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ヒロインの代わりに魔王討伐しちゃったわ  作者: ChaCha


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19/81

幼馴染の胸に芽生える感情

公爵家騎士団長の息子、ヒキャルは12歳。

幼い頃から騎士の訓練を受け、剣の扱いも身軽で的確だった。

公爵家の令嬢リディアとは幼馴染で、自然に隣へ立つことを何度も繰り返してきた。

だから――彼女の“隣”にいるのが自分でないことに、気づいてしまった。


最近。

侍従教育を受けたシンが、いつもリディアのそばにいる。

食事の準備、身支度の補助、書類の整理――

甲斐甲斐しく動くその姿は、年齢が1つ下とは思えないほど落ち着いていた。


リディアはそんなシンを、なぜか猫のように可愛がる。

頭を撫で、髪を整え、抱きしめたりもする。

シンは無表情のままだが、

“拒まない”ことが、逆に特別に見えてしまう。


ヒキャルは思う。


(おかしいな。

 当たり前だった場所が、いつの間にか遠く感じる。)


ある日の庭。

リディアが読書をしている横で、

シンは静かに紅茶を淹れていた。

そこにヒキャルが近づくと、リディアはいつものように笑顔で迎えた。


けれど、自然とシンのほうへ視線が向く。


その様子を見て、

ヒキャルの胸はちくりと痛んだ。

大きな感情ではない。

けれど――

確かに“消せない色”を持っていた。


(自分は、彼女の幼馴染のはずなのに。)

(それなのに――なぜ、距離があるように思うんだろう?)


風が吹き抜ける庭で、

まだ誰も知らない想いが、静かに芽を出し始めた。


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