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第10.5話:カップ麺600箱、

読者の皆様、いつもお読みいただきありがとうございます!


今回は第10話と第11話をつなぐ特別編「第10.5話」です!

二千人の獣人たちのために、凛ちゃんが日本のネットスーパーを駆使してカップ麺600箱(12,000個)を爆買い!

そして恒例の「勘違いフィルター」が発動します。


次回からは、いよいよ本格的な【領地開拓・街づくり編】へ突入します!

ぜひお楽しみください!

「ネットスーパー? 倉庫? カップラーメン……?」


だらしなくゲームのガチャを回していた女神が、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で固まる。


凛はジト目で女神を見つめ、淡々と説明を始めた。


「はい……現在、魔王城の周辺には約二千人の住民が暮らしています」


この世界において、人間たちは人族以外のあらゆる種族――獣人、エルフ、ドワーフ、オークなどを一括りで『魔族』と呼び、この荒廃した地へと追い散らしていた。


現在、凛の魔王城周辺に身を寄せているのは、真っ先に庇護を求めてきた約二千人の『獣人族』であり、その他の種族はまだ大陸の各地に散らばっている状態だった。


「AIの提示した三段階ろ過施設や用水路を建設し、農地を開拓して収穫を得るまでには、最低でも二、三日かかります」


凛はタブレットで素早く計算を弾き出す。


「二千人が三日間、一日二食で生き延びるには……計一万二千個。日本規格で一箱二十個入りですから、ちょうど六百箱が必要です」


「ろ、六百箱ぉぉぉ!?」女神が悲鳴を上げた。


凛は迷わず、Amazon Fresh、イオンネットスーパー、楽天西友、イトーヨーカドーの四つのアプリを同時に起動。在庫切れを防ぐため、注文を分散させた。


「クレジットカードを紐付けてください」


「ヒィィィン! 凛ちゃん! 二百万円以上も切ったら、私の欲しかった新作ボードゲームがカップ麺の山に消えちゃうよぉぉ!」


涙目になりながらも、女神は大人しくOTPとカード情報を入力した。


---


二時間後。日本の凛の実家前。


ブォォォン! ブォォォン!


ヤマト運輸、佐川急便、イオンの配達トラックが狭い路地に長蛇の列を作っていた。配達員たちが協力して六百箱のカップ麺を降ろし、庭先に積み上げていく。あっという間に家を丸ごと覆い隠すほどの巨大なダンボールの山が完成した。


お茶を手にした凛の両親が玄関から顔を出し、完全に開いた口が塞がらない様子で硬直する。十秒間、思考が停止した。


「り、凛……」父親が声を震わせる。「カップ麺の問屋でも始めるのかい……? それとも、第三次世界大戦でも始まるのか……?」


ザーーッ!


転移魔法陣が輝き、凛と女神がダンボールの山の前に現れた。


「いいえ、お父さん、お母さん」凛は淡々と挨拶した。「職場の部下たちに差し入れを買いにきただけです」


言い終えると、凛は右手をかざし、スキル【無限異空間ストレージ】を発動。


ヒュン!


ミリ秒単位で、頭上高く聳え立っていた六百箱のダンボール山が……完全に空間へと吸い込まれて消え去った!


両親:「……!?!?」 (手に持った湯呑みを落としそうになる)


「では、仕事に戻りますね」凛は女神の肩を掴み、【テレポート】で即座に魔王城へと送還した。


---


魔王城の裏庭。


凛は異空間から六百箱のカップ麺を取り出し、綺麗に整列させて配置した。目の前では、ガスカルと二千人の獣人たちが掘り終えた溜め池を前に控えている。


凛は溜め池を見下ろした。噴き出した地下水で満たされているが、泥や鉱物、石灰成分が混ざって濁っている。


(……AIの言う三段階のろ過施設は、まだ建設できていませんね……)


凛は小さくため息をついた。


(……仕方ありません。今は浄水設備がありませんから、魔法で適当にごまかしておきましょう)


凛は右手を溜め池にかざし、二つの魔法を同時に流し込んだ。


『【Purification(浄化)】……そして【Thermal Control(熱制御)】』


ブワッ! 青と金の魔法陣が池全体を包み込む!


不純物や重金属、石灰成分が分子レベルで消滅し、濁っていた水は水晶のように透き通った純水へと変化。同時に火魔法の熱が均一に伝わり、水温は一気に九十五度まで上昇――カップ麺を仕込むのに完璧な熱湯となった!


ガスカルと二千人の魔族たちは目玉が飛び出さんばかりに驚愕した!


(聖なる浄化と加熱の大魔法……! 凛様は毒気を含んだ地下水を浄化し、我らのために数百トンの『聖なるお湯の池』をお創りになられたというのかぁぁ!!)


ガスカルたちはあまりの尊さに地べたにひれ伏し、号泣しながら感謝を捧げた。


---


こうして、前代未聞の『カップ麺パーティー』が始まった!


熱湯が一万二千個のカップ麺に注がれ、醤油やとんこつ、特製スープの香ばしい匂いが乾燥した大地を満たしていく。


空腹に耐えていた獣人たちが、震える手で麺を口に運ぶ。


ズズズッ――!


「う、美味い……美味すぎるぞ……!」


「ヒック……こんなに温かくて濃厚な食べ物、生まれて初めて食べた……!」


感動の泣き声が広場中に響き渡る。


そんな中、凛は温かいカップ麺を一つ手に取り、一人の幼い獣人の子供(以前、泥を凝視していたあの子だ)のもとへと歩み寄った。


子供は体をこわばらせ、恐縮した様子で凛を見上げる。


凛はしゃがみ込み、ジト目のまま淡々とカップ麺を差し出した。


「はい、食べなさい……それと、今後は落ちているものを拾って食べてはダメですよ」


しかし……子供とガスカルの『勘違いフィルター』を通すと、その言葉は重厚で神聖な【慈愛の宣言】へと変換されていた。


『――今日この時より、私がこの地を治める限り、幼子を餓えさせはしない。土を喰らう屈辱もここまでだ。汝らの尊厳と豊かさは、この魔王の名において約束しよう!』


子供は目を見開き、大粒の涙をポロポロとこぼした。両手でカップ麺を抱きしめ、凛の足元にひれ伏す。


「あ、ありがとうございます、凛様……! あっし、このお言葉を一生忘れません……!」


傍らで聞いていたガスカルも滝のような涙を流して号泣した。「凛様……! なんという力強く、慈悲深きお言葉……!」


呆然と涙を流す民を見つめながら、凛は静かにため息をついた。


(……ただ汚いものを拾って食べたら衛生的に危険だと言っただけなのですが……なぜそこまで感動されているのでしょうか……)

ここまでお読みいただきありがとうございました!


無事に2,000人の獣人たちのお腹を満たし、凛様の慈悲(?)が領民の心に深く刻まれた第10.5話でした。


そして……次回・第11話より、いよいよ本格的な【開拓・街づくり編】がスタートします!

AIの超合理的アドバイスと、凛様のチート魔法、そして魔族たちの勘違い労働力が合わさり、乾燥した荒野がどう変貌していくのか!?


続きが気になる!と思ってくださった方は、ぜひページ下の【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク追加】、【いいね!】をお願いいたします!


それでは、次回の『開拓・街づくり編』でお会いしましょう!

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