第32話 VIP待遇と、神に請求書を叩きつける魔王
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第32話は、エルフの女王自らが率いる「200名のエンジニア軍団」の魔王城訪問編です!
冷徹かつ圧倒的なVIP待遇と、ホワイト環境の象徴である「アレ」の登場に、エルフたちが再び脳内ショートを起こします。さらに、調子に乗って降臨した駄女神様へのリンちゃんの容赦ない「請求」をお楽しみください!
それでは、第32話スタートです!
早朝、魔王城の城門前でのこと——。
書類を一枚ずつ丁寧にチェックしていたリンのもとへ、ガสガルが息を切らせて駆け込んできたくと、その場にバシッと膝をついた!
「ご報告いたします、魔王様! エルフ族の訪問団が城門前に到着いたしました! それと……その、エルフの女王陛下自らがご同行されております!」
リンは書類から目を上げ、波ひとつ立たない平然とした眼差しを向けた。
「了解しました……。接待部門に指示を出し、VIP受け入れの標準手順(SOP)を厳格に維持して出迎えてください」
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【大門前での謝罪と、ホワイトな気配り】
魔王城の壮大な大門の前——。
豪華な王服を身にまとったエルフの女王と、200名のエルフエンジニアおよび将軍たちが、ガチガチに緊張した面持ちで待機していた。そこへリンが迎えの陣営を率いて歩み寄ってくると、女王は慌てて一歩前に出で、深々と頭を下げた!
「魔王リン様……樹海を統べる者として、先日の不躾な対応と無礼を深長にお詫び申し上げます……。あのように気絶して失態を晒したこと、外交上、極めて恥ずべき失策でございます」
後ろに控えるエルフの幹部たちも、恐縮しきった様子で平伏している。
リンは頭を下げる女王を無表情で見つめ、一定のトーンで口を開いた。
「お気になさらないでください。従業員およびパートナー企業の健康と安全は常に最優先事項です。業務時間中の貧血失神は起こり得る事態です……。魔王都市へようこそ」
女王はパチクリと目を丸くした。
(お、怒っておられぬどころか……労働者の健康管理の一環として処理されただと……!?)
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【エアコン神社と、狂気の137項目】
「急なご到着でしたので、現在お食事と客室を準備させております。その間に、都市の施設および作業現場をご案内いたします」
リンが手で示すと、エルフ一行は都市の中へと足を踏み入れた。完璧に区画整理された清潔な街並み、先進的な都市計画、そして笑顔で暮らす多種族の住民たち……エルフたちは言葉を失って圧倒された。
だが、街を進む途中で、女王の視線がある「純白の神殿」でピタリと止まった。そこにはなんと……【女神ガチャラ】の石像がドカンと鎮座していたのだ!
「な……あそこは!?」女王は声を裏返し、杖を指差して震えた。「女神様の神殿!? なぜ……なぜ魔王の統治下に神聖なる施設が存在するのですか!?」
「ああ……女神さんの神殿ですか?」リンは首を少し傾げた。「中へどうぞ」
ギィィ……。
リンが重厚な扉を開け放つ。
フゥゥゥゥゥ……!
扉をくぐった瞬間、冷たく心地よい24度の涼風がエルフたちの顔を吹き抜けた!
「あ……っ!」
女王も幹部たちも思わず深呼吸をし、全身の緊張がスッとほぐれていくのを感じた。
「この感覚はなんだ!?」参謀が目を見開く。「外は蒸し暑いというのに、室内は澄み切った冷気で満ちている……しかも害のある魔力感知はゼロ! これほどの広範囲気象制御魔法だというのか!?」
リンは壁に設置された白い長方形の金属箱を指差し、淡々と説明した。
「このプロトタイプは女神さんが作成したものです。私は構造を解析し、量産用に仕様変更しただけに過ぎません」
女王は困惑気味に眉をひそめ、尋ねた。
「なぜ……兵器ではなく、このような冷房装置を優先して作ったのですか?」
リンは魚の目のようなジト目で女王を見つめ、即答した。
「作業環境が劣悪だと、研究員の生産効率が低下するからです」
しーーーん……。
神殿内は静寂に包まれた。エルフたちは開いた口が塞がらず、脳内ショートを起こしていた。
(あ、我々の森に攻めてきたのも……)
(あの圧倒的な魔法で威圧してきたのも……)
【エルフたちの脳内共通認識:】
>『すべては……エアコンを作るための回路設計エンジニアが欲しかっただけなのかーーーっ!?』
リンは動揺する彼らをよそに、書類バインダーをペラリとめくった。
「エアコンだけではありません」
ヒッ……!
「ま、まだあるというのか……!?」
「次は魔法冷蔵庫、魔法温水器、魔法洗濯機、および家電魔法製品の開発プロジェクトが約137項目控えています」
「百三十七項目の巨大家電企業かよぉぉぉっ!?」参謀は心の中で悲鳴を上げた。
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【神の降臨と、ディバイン・フィルター】
見学を終えた後、一行は高級迎賓館へと案内された。
夕方には豪華な「緊急歓迎バンケット」が開催され、長テーブルには絶品料理と冷えたハーブティーがずらりと並べられた。ふかふかの椅子に座り、冷たいカモミールティーを嗜む女王は、200名のエルフたちが奴隷扱いされることもなく幸せそうに食事する姿を見て、長く息を吐いた。
(案外……この魔王に『雇用』されたことは、我が族にとって千年ぶりの幸運なのかもしれぬ……)
そう思った瞬間であった!
ブワッ!
会場の中央にまばゆい金色の光が溢れ出し、神話の衣装をまとった【女神ガチャラ】が降臨した!
ガタッ!
参謀の手にあった tea cup が落ちかけ、女王は全身を硬直させた!
「み……み言の女神様が直接降臨されただと……!?」
エルフのエンジニアが、となりに座る狼族の戦士に囁く。
「あの……あの方は本物の女神様ですよね!? なぜ魔王様とあそこまで親しげに……?」
狼の戦士は肩をすくめた。「ああ、気にしないでください。俺たちもよくわかりませんが、いつもあんな感じで遊びに来るんですよ」
近くにいたリンが静かにカップを置き、割り込んだ。
「親しくなどありません……。ただの『トラブルメーカーな元雇用主』です」
ピコンッ! (AIスキャン通知)
【分析:女神への信仰度が高い観察者は『ディバイン・フィルター(神聖認知歪曲)』が自動発動します】
【女神の行動は、観察者の脳内で勝手に聖なる儀式へと変換されます】
【現実に起きていること:】
女神はリンの隣の席にバタッと座り込み、ジタバタと足をバタつかせて駄々をこねている。
「リンちゃぁぁん! ストロベリーケーキおかわりぃぃ! お腹すいたぁ!」
【エルフたちのフィルター越しの視界:】
エルフの貴族が涙を流して胸を押さえる。「おお……菓子をお求めになるそのお手つきすら……なんと慈愛と神威に満ちあふれているのだ……!」
女王は口をぽかんと開け、冷めたお茶を飲み干した。
(あの女神様をあそこまで素っ気なくあしらう女に……どうやって勝てというのだ……)
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【容赦なき請求書】
ピコンッ!
【通知:女神がストロベリーケーキ3個、アイスティー2杯、プリン1個を消費しました】
リンは冷ややかなジト目で女神を凝視した。「女神さん」
ケーキを口いっぱいに頬張っていた女神がビクッと跳ね上がる。「な、なによ!?」
リンはビジネスライクに言い放った。「飲食費の経費精算書にサインをお願いします」
しーーーん……。
会場全体が静まり返った!
女神は慌てて手をぶんぶんと振る。「私、女神なんですけどぉ!?」
リンは一秒の猶予もなく即答した。
「未払いの給与と一緒に口座へ振り込んでください」
「ちょっと待ちなさいよぉぉぉぉっ!?」
エアコン作りのためにエルフをスカウトしたという真実を知り、ショックを受けるエルフたちでした!(笑)
そしてどれだけ神聖に見えようとも、食い逃げを許さずしっかりと経費請求するリンちゃんの徹底したビジネス態度が炸裂しましたね!
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次回もお楽しみに! ✨




