↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインの代わりに魔王討伐しちゃったわ  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/81

蒼の衣、囲い込んだ少女

会場の中央――

蒼のドレスを纏った少女が立っていた。

銀の髪は王宮の灯に照らされ、

薄紫の瞳が静かに揺れる。


身に纏うすべては――俺の選んだもの。


胸の奥に、ゆっくりと満足が満ちてゆく。

彼女の隣に立つその資格。

“第二王子妃”として――

リディアを表舞台へと据え置いたのは、この俺だ。


(見ろ……あの男たちの目を。

 貴公子も、騎士たちも、魔術師や神官たちですら――

 皆、同じ光を宿している。

 羨望。嫉妬。

 “今ここにいるはずのなかった存在”を見る目だ。)


噴水前でヒキャルが涙した時。

貴公子が声をかけ損ねた時。

勇者タロウがただ“同郷”として終わった時。

すべてを見ていた。

――彼女が誰にも渡らなかった瞬間を。


そのすべてを、

俺だけが“見届けた側”に回れたこと。

その事実が――滑稽で、たまらない。


ゆっくりと、言葉を飲み込む。


(リディア。

 逃げ道は、もうどこにもない。

 君は――“俺の隣以外”に立つ場所を、

 失ったんだ。)


婚約を祝う歓声の中、

俺は控えめな笑みを浮かべながら、そっと視線を横へ移す。

彼女のドレスの色――

髪飾りの石――

イヤリング、ブレスレット、ネックレス――


蒼。蒼。蒼。

すべて“俺の色”で染め上げてある。


――この場にいるすべての人々が、それを当然のように受け入れる光景に、

背筋がぞくりと震えた。


(ああ…美しい。

 ……なんと愛しい。

 ここまで完璧に“俺の色”を纏ってくれるなんて。

 どれだけ、知らずに俺を受け入れているのだろう。

 ――ねえ、リディア。

 君はもう、俺の女なんだよ?)


だが――

その美しい瞳がほんの一瞬、

会場の奥――影の方角へと揺れた。


(……あぁ。

 やはり“あいつ”か。)


侍従。影の男。

――シン。

今日、彼女の傍に立たないのは、“俺の命令”ゆえ。

それでも……

リディアの瞳は、“無意識に”探していた。


(ふふ……面白い。

 俺が手を伸ばすほど、

 リディアは抵抗を覚えるのか?

 その姿さえ……可愛くて仕方がない。)


胸の奥で、熱とも冷たさとも言えない感情がうごめく。


(君がどこを見るか……

 誰を見つけるか……

 そのすべてを“俺だけ”が知りたい。

 そして――

 俺以外の全員が、知らなくていい。)


オーケストラが高らかに鳴り響く。

その音の中、俺は静かに告げた。

誰にも届かぬ小さな声で。


「――リディア。

 この世界で、

 一番美しい夜だね。」


表情だけを見れば、

誰もが“優しい婚約者”と思うだろう。

だが胸の奥の感情は――

とっくに形を変えていた。


愛は、支配に変わることもある。

それすら、俺は止めるつもりはなかった。


――リディア。


これからさらに深く、もっと…

身体の熱が猛る

君の身体にはやく沈み込みたい―


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。