第20.5話 魔王城の静まり返った寝室
いつもお読みいただきありがとうございます!
今回は、勇者誕生編の直後——魔王城の寝室で明かされる「創世の神様が消えた本当の理由」をお届けします!
権限設定の罠が生んだ宇宙規模の事故(?)、ぜひお楽しみください!
魔王城の静まり返った寝室。
ベッドの上でゴロゴロと転がりながら、ポンコツ女神は今日も今日とて自分のゲームの成果をまくし立てていた。無料チケット一発で限定キャラを引き当てただの、ランクマッチで連勝してサーバーTOPに立っただの、自慢話は止まらない。
「見た!? リンちゃん! 本気を出した私にかかれば、この程度の偉業なんて朝飯前なのよ!」
「はいはい、すごいですね……」
リンは人間界から取り寄せた最新のファッション誌に目を落としたまま、顔も上げずに淡々と生返事を返す。
だが次の瞬間、さっきまで騒がしかった女神がピタリと口をつぐんだ。
彼女は仰向けになり、天井をじっと見つめながら、珍しく静かで落ち着いたトーンで呟く。
「……ねえ、リンちゃん。実はね、この宇宙も、この星も、魔法の仕組みも……ぜーんぶ、その昔に『絶対的な創世の神様』が創ったものなのよ」
リンはページをめくる手をわずかに止め、黙って耳を傾ける。
「私みたいな『女神』や他の神々も、元はその神様に生み出された存在に過ぎないの」
女神は小さく息を吐き、話を続けた。
「創世の時、神様は星を一つずつ創るなんて面倒なことはしなかったわ。世界を自動生成する『コア(Core)』っていうプログラムだけ置いて、あとはコアに生命や次元を勝手に作らせて、自分は数百万年の長期スリープに入っちゃったのよ」
「手抜きですね……誰かさんにそっくりです」
雑誌を読みながら、リンがボソッと呟く。
「失礼ね! 私の方が100倍働いてるわよ!」
女神はガオッと牙を剥いて反論してから、再びトーンを落とした。
「でもね、神様が目を覚ました時には、次元の歪みから生まれた『邪悪な生命体』が暴れ回ってて、宇宙が崩壊寸前だったの。生き残ったのは、リンちゃんの元いた世界と、私が管理するこの異世界の二つだけ。そこで神様は『創世者の領域』**っていう超チートスキルを創ったの。『宇宙や神自身に害をなす脅威を検知したら、システムが即座に完全消去する』っていう絶対権限ね。……でも、トラブルが片付いたら神様はまた飽きちゃってさ。私に『女神の領域』っていう廉価版スキルを渡して管理を丸投げしたの。その時、神様の自動システムより先に私の処理を実行させる権限——**『ファースト・プライオリティ(優先処理権限)』を組み込んだわけ」
「……で、その神様はどこに行っちゃったんですか?」
リンが雑誌から目を離し、まっすぐ女神を見つめた。
すると女神は引きつった笑いを浮かべ、額から嫌な汗を流し始める。
「あー……それがね。ある日、私の領域内に真っ黒な巨大な塊が現れたの。分身体から『創世の神様ご本人です!』って報告が入ったから、うやうやしく『何をしておられるのですか?』って聞きに行ったのよ。そしたら神様、真顔で『飽きたから、試しにこの宇宙消してみようと思って』って言ったの!」
リンは即座に眉をひそめた。
「……本気で腹が立ちますね。サイテーな神様です」
「でしょ!? 私、ブチギレちゃって!『こっちは不眠不休で世界を管理してんのによぉ!』って、勢い任せにその顔面をフルスイングで**ビンタ**しようとしたの! でも手が届く直前に青ざめたわ。『やばい! 神様には脅威を消去するスキルがあるじゃん! 叩いたら私、消滅させられる!』って! あの瞬間はもう目をギューッと瞑って覚悟を決めたわよ、リンちゃん!」
「……なら、なんで女神様は無事で、ここでゲームなんてしてるんですか?」
「それこそが宇宙史上、最も笑えるオチよ!」
女神はカラカラと大笑いした。
「『バシッ!』って快音が響いて目を開けたら……私の体は五体満足のままで、**なぜか創世の神様の方が光の露になって永遠に消滅しちゃってたのよ!!**」
リンは3秒間フリーズし、その優秀な頭脳でシステム理論を組み立てた。
「まさか……『ファースト・プライオリティ』のせいですか?」
「大正解! 神様が『トラブル処理のために女神の権限を優先する』って設定にしてたでしょ? そして宇宙を消そうとした神様自身が、システムから『最大級の危険脅威』と判定されたの! 私の『ファースト・プライオリティ』が神様の『創世者の領域』より先に割り込んで発動して、神様を私の『女神の領域』に強制引きずり込み! 領域内絶対ルールで神様のスキルを全BANして、ステータスを50%奪って私に加算! 結果、平社員の優先権限で社長がシステムから永久削除されちゃいました☆ ちなみに『創世者の領域』にも似たような自動防衛機能はあったんだけど、私のファースト・プライオリティがそれを上回る最優先階層に設定されてたのよね!」
リンはどん引きした表情で、目の前のポンコツ女神を見つめた。
*(……つまり私は、システム権限の事故で神様を平手打ちして消滅させた自堕落GMの下でバイトしてるってことですか? よく滅びずに残ってましたね、この宇宙……)*
「というわけで! 今は私が神様の超スペックゲーミングPCで世界を管理してるってわけ!」
女神が誇らしげに胸を張るのを見届け、リンは深々とため息をついて、静かに目を閉じるのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
神様が消えた衝撃(?)の真相はいかがだったでしょうか!
絶対的な存在すらシステム権限の罠で事故死させてしまう、リンと女神の最凶コンボの恐ろしさが垣間見えたエピソードでした(笑)。
次回からは新章スタート!
新学期を迎えたリンの日常と、次なる魔法道具『エアコン(?)』の開発、そしてエルフの森編へと物語が繋がっていきます!
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次回もどうぞお楽しみに!




