光が拓く、魔へ至る道
夜明け。
空はまだ薄く青く、
静寂の中に血の匂いだけが残っていた。
リディアと魔術師団は隊の中央。
その周囲を――
騎士団が円を描くように固めていた。
「これより――
“一点突破作戦”を開始する!」
アルケイド団長の号令が響く。
タロウは先陣、
ヒキャルとシンはリディアの護衛として立つ。
そして――
「リディア殿、始めよ!」
「……はい。」
リディアは杖を大地に叩きつけた。
ドンッ――ッ!
地面が揺れ、
無数の光の筋が走る。
――術式展開開始。
円の中心から、巨大な魔法陣が広がった。
一つ、また一つ――
幾層にも重なる円が大地を覆い、
まるで世界そのものを染め上げる。
〈聖魔法:加護の大環 〉
〈精霊魔法:精霊よ道を示せ 〉
杖を振るたび、
光と風が混ざり、
道が――現れた。
「――行け、タロウ!」
光で形づくられた道が、虹色に輝き
魔王城の方角へ
ひと筋に伸びていく。
その瞬間――
魔物の咆哮が響いた。
「ギィィアアアアアッ!」
森から無数の影が迫る。
殺気は濁流のように襲いかかってきた。
しかし――騎士たちの剣が一斉に抜かれた。
「リディア殿を――護れ!!」
「前衛、突撃せよッ!」
剣がぶつかる音。
風が切れる音。
血の匂い。
リディアは魔力を注ぎ込みながら、
静かに、祈るように呟く。
「どうか……
皆さんが生きて帰れますように……」
杖を掲げる。
――第二詠唱、開始。
〈聖域展開:祈りの翼〉
光が爆ぜた。
それはもう魔法ではなく、
“祈り”そのものだった。
無数の魔物がバリアに弾かれ、
騎士たちと魔術師団が前進を後押しする。
(……なんて光だ。
この人を――護らねばならない。)
(絶対に、傷つけません。
誰ひとり――近づけさせません。)
指し示される光の道へタロウは足を前にだす
「俺が――!」
タロウの足元から風の魔法が爆発。
瞬時に加速し――
光の道を駆け抜けてゆく。
勇者タロウ、先陣突破。
その姿は、
希望そのものだった。
リディア
(……頼んだよ。タロウくん。)
光の道はすでに――
魔王城へ直結していた。




