タロウとルクレツィアのお家デート
伯爵邸の応接室。
ティーカップを揺らしながら、
ルクレツィアがこっそり語り始めた。
「この世界の元ネタになってる乙女ゲーム、
タイトルは――《乞い願う恋》。
……まぁ、ヤンデレ好き向けの超マニアック作品よ。」
タロウが顔をしかめる。
「大丈夫?それ普通のゲーム?」
「普通なら“乞い願う恋”なんてタイトルにしないでしょ?」
「だよね!」
ルクレツィアは指を折りながら語る。
「攻略対象の男たちは全員、
激重愛&何かの狂気を抱えていてね。
愛が重すぎて、ばんばん登場人物は天に召されていくし――
監禁スチル、縛りスチル、闇堕ちスチルもあるわけで……」
「監禁!? 闇堕ち!? え、そんな画面いるの?」
「いるの。人気だった。」
「人気なんかい!!」
タロウはソファでのけぞった。
「それホラーゲームじゃないの!?」
「乙女ゲームよ。乙女の心を学ぶ教材なの。」
「教材の中身が深淵すぎる!」
ルクレツィアは紅茶を飲みつつ、ぽそり。
「あとね……R18版も出たんだよ。」
「え?もう一回言って??」
「R18版も出たんだよ。」
「それはヤバい。超怖い。」
その瞬間、使用人たちは――
“お茶デートは順調です!任務完了!”
と、廊下の陰で親指を立てていた。
***
ゲームの話は続いていく。
“第二王子ルートは独占欲MAX”
“侍従ルートは甘依存からの執着愛”
“勇者ルートは闇堕ちからの昇天END”
“騎士ルートは静かなる殉愛”
“貴公子ルートは愛に溺れて壊れるEND”
タロウは震え声で言う。
「俺、たぶん“勇者ルート”のやつ……なんだけど、
最後魔王になるんだよね?」
「うん。あれは人気ルートよ。
でも、乙女ゲーム版では――
勇者は最終的に“ヒロインの愛で浄化される”の。」
「えっ!?なんかすげえ良い話じゃん!」
「ただし愛が重い。浄化されるまでに……ほら、“儀式”とかあって」
「“儀式”って!? 何されるの俺!?」
ルクレツィアは目をそらした。
タロウは天を仰いだ。
2人の距離が――さらに少し縮まった。
R18版は、ムーンライトノベルズで…
あるかも知れない…




