14歳リディア、人生最大の決断(と逃走)
14歳になったリディアは、公爵家の教育を順調にこなしつつ、
魔法レベルカンストを目指して鍛錬を続けていた。
聖魔法と精霊魔法の制御は成熟し、
魔力の流れを視覚化できるほどの集中力も身につきはじめている。
侍従として育ったシンは、仕事も身のまわりの世話も見事にこなし、
頼もしい存在としてリディアの傍に立っていた。
だが――やっかいなことがひとつだけ増えた。
第二王子アイキムからのお茶会招待。
12歳の誕生日会で挨拶だけして即退場した結果、
なぜか逆に気に入られたらしく、
王宮から定期的に招待状が届くようになってしまった。
(……正直めんどくさい。
研究と訓練を進めたいのに。
できることなら逃げたい。)
そこへある日――
公爵家執務室に呼ばれたリディアは、父ヒロージから告げられる。
「第二王子アイキム殿下より、
お前を正式に婚約者候補として推挙する旨が届いた。」
……思考が一瞬停止した。
さらに直後。
魔族領域からの魔物凶暴化、そして魔王復活の報。
王命により、公爵家にも出撃準備が求められるようになった。
「王立魔術師団との合同任が下される。
魔王討伐の計画が始まる。」
その言葉を聞いた瞬間――
リディアの脳内で光が走った。
(……そうだ!
今こそ戦線に参加しよう!!
一番の逃げ道は最前線や!!)
王宮滞在? 婚約?
そんなものより、
“自由な魔法研究と魔王討伐参加”こそ魅力的だった。
――聖女級魔力よ、
私を戦場へ導くのだ!!
こうしてリディア14歳の“逃走計画”は
静かに――しかし確実に始まった。




