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第23話:フィルターの付け忘れ、レイヤーデビュー、そしてゴシックギャルの誕生

いつもお読みいただきありがとうございます!


第23話は、リンちゃんの高校での新学期がスタート!

……と思いきや、究極のめんどくさがりを発動した結果、隠蔽フィルターを付け忘れる痛恨のミス!

ここから勘違いだらけのドタバタ劇が始まります。


ぜひお楽しみください!

清々しい新学期の初日の朝。


リンは脳の起動率がまだ5%にも満たない寝ぼけ眼で目を覚ました。だるそうに起き上がり、いつもの高校の制服へとゆっくり着替えていく。


魔王となった今の顔も、元々のリンの顔の型を100%そのまま流用したものだ(ただ、宇宙の根源たる力によって肌のツヤやオーラ、美しさが段違いにパワーアップしているだけである)。鏡を見ながら、リンは頭の中で適当な計画を立てていた。


*(……家を出るときに、髪を黒くして、角を消して、爪を隠して、目の色を普通に戻す隠蔽フィルターを付ければいいですかね。脳のエネルギーの節約になります)*


しかし……極度の眠気と、夏休み中に魔王の姿のまま家で過ごしすぎた慣れが災いした。リンはスクールバッグを掴むと、ノロノロと玄関のドアを開け、そのまま学校へと歩き出してしまった。


**隠蔽フィルターのスイッチを押し忘れたまま!**


◇◇◇


いつものように教室に入り、一番後ろの席に着いたリン。ふと窓ガラスに映る自分の姿が目に入り……透き通るような白銀の長髪、赤と青の鮮やかなオッズアイ、頭から生えた美しく立派な一対の竜の角、そして黒く伸びた爪。


*(……あら? フィルターを付け忘れていましたかね?)*


リンは3秒ほどフリーズした。200 IQの頭脳が超高速で演算を開始する。


*(今ここでフィルターを起動したら、目の前で髪も角も消えてクラスメイトに目撃されてしまいます……。手遅れですね。流れに身をまかせましょう)*


リンが腹を括る間もなく、担任の教師が*ガラッ!*とドアを開けて朝のホームルームを開始した。教壇から教室を見渡した教師は、一番後ろの席で異彩を放つ白髪の少女を見つけるやいなや、眉をピクピクと痙攣させた。そして真っ直ぐリンのもとへ歩み寄り、彼女のオッズアイと視線を合わせる。


「キサキ……夏休み中に髪を染めたのか?」


リンはジト目の無表情のまま、真っ直ぐ先生を見つめ返して淡々と答えた。


「はい」


「校則違反だぞ。後で職員室に来なさい」教師は大袈裟にため息をつき、最近の若者に呆れた様子を見せた。そして、リンの頭から生える美しく鋭利な対の角を指差す。「それと、その角も外しなさい」


リンは一瞬黙り込んだが、死んだ魚の目を変えることなく告げた。


「……外せません」


担任は白髪にぴったりと馴染んでいる漆黒の角をまじまじと観察し、ポンと手を叩いて納得したように頷いた。


「そんなに強力な接着剤でつけているのか……」教師は頭を振る。「次はつけてくるんじゃないぞ、分かったな?」


「はい」


リンは淡々と返事をした。心の中では冷ややかにツッコミを入れている。


*(……本物の角です。外せるわけないじゃないですか)*


◇◇◇


教師が教壇に戻った瞬間、興奮を抑えきれなかったクラスメイトたちが、目を輝かせて一斉にリンのデスクを取り囲んだ!


「キャァァァ! キサキさん! これ一体どうしたの!? たった一ヶ月見ない間に、教室の陰キャだったキサキさんがコスプレ界にデビューしたの!? 初日から気合い入りすぎでしょ!」女子生徒Aが悲鳴を上げる。


「おいキサキ! 小道具のクオリティ凄すぎだろ! 先生に怒られても『外せません』って無表情でキャラ作り徹底してんのマジでワロタ! つーかその白髪ウィッグどこで買ったんだよ? シルクみたいで全くボサボサ感ねえじゃん!」男子生徒Bが興奮気味に身を乗り出す。


「そのオッズアイって年用のカラコン? 超発色いいんだけど! あと爪のやつ、ネイルチップ? それともジェルネイル? ペン握るの不便じゃない? ハハハ! コスプレ好きだったんだ! 何のキャラのコスプレなの!?」女子生徒Cが質問を畳みかける。


止まらない質問の嵐に対し、リンは静かに息を吐いた。漆黒の長い爪で少し不器用そうにノートを開き、いつものローテンションな声で答える。


「あー……私が考えたオリキャラ(OC)です。最近ハマっていて、学校に着てきてしまいました」


「うおぉぉ! クールすぎるだろキサキさん! 無表情なノリがマジで魔王っぽくて最高!」


その日一日、リンは「制服を着た完全体の魔王」として授業を受ける羽目になった。数学の時間には鋭い黒爪で慎重にコンパスを扱い、体育の時間には頭の角で風を切りながら走った。全校生徒が感嘆の目を向け、誰もが口を揃えてこう思ったという。


『4組のキサキ、マジでイカれてるな。初日からオリキャラのコスプレで登校して、一日中死んだ魚の目でキャラ維持し続けるとか、神レベルのレイヤーだわ!』


当のリンは、黒板を眺めながら心底だるそうに考えていた……。


◇◇◇


夕方、魔王城にて。


「リンちゃん……今日、隠蔽フィルター付け忘れたでしょ?」


浮遊するソファで紅茶を飲んでいたポンコツ女神が、ニヤニヤしながら尋ねてきた。


「はい」と短く答えるリン。


「で……? どうだったの? 学校初日は?」


「……一日中質問攻めに遭いました」


「ギャハハハハ! ざまぁみろー! IQ200の頭脳でフィルターの付け忘れとかアホすぎるでしょ! ギャハハ!」女神は腹を抱えて爆笑し、手を叩いて煽り立てる。


リンは無言で、テーブルの上に置かれた**厚手のファッション誌**へとゆっくり手を伸ばした。それを死んだ魚の目のまま丸め、凄まじい殺気を放ちながら紙筒を作り上げる……。


「……ちょっと待ってぇぇ! ごめんなさい! その雑誌だけは――キャァァァァァ!」


*——ビシィッ!*


◇◇◇


翌朝。


リンは昨日よりもずいぶんすっきりとした気分で登校していた。髪色や目の色までコードを書き換えるのは脳のエネルギーの無駄だと判断し、今日は「角を消す」という一点だけに絞ってフィルターを起動したからだ。白銀の髪、オッドアイ、漆黒の爪はそのまま維持されている。


彼女が教室に足を踏み入れた瞬間……静寂が3秒間訪れ、昨日以上の歓声が巻き起こった!


「キャァァァ! キサキさん! 今日は角がない……でも白髪とオッズアイはそのままだ! まさかこれ、コスプレじゃなくて『ギャル化』なの!?」女子生徒Aが叫ぶ。


「うおっ! マジだ! 爆イケのホワイトブリーチに、ダークな黒ネイル、派手めなカラコン……これ『ゴシックギャル』じゃん! めっちゃイケてんぞキサキ! 陰キャから一気にファッションアイコンになってんじゃねえか!」男子生徒Bが目を丸くする。


「キサキ……」服装検査にやってきた担任が頭を抱える。「角は外したようだな、偉いぞ……だが、その真っ白な髪は相変わらず校則違反だ!」


「すみません先生。永久ブリーチをしてしまったので、すぐには戻せないんです」リンは無表情ギャルのノリで淡々と嘘をついた。


「ハァ……今の若者はまったく! まぁいい、奇妙な角よりはマシだ。次は怪しい髪色にするんじゃないぞ!」先生は額を押さえながら諦めて去っていった。


リンは一番後ろの席に着くと、頬杖をついて窓の外を眺めた。心の中はとても穏やかだ。


*(……角を隠すだけなら最小限のパワーで済みますから、全然疲れませんね。皆さんが私を『白髪のヘヴィギャル』と勘違いしてくれたおかげで、変に絡まれることもありませんし、授業中に堂々と寝ていてもバレにくそうです。好都合ですね)*


---



最後までお読みいただきありがとうございました!


新学期初日の結果:陰キャ少女から一転、学校公認(?)の「ゴシックギャル」へと鮮やかな変身を遂げたリンちゃん!


そして今回もポンコツ女神を黙らせるファッション誌の活躍にご注目(笑)!


次回からは、リンちゃんの要望による魔王城での『魔導エアコン』開発プロジェクトが始動します!


少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】**や**【評価(★★★★★)】で応援していただけると励みになります!


次回もお楽しみに!

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