長い説教のあとで
テーブルの上に、思わず突っ伏していた。
あの後もぐだぐだと、クローディアスの長い説教をくらっていたのだ。
疲れた。
自業自得なのは分かっている。
それでも、本当に疲れた。
「あの時だってレイン様は無茶をして」
「動く前に必ず相談してくださいと何度言ったら分かるんですか」
「護衛の意味を知っていますか?」
もっともな正論ばかりが浴びせられ、逃げ道が無いままひたすらに聞いていた。
ひたすらに「はい……」「はい……」と返事を繰り返すだけ。
姿勢を正し、膝の上で拳を握りながら。
洒落にならない悪戯をしでかした子どものように。
ただただ説教を受ける時間だった。
ノクスはその様子を眺めながらクッキーを口に運び、セレナも相変わらず紅茶を飲んで素知らぬ顔をしていた。
クッキーを齧る音。
紅茶を口に含む音。
そしてティアの静かな寝息。
そんな静かな空間に、ひたすら続く俺の情けない返事と、クローディアスの説教の声だけが響いていた。
俺が少しでも上の空になりそうな気配を感じ取れば、さらに説教に熱が入り、説教の時間が長引く。
ほんの一瞬でも視線を逸らしたり、意識が別のことに向いたりすることも許してくれない。
そんなことを繰り返した結果。
今に至っていた。
「いや~……、本気で怒った黒犬くんってこんななるんだぁ……。こっわぁ」
さくりとクッキーをまたひとくち齧りながら、ノクスが呟いた。
そのまま皿の上からもうひとつ摘み上げると、俺の口元へと差し出してきた。
「食べる?」
「……ん」
拒むこともせず、そのまま口を開いた。
口の中にクッキーが押し込まれると同時に甘い味が口の中に広がり、少しだけ疲れが緩んだ気がした。
そんな俺の様子を見て、ノクスの目が細められた気がした。
「……落ち着いたところで、話を戻してもいいですか?」
「あぁ。ルーとなにを話していたか、だったよな」
セレナの問い掛けに顔を上げて、座り直した。
クローディアスの説教が途中で割り込んだお陰で、すっかり話が逸れてしまった。
そういえば夜中にこの部屋にノワールを招き入れて、なにを話していたのか問われていたところだったと思い出す。
俺は静かに、あの夜ノワールとどんな会話を交わしたのかを、三人に説明した。




