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呪華ノ鎖  作者: 雪ねこ
第二章
63/74

違和感の答えは、閉ざされた扉の先に

暗い夜の闇の中。

静寂を破るように、扉がゆっくりと開かれる。


一歩、また一歩と、

歩を進めるたびに、床板が軋む音が静かな廊下に響いた。


明かりは月明かりの光のみ。

目に慣れた様子で、迷いも無く、誰もいない廊下をまっすぐに突き進んでいく。


角を曲がり、慣れた足取りで、廊下の最奥の部屋へと向かう。


普段は誰も入らないようにと、厳重に鍵が掛けられている部屋。

スカートのポケットに手を差し入れ、小さな金属音とともに鍵が取り出される。

錠前へと差し込まれ、カチリ、と小さく音を立てて鍵が開かれた。


ゆっくりと扉が開かれる。


部屋の中にも、明かりが付いていない。

カーテンは固く閉ざされ、一切の光も差し込んでいなかった。

それでも闇に慣れた目では、十分に部屋の様子を把握出来る。


先に来ていた人影を視認して、後ろ手に扉を閉める。


「今日も、やるんですね」


高くも無い、低すぎることも無い。

丁寧な口調で、来訪者を迎え入れる中性的な声。


「当然」


迷いの一切無い返事。

幼さも残る、声変わり直後の低い声が、部屋に響く。


その返事を聞くと、扉から離れ、人影の方へと歩みを進めた。



その瞬間。


部屋の明かりを付けた。


途端に、こちらに振り返る二つの影。

修道服に身を包んだ、身長差のある二人。

来訪者が来るとは思っていなかったようで、戸惑いと警戒の混じった視線がこちらへと向けられる。


「……後を、付けて来たんだ?」


身長の低い方が、口を開いた。

明かりを付けたことにより、二人の姿と、部屋の中の様子が鮮明に映る。


「これは、想像していたよりも酷いですね」


部屋の中を横目にセレナが呟く。

表情ひとつ変える事無く、冷静なまま。


元は子どもたちのための遊戯室だったのだろう。


小さな滑り台。

床に転がったままの積み木。

壁際に寄せられたぬいぐるみたち。

壁際の小さな本棚に並べられた絵本。


そのどれもが、どす黒い染みで汚れていた。


部屋の端には大きな塊で何かが積み上げられている。

それの正体がなんなのか。

理解してしまった途端、吐き気を催しそうになり、思わず口元を押さえた。


「レイン様。直視しないようにしてください」


隣に立つクローディアスがこちらを心配する。


「いち、にぃ、さん、しぃ……。ちょうど四つかなぁ」


折角クローディアスが気遣ったというのに、ノクスがわざわざ口に出す。

空気を読むということが出来ないのか。

塊の数を、ひとつずつ指差して数を数えていた。


「……今まで一緒にいたあいつらは、いったい何だったんだよ」


声が怒りで震える。

絞り出すような声で、目の前の存在へと問いをぶつけた。


「答えろよ、ジェイク!」



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