戦後の余韻、心の鼓動
「ほんとに……無事でよかった。」
タロウはベッドの脇に座り、
ほっと息を吐いた。
強さでも勇者でもない、
ただの少年の声だった。
「魔物の群れとか、魔王の城とか……
一歩間違えたら、俺たち……
誰か、きっと――」
「終わっちゃうとこだったね。」
リディアの言葉に、
タロウは小さく笑った。
「でもさ……
君がいたから、ほんとに……救われたよ。
俺、君のこと……同郷として頼ってるから。」
「……日本語で話せるって、すごく安心するよね。」
「そう!! それ!!」
タロウは勢いよく頷いた。
「俺、ボンキュッボンの娘が好きなんだよ。
つまり君は恋愛対象じゃなくって――」
「はいはい、そこは強調しなくていいよ?」
「いや、誤解されたら困るから!!
俺は好きなタイプが明確なんだ!!」
それが妙に真剣で、
リディアはつい吹き出してしまった。
戦場の緊張感はもうなかった。
ただ、互いに“生きて帰れた”という安心だけがあった。
王城に戻ったのは、三日前。
まだ式典は行われておらず――
タロウはひとつ報告を持って来ていた。
「祝勝会、あるみたいだよ。
……褒賞式も兼ねてるってさ。」
「……やっぱり、あるんだね。」
「うん。数日後。
俺たちは“英雄”ってことになってる。」
その言葉に、リディアは静かに目を伏せた。
(英雄……そんな立派なものじゃないのに。)
だがタロウは、
その沈黙をやさしい声で切り替えた。
「……また日本語で話そうな。
俺たち、きっと助け合えると思うから。」
「うん、もちろん。」
その時――
コン、コン。
控えめなノックの音がした。




