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ヒキャルの来訪
「失礼いたします。」
入ってきたのは、騎士服を着たヒキャル。
タロウを見ると礼儀正しく頭を下げた。
「勇者殿。
リディア様とお話なさっていたところ……
申し訳ありません。」
「おう、じゃあ俺は退散。
また来るよ、リディア。」
タロウが軽く手を振り、部屋を出る。
ヒキャルはリディアの側で片膝をつき――
静かに頭を深く下げた。
「……お守りすることができて、本当によかった。
生きて帰れたことに……心から、感謝します。」
騎士の礼。
それは一切の照れも冗談もない、
真っ直ぐな敬意だった。
「ヒキャル……ありがとう。」
「祝勝会の夜。
噴水の前で……お話したいことがあります。」
その瞳の奥には迷いも怯えもなかった。
あるのはただ――
**“覚悟”**だけ。
「……わかった。」
ヒキャルは背筋を伸ばし、
騎士としての歩調で退室した。




