第21話 AIアナウンスと、ファッション誌の惨劇**
いつもお読みいただきありがとうございます!
今回は夏休みのある日の魔王城にて——怠惰な女神の「手抜き計画」と、AIシステムのアナウンス、そしてリンちゃんの「激怒のファッション誌殴打」が引き起こすカオスな日常をお届けします!
ぜひお楽しみください!
夏休みのとある穏やかな夜。ポンコツ女神はお菓子とゲーム機を両手に抱え、怪しさ全開で魔王城の玉座の間へと忍び込んできた。玉座に寝そべり、人間界の最新ファッション誌やコスメトレンドを無表情でチェックしているリンは、特に気に留める様子もない。
「ねえねえ、リンちゃん~! 今日も一緒にゲームしようよ~!」
女神が甘ったるい声を出しながら歩み寄ってくる。
「今日は静かに雑誌を読みたいんです」
リンはページから目を逸らさずに淡々と答えた。
「もう~、雑誌なんていつでも読めるじゃない! あ、そうだ! リンちゃん知ってる? その体にある『女神の領域』ってスキル、実は裏の制御システムを細かく『設定変更』できるのよ!」
女神は物知り顔で玉座に近づく。
「設定……ですか?」
「そうよ! 普通は『リンちゃん自身』に害が及ぶ時だけ自動防衛が動くでしょ? でもターゲットの範囲を広げられるの! 自分の身を守るだけじゃもったいないじゃない?」
そう言うやいなや、女神は心の中でニンマリと笑い、リンのスキルホログラム画面にこっそり触れて設定を勝手に書き換えようと手を伸ばした。
——ビシッ!
「いたぁぁぁい!?」
ジト目のリンによって速やかかつ正確に手を叩き落とされ、女神は手をぶんぶんと振ってのたうち回った。
「何をする気ですか? また私に災害の防衛仕事を押し付けようとしましたね」
200 IQの頭脳を持つリンには、この怠惰な上司がゲーム中に自分の防衛システムを自分に丸投げしようとしていることなどお見通しだった。
◇◇◇
作戦が露見した女神は、漆黒の床に崩れ落ちてダダをこね始めた。
「うわぁぁぁん! リンちゃんのケチ! ちょっとくらい手伝ってくれたっていいじゃない! 最近『宇宙破壊バグ』の怪物が時々湧いて出てくるのよ! 出現するたびに私がランクマッチの大事な一戦をやってる最中なんだから! いちいちゲームを中断して倒しに行くの大変なのよ!」
「なら、あなたの『女神の分身』スキルを使えばいいじゃないですか。自動で処理させておけばいいでしょう」
「だって分身スキル、最近システムバグを起こしてるんだもん! 召喚してもモンスターと戦うどころか、コントローラーを持って私とゲームの奪い合いを始めるのよ! おまけに私の魔力を無駄食いするし! だから分身スキルを外して、自分で倒しに行くしかなかったのよ!」
「だから私に押し付けようとしたわけですね……」
「お願いよリンちゃん! リンちゃんの領域システムに『宇宙全体』を紐づけて設定して! リンちゃんがここで魔王のバイトのスタンバイをしてる時だけでいいから! ね? ね? 美人なリンちゃん! いい子のリンちゃん!」
女神は玉座の脚にしがみつき、耳元で大声で騒ぎ続けた。あまりのしつこさに、リンの額にはピキピキと青筋が浮かび上がる。
「わかりました……スイッチをスライドさせてオンにすればいいんですね? 静かにしてください」
リンは深いため息をつくと、ホログラムウィンドウに手を伸ばし、脅威検知の設定を【宇宙全体】へと切り替えた。
◇◇◇
リンの指先が設定変更を完了した瞬間——
機械的でありながらどこか明るく無機質なAIシステム音声が、魔王城全体に朗々と響き渡った!
『——システムAIアナウンス【女神の領域】——』
『——敵対的意図を検知』
『——ファースト・プライオリティ:対象をロックし、ステータス『ちょっと待ってね』を強制付与……完了』
『——対象を『女神の領域』へ転送……完了』
『——自動処理用分身を生成……完了』
システムは完璧に作動した。宇宙破壊級の大ボスは即座に『女神の領域』へと引きずり込まれ、リンの自動処理用分身もプログラム通りに生成された。
しかし……玉座に座るリンから放たれる暗黒のオーラによって、室内の温度は氷点下まで急降下していた。
彼女は心底ブチギレていた。女神にしつこく絡まれた挙句、お気に入りのファッション誌のページを読むのを邪魔されたからだ。
リンは手にした雑誌を「バサッ!」と折りたたみ、それをぎゅっと丸めて固い紙筒を作り上げた。
「リ、リンちゃん……? システムが勝手に分身を作って領域内で処理してくれるわよ……?」
「分身は動作がトロいので……不快です」
冷徹な声と共に、リンは立ち上がると**次元を跳躍**し、自ら『女神の領域』の中へと直接ワープした!
◇◇◇
『女神の領域』の静かな空間内では、宇宙破壊級の巨体が『ちょっと待ってね』状態で微動だにせず固まっていた。その隣では、リンの自動分身が拳を構えて殴りかかろうとしている。
だが、次元を割って現れたリン本人は、自分の自動分身の前を横切り、巨体へ一直線に歩み寄った。
そして、星を粉砕できる神級の物理筋力100%を腕に込めると、固く丸めたファッション誌を振りかぶり、大ボスの顔面へ叩きつけた!
——ビシィッ!!!
「あなたが……!」
——ビシィッ!!!
「私に……このページを……読み切らせなかったからです……!!!」
——ビシッ! ビシッ! ビシッ! ビシッ!
紙筒が巨体を殴打する乾いた音が空間に響き渡る。リンは魔法もスキルも一切使わず、純粋な「生の物理力」だけで無抵抗の怪物をめった打ちにした。構えていた自動分身すら手を止めて呆然と立ち尽くす中、黒い怪物の巨体はみるみるくしゃくしゃに歪み、塵となって砕け散った!
——シューッ……。
怪物が消滅すると、リンはパンパンと雑誌のホコリを払い、何事もなかったかのように**玉座の間へワープで帰還**。そのまま何食わぬ顔で雑誌の続きを読み始めた。
ライブ映像で見守っていた魔王城の部下たち:
「す、素晴らしい……! 流石は魔王様! 古代の聖なる黙示録を一振りされただけで、分身が動く暇すら与えず、世界を滅ぼす悪魔を塵に還されるとは! まさに無敵……!!!」
一方、部屋の隅に隠れていたポンコツ女神は、頭を抱えて心の中で絶叫しながらドン引きしていた……。
「えーっと……普通は私もスキルで攻撃するんだけど……」
「リンちゃん……」
「ファッション誌で殴り倒しちゃったんだけど……」
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
AIシステムの無情な「ファースト・プライオリティ」と、リンちゃんの容赦ない物理攻撃(ファッション誌)による瞬殺劇でした(笑)。
次回からは新章スタート!
新学期を迎えたリンの日常と、次なる魔法道具『エアコン(?)』の開発、そしてエルフの森編へと物語が繋がっていきます!
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次回もどうぞお楽しみに!




