第20話:勇者誕生と、消えた神様
いつもお読みいただきありがとうございます!
第20話をお届けします。
これにてレオンの過去編(勇者誕生編)が堂々の完結!
絶望の王都決戦、SSR聖剣の授与、そして現在へ——。
創世の神の行方とは……?
ぜひお楽しみください!
「遅かったじゃないか……」
血と汗に塗れ、満身創痍のギルド長がそう呟くと同時に、その場に膝をついて倒れ伏した。
「ギルド長さん!【ハイヒール】!」
駆け寄ったクララが即座に回復魔法を唱える。レオンは倒れるギルド長を一瞥し、力強く頷いた。
「クララ、ギルド長を頼む! ロイ、エレナ、行くぞ!」
「了解!」
「任せてください!」
クララは即座に立ち上がり、残る魔力を振り絞って3人に強化魔法を重ねがけした。
「【ブレス】!【ラッキーラック】!【ホーリーシールド】! みんな、負けないで!」
聖なる光がレオンたちを包み込む。
王都アクロシアは強力な騎士団を擁することで有名だが、遠距離攻撃をこなせる優秀な魔導師や射手は極めて少ない。上空を埋め尽くすワイバーン群に対抗できるのは、実質的にSランクパーティであるエレナとロイだけだった。
「中級魔法で十分だ! 羽だけを狙って撃ち落とせ! 落ちた奴は俺たちが地上で仕留める!」
レオンの的確な指示のもと、エレナの貫通魔弾とロイの精密射撃がワイバーンの翼を次々と穿つ。
墜落したワイバーンを、レオンと動ける騎士たちが一気に殲滅していく。
不眠不休の凄惨な消耗戦。全員が限界を迎え、荒い息を吐きながらも、ついに最後のワイバーンが地へと落ちた。
「や、やった……!?」
「勝ったぞー! ワイバーン群を退けたぞー!」
歓喜の声を上げる民衆とアクロシアの騎士たち。
——だが、その喜びは一瞬にして凍りつくこととなる。
フッ……フッ……。
静まり返った戦場に、重苦しく不気味な羽ばたき音が響き渡った。
上空の暗雲を割って姿を現したのは、通常の倍以上の巨躯を誇る【エリアス・ブラックワイバーン(変異種)】だった。
「な、なんだあの大きさは……」
「嘘だろ……もう力なんて残ってないぞ……」
絶望が戦場を支配する。ブラックワイバーンが巨大な翼を一はためきさせると、猛烈な暴風が巻き起こり、満身創痍の騎士たちが次々と吹き飛ばされた。
クララの張った【ホーリーシールド】のおかげで直撃こそ免れたものの、立っていられるのはレオンたちだけだった。
「ハッ、マジで死にそうに強いじゃねえか……!」
ロイが吐血しながらも弓を構える。
「ええ……ですが、ここで終わらせるわけにはいきません!」
エレナも最後の魔力を絞り出す。
二人が放った決死の一撃——光の矢と極大魔弾が、ブラックワイバーンの翼の根元を激しく撃ち抜いた。
「頼んだわよ……レオン!」
「任せろ!!」
地上を蹴り、空中へと跳躍するレオン。
**「【極光・九連閃】!!」**
光速の連撃が巨躯を切り刻む。しかし、ブラックワイバーンは痛みにのたうち回りながらも、太い尻尾をフルスイングしてレオンを撃ち払った。
轟音とともに外壁の石造りへ叩きつけられ、崩れ落ちるレオン。
「レオンっ!?」
クララは悲鳴を上げ、ボロボロのレオンのもとへ駆け寄った。
必死で回復魔法を唱えようとする——しかし、手に光は宿らない。
「そんな……魔力が……底をついだだなんて……」
絶望に膝を折るクララ。
その背後で、ブラックワイバーンの口元に凶悪な極大ブレスの魔力が収束していく。
死を悟ったクララは、涙を流しながら静かに目を閉じた。
——轟!!!
放たれた絶望のブレス。
だが、クララを焼き尽くすはずだった破壊の光は、彼女の目の前で’真っ二つ’に切り裂かれ、左右の空へと霧散した。
構えをとって仁王立ちするレオン。その全身からは、以前とはどこか異なる黄金のオーラが目眩く溢れ出していた。
クララは驚きつつも安堵し、心の中で困惑する。
(一体何が起きたの……? 私にはもう、彼を回復させるほどの魔力なんて残っていなかったはずなのに……)
「……サンキュー、クララ。おかげで動けるようになった」
「これで……終わりだぁぁぁっ!!」
レオンは再び空中へと躍り出ると、以前を遥かに凌ぐ圧倒的な速度と威圧感を纏い、渾身の力で【極光・九連閃】を叩き込んだ。
閃光が漆黒の巨躯を完全に雲散霧消させ、今度こそ王都に本当の勝利が訪れたのだった。
この死闘は後に『王都の奇跡』として語り継がれることとなる。
◇◇◇
激闘から数日後。
二十一歳のレオンは国王より正式に『勇者』の称号を授与され、儀式にて光り輝く宝箱から一本の剣を引き抜いた。
**SSR級・神造兵器『聖剣オーレリアン』。**
名実ともに人類最強の勇者が誕生した瞬間であった。
◇◇◇
——そして時が流れ、現在。
静まり返った魔王城の寝室。
「……ねえリンちゃん。実はね、この宇宙も、星も、魔法も……ぜーんぶ、その昔に『絶対的な神様』が創ったものなのよ」
ベッドの上で天井を見つめながら、女神は珍しくしんみりとした声で語る。
「私みたいな『女神』や他の神々も、元はその神様に生み出された存在に過ぎないの」
いつもはゲームばかりしているポンコツ女神の口から明かされる、あまりにもスケールの大きな創世の真実。
リンは横になったまま、いつものジト目で静かに聞いていたが、ふと疑問を口にした。
「……ねえ、女神様」
「ん? なあに、リンちゃん?」
「……世界と宇宙を創ったっていう凄い神様は、今どこに行っちゃったんですか?」
リンの素朴な問いかけに、女神は少しだけ気まずそうに、それでいて遠くを見るような不思議な微笑みを浮かべるのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
これにてレオンの過去編(勇者誕生編)は完結となります!
21歳で聖剣オーレリアンを手に入れ、勇者となったレオン。
そして3年の月日が流れ、24歳となった現在の彼と、魔王リンの物語が再び動き出します!
次回からは新章に突入!
新学期を迎えたリンの日常と、次なる『エアコン開発(?)』、そしてエルフの森編へと繋がっていきます!
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次回もどうぞお楽しみに!




