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ヒロインの代わりに魔王討伐しちゃったわ  作者: ChaCha


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ヒキャル視点 タロウの実戦

ここ数日、気になることが増えた。

タロウとリディア様――

ふたりが時々、知らない言語で会話をしているのだ。


表情は柔らかく、

言葉は不自然なくらい滑らかなやりとり。

けれど周りには理解できない“異質な響き”だった。


(……正直、驚いた。

 リディア様があんなに自然に誰かと笑うなんて……)


胸の奥にざらつく感情があった。

だが、それを言葉にできるはずもない。

リディア様の護衛騎士として、

僕の役目は感情より任務が優先される。


――そして今日。

騎士団長より、タロウの実力を測る“実戦”の命が下った。


「訓練ではない。

 魔物を討つ姿勢を見る。

 本気でいけ。」


タロウは緊張しながらも真っ直ぐ前を向いた。

あの日の夜、リディア様と言葉を交わしたせいか、

表情にはどこか決意が宿っていた。


森の奥へ進むと、

牙を持つ魔物が群れで現れた。

訓練とは違う――

生死の狭間にいる匂いがする。


「タロウ、俺たちが後ろから援護する。

 怖ければ叫べ。

 それだけで十分だ。」


そう声を掛けた時――

タロウは、剣を抜いたまま静かに息を整えた。


「……しっかりやらないと、

 リディア様に合わせる顔がないんで。」


その言葉に胸がざわついた。


魔物の群れが突進してきた瞬間。

タロウの身体が――自然に動いた。


身体強化の詠唱。

火水風土の魔法を繰り出しつつ

姿勢は素人のはずなのに、目の動きと判断だけは速い。

迷わず剣を振るう姿に、思わず息を呑む。


戦いが終わり、タロウは荒い息を吐きつつも、

きちんと礼を言った。


「ヒキャルさんと皆さんのおかげで、生き残れました。

護ってくれる人がいるって思うと、すげぇ心強いです。」


その言葉に、少しだけ胸が軽くなった。

勇者であっても完璧ではない。


リディア様が駆け寄ってきた。

タロウの腕の傷を見て、

すぐに治癒魔法を施す。


「無事で、本当に良かったです――タロウさん。」


そのやさしい声に、

タロウははにかんで笑った。


……その隣で、

僕はただ静かに剣を握り直した。


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