ……勇者レオン!?」エルフの女王が驚愕の声を上げた。「なぜ人間族の勇者がここに!?」


リンはゆっくりと手元のティーカップをテーブルに置いた。ジト目には、仕事の邪魔をされた働く大人の気だるさが浮かんでいる。


*(勇者さんが来たのですね……)*


レオンは剣を突きつけ、意気揚々と宣言する。「お前の暗黒の時代もここまでだ! 俺は——勇者レオンは、命に代えてもお前を——」


「本日は決闘休止です」リンが無慈悲に遮った。


「は?」


*シュン……ッ!*


レオンの姿が一瞬で消え去った。


「どうぞ、控室の方で食事をお召し上がりください」リンはまるで毎日のルーティン業務をこなすかのように淡々と言った。


女王とエルフたちは目を丸くし、言葉を失った!


「な……何が起きたのだ!? 勇者はどこへ!? 瞬殺されたというのか!?」エルフの一人が怯えながら叫ぶ。


近くでビールを飲んでいたガスガルが肩をすくめた。「気にしなくていいですよ、毎日いつものことです」


リンはガスガルに向き直ると、淡々と指示を出した。「ガスガル、あの方たちに料理を届けるよう手配してください」


---


*シュン……*


「遅かったですね、勇者さん」


いつものように女神の固有結界へと転送されたレオンは、飛ばされたこと自体には驚かなかった……だが、目の前の光景には目を丸くした。リンの分身が真っ白な椅子に座り、目の前には真っ白なテーブルが置かれていたのだ。


その時、空間に丸い穴が開き、メイド服を着た獣人の少女がワゴンを押して入ってきた。


「魔王様からのお食事のお届けです」そう言ってメイドが豪華な料理をテーブルに並べ始める。


レオンはきょとんとした顔で歩いていき、分身リンの向かい側の席に腰掛けた。


「今日……本当に戦わなくていいのか?」レオンはおそるおそる尋ねた。


「本日は宴会ですので」


「で、俺は何をすればいい?」


「お食事を」


「それだけ?」


「はい」


*パッ!*


[検知:勇者レオンが「VIPゲスト」ステータスに入りました]

[アクセス権:無料食事提供 / 騒擾行為の禁止 / スタッフへの挑戦禁止]


目の前に現れたAIのシステムメッセージを見たレオンは、頭を抱えて小さくため息をついた。


「……なんだか、俺の勇者としての役割がどんどん削られていっている気がする」


賑やかで騒がしい外の宴会とは裏腹に、女神の異空間の中では、静かで穏やかな小さな宴がひっそりと繰り広げられるのだった。

駄女神様から容赦なく食費を回収するリンちゃんと、相変わらずかっこよく登場して2秒で次元送還される不憫な勇者レオンでした!(笑)

異空間でリンちゃんの分身と一緒にご飯を食べるレオンの図も、どこかほのぼのしていて良いですね!


少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】**や**【フォロー】**、**【評価(★★★★★)】で応援していただけると今後の大きな励みになります!


次回もお楽しみに! ✨

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