第16話:伝説のキャリーと、酔いどれの無謀な質問
いつも『魔王のバイトをする女子高生なんかいるわけないでしょ!』をお読みいただきありがとうございます!
第16話は、勇者レオンが仲間たちを「超絶キャリー」した苦労の過去と、魔王城の宴会で空気を読めない言葉を放ってしまうガスカルの悲劇(?)をお届けします!
数年前――。
薄暗く死の気配が漂う古代ダンジョンの中、革鎧を身にまとった若き日のレオンは、全身傷だらけで息を切らしていた。
あの「罠の部屋」での出来事は、一歩間違えればパーティー全員の命を奪っていたはずだ。
標的から半メートルも外す弓手の**ロイ**、呪文を言い間違えてブタのケムリしか出せない魔導士の**エレナ**、そして無傷のくせにパニックを起こして自分自身に回復魔法を掛け続ける聖女の**クララ**……。
こんなポンコツお坊ちゃんパーティーが生き残れたのは、紛れもなく奇跡だった。
試練を乗り越えた後、泣きじゃくるEランクの三人を見つめながら、レオンは死んだ魚の目で深く溜息をつき、正式にロイのパーティーへ加入することを決意した。
*(こいつらを放っておいたら……間違いなく三日以内にダンジョンで野垂れ死にする)*
その日から、レオンは「前衛」「参謀」「鬼教官」の三役を一身に背負い、数年にわたり彼らを徹底的に鍛え上げることとなった。
しかし……月日が流れ、高難易度クエストのボス戦に挑むようになっても、レオンの苦労が絶えることはなかった。
「ロイ! ボスの右側に隙ができた、目を射抜け! エレナは足止めに氷結魔法! クララはロイに攻撃バフを!」
ゴーレムの振り下ろす巨腕を剣で受け止めながら、レオンが鋭い指示を飛ばす。
「任せろ、相棒!」ロイが自信満々に弦を引き絞り、解き放つ――*ビュンッ!*
矢は綺麗な軌道を描き……**レオンの尻に見事突き刺さった!**
「ぐああっ!? ロイ! なんで俺を撃ってんだ!?」
「す、すまん! 風向きが変わった!」
「エレナ、魔法だ!」レオンは歯を喰いしばって尻から矢を抜く。
「わ、分かったわ! 『大いなる氷の矢よ、凍てつかせよ……』ええと? 何を凍らせるんだっけ!? そうだ、奴のケツを凍らせろー!」
パニックになったエレナが支離滅裂な詠唱を唱えた結果、拳大の氷の塊がポロリと落ち、自分の足先を直撃した。「きゃあっ!? 痛い痛い痛い!」
「神様お助けくださいー!」クララは目を固く閉じ、十メートルも離れた場所にいるロイに向かって高級防御バフを張りつめた。前線でボスの攻撃を叩き込まれているレオンを完全に放置して!
眼前に広がる地獄絵図に、レオンの胃が激しく痛む。
*(……もういい、俺がやる!)*
*ズドードドーンッ!*
レオンは剣気と応用魔法を爆発させ、ゴーレムの関節部を一瞬で粉砕。巨体を一人で崩壊させた。
どれほど破天荒なパーティーであっても、レオンの神がかった「キャリー」と指導により、三人は少しずつ成長。ついに全員で**Sランク冒険者**へと上り詰めるのだった。
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切り替わり、現在の魔王城――。
カレーパーティに沸く玉座の間で、突如として天井からピンク色の眩い光が降り注いだ!
舞い散る花びらと魔法の光と共に、**ポンコツ女神**が華々しく降臨する。
しかし、足が床に着いた瞬間、女神フィルターは一ミリ秒で崩壊した!
「リンちゃ〜〜ん! ひどいじゃないの! こんな美味しそうなパーティー、なんで私を呼んでくれないのよ!? 昼間、私も穴掘り手伝ったでしょー!」
お茶をすするリンは、感情の籠もらないジト目で返 colossal す。「三回しか掘ってないですよね」
「はぁ!? 三回でも体力使ったのよ! 私がどれだけ――」
まくし立てようとした女神だったが、ふと隣に座る人間夫婦(リンの両親)と、正座してこちらを見つめる数百匹の巨漢悪魔たちの視線に気づいた。
*ガタッ!*
脳内スイッチが瞬時に切り替わる! 背筋を伸ばし、【マキシマム女神フィルター】発動!
聖なるオーラを纏い、神聖で慈愛に満ちた笑みを浮かべる。「あら……無礼をお許しくださいませ。あまりに楽しそうな気配につられ、祝福を授けに参りましたの……」
リンは眩しそうに目を細め、手をかざした。「目が痛いです……痛い設定はやめてください」
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宴は和やかに進み、お母さんの手作りカレーはあっという間に完食された。
最初は「人間と怪しい女神」に警戒と疑問を抱いていたガスカルたちも、極上の味に魅了され、そんな疑問は脳内から綺麗さっぱり消し飛んでいた。
食後は酒が振る舞われ、悪魔たちが陽気に語らう賑やかな空間となる。リンはお茶を飲みながら、ご両親に天界のホラを吹きまくる女神の雑談を聞き流していた。
だが……酒と美味しい食事で気分が大きくなったガスカルが、ふと口を滑らせてしまった。
**「ハハハ! 酒も肴も最高ですな! ……ところで、なぜ魔王様のご両親が『人間』なのですか?」**
*シ〜ン……*
玉座の間の空気が、一瞬で凍りついた。
悪魔たちの持ち上げた杯が固まり、女神の自慢話が止まり、ご両親が顔を見合わせる。
そしてリンは、カチャリとお茶のカップを置くと、冷徹な「死んだ魚の目」を、己の失言に気づいて青ざめるガスカルへとまっすぐ向けたのだった。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
勇者レオンの胃腸を破壊しかけた過去のキャリー劇と、魔王城で空気を読めずに地雷を踏み抜いたガスカル……!
リンの冷ややかな視線を浴びたガスカルの運命やいかに!?
次回の第17話もお楽しみに!
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