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ヒロインの代わりに魔王討伐しちゃったわ  作者: ChaCha


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世界崩壊フラグとお茶デート

あの夜――勇者タロウの挙動不審なお誘いから、

なぜか“乙女ゲームのロード”が始まってしまった。


そして翌日から、毎朝。

伯爵邸の扉には必ず花束が届く。

それも、毎回違う花。

しかも――メッセージカードに数字だけ。


最初は、

「……7? なにこれ? 勇者暗号?」

と思った。


翌日は【6】。

その次は【5】。


ここまで並んだ瞬間――

理解してしまった。


(……カウントダウン……?

 え? まさか……

 デートの日までのカウントダウン!?

 うわあああああああああ!!

 クソダサい!!

 羞恥心で死ねる!!)


顔を覆いながら悶絶した私を、

侍女たちは心配してくれた。

「お嬢様!? お腹ですか!?

 治癒魔法の準備を――!」


いや、尊厳が死にかけただけです。


――そして、今日。

“ゼロ”の日。


門の前には――

笑顔が崩壊しそうな勇者。

花束を抱え、肩で息をしていた。

その一歩ごとに、なぜか伯爵邸の使用人たちが沸き立つ。

「来たぞ来たぞ!」「世界救った勇者だ!」

なぜこんな実況体制が整っているのか不明だが、手遅れだった。


タロウ「ゼロ! ルクレツィアに、あいたかったッ!!!」


その声は爽やかで――

死ぬほど 目立った。


……冗談抜きで、声にならない悲鳴が出た。

(うわあああああ……本当に来た……

 超笑顔で来た……

 しかも数字でカウントダウンしてきた男……

 ダサかわの化身……!!)


けれど。

その表情があまりにも眩しくて。

世界を救った勇者なのに、

恋愛初心者の16歳が背伸びして必死になっているだけなのが――

胸の奥を少しだけ、温かくした。


(魔王になる運命なんて知らずに……

 ただ“普通に恋がしたい”って思ってる

 この少年を……

 私、笑えないかもしれない。)


「……今すぐ紅茶。飲みたいわ」

「えっマジ!? よしっ!!!

 俺、あっちの店もう予約した!!

 いや、してないけど空いてると思う!!

 なんか……風魔法で調べたら……

 “空いてるよ”ってLINEが来た気がした!!!」


……会話が迷子。

この男とデートしたら、

羞恥心で毎回HP削られそう。


でも――

今日くらいなら、いいかも。


胸の奥で、ひとつだけ覚悟を決めた。

(ゲームシナリオにはない――

 世界の空白部分へ入っていく。

 これが、私の役目なのかもしれない。)


そして――

タロウが差し出した花束を受け取ると、

伯爵邸に仕える人々から拍手があがった。


「えっ!? なんで!?

 なんで拍手!?」

「勇者殿、おめでとうございます!!!」

「……だからなんで!?」


タロウの挙動不審は、

今日もレベルを上げている。

世界崩壊フラグを抱えたまま、

私たちは――

初めてのお茶へ、歩き出した。

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