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呪華ノ鎖  作者: 雪ねこ
第四章
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黒い花の願い

ノワールは、入って来たときに使った窓枠に足を掛ける。

軽く身を乗り出し、窓の外へと跳び出そうとしていた。


夜風が部屋の中へと流れ込み、彼女の黒い髪をふわりと揺らす。


帰ろうとするその背中に向かって、思わず声を掛けた。


「ちょっと待て。結局、ルーの訊きたいことってなんだったんだ?」


俺の声に、ノワールは動きを止める。

「んー?」と声を漏らしながら、顔だけをこちらへ向けた。


「だから……。なんでこんな場所にてめーらみてーな余所もんが、それも金髪のやつがいるのかっての。全部てめーらが説明してくれたじゃんか」


ノワール自身がすべての質問を投げ掛けたわけでも無かったとしても、結果的に彼女の知りたい情報が得られた。

訊きたいことが解消されたから、ここに来た用事も終わったということなのだろう。


「……ルーは一緒に来ないのか?」


気付けば、そんな言葉を零していた。


「もちろん、ネコも一緒に」


俺の言葉に、ノワールが目を丸くしてこちらを見る。


理解が追い付かない。

なにを言われたのかわからない。

そんな顔を浮かべ、すぐにふっと笑った。


眉を下げ、口元に笑みを浮かべる。


「冗談。てめーといると、ルーはてめーを殺したくて殺したくて仕方なくなるんだ。ルーを殺して、助けてもくれねーくせに、気色わりーこと言ってんじゃねーよ」


嘲笑うように吐き捨てられる。

そのまま視線が外に移され、再び外へと乗り出そうと足に力が込められる。


出て行く直前。


ふと思い出したように、「あぁ、それでも」と続けた。


「もし……。てめーらがお願い聞いてくれるんだったら……。ルーがダメになったらちゃんと、腹黒性悪暴力女がトドメさしてくれよな。痛いのは、嫌いなんだ……。あと、ネコのやつ……、セタリアのこと、お願いできねーかな」


こちらを見ないまま、静かに続けられる言葉。

寂しそうな表情を浮かべながら、案ずるのは仲間であるセタリアのことだった。


「……あんな見た目だから、独りだと生きていけないんだ。だから保護してやってくれ」


そこまで言うと、ノワールは軽く息を吐いた。


「……なんてな」


嘲笑うように。

冗談だと言うように。


次の瞬間。


ノワールは背を向けたまま、そのまま窓の外へと跳び出した。


鎌の柄へと手を伸ばす。

黒い鎖が夜風に揺れ、ジャラ……と乾いた音を立てた。


そして刃を抜く代わりに、ノワールが手にしていた大鎌が、ふっと夜の闇に溶けるように掻き消えた。

同時にノワールが壁を蹴る。


残ったのは、ひらりと舞い落ちる黒い花弁だけだった。


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