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彼の愛が重すぎる  作者: 只野優子
4/10

電話の相手は…

周りからの見合い圧にどんどん頑なになる優子。そこにある人物から電話が入り…

父は兄の為に見合いを受けてる様にしか言わない。父は高卒の兄が本社の設計部に配属され異例の出世を誇りに思っており、妹の私に協力する事を強要した。

昔から兄は何事も卒なくこなし要領がよく優等生だ。反して私は全てにおいて平均(アベレージ)で、成績も平凡で地元に本社があるメーカーに就職し、平凡街道まっしぐらだ。

そんな私は期待されることも無く、兄との差(扱い)に荒れた時期もある。

そんな父は兄の出世の障害にならない様にと必死で私を説得する。その態度が余計に私の気持ちを頑なにしていく。


父のボリュームがおかしくなって来た頃、家の電話が鳴った。黙って話を聞いていた母が立ち上がり電話に出ると、母はいつもよりワントーン声をあげ応対し兄に電話を繋いだ。


白い顔の兄が今度は顔を青くし、ペコペコお辞儀しながら話をしている。私は父の話が右から左で、コーヒーと今日買って来たケーキを頬張り、聞く耳を放棄した。


「優子電話」

「は?」


電話の保留音がリビングに鳴り響き、兄が青い顔をして受話器を私に差し出す。嫌な予感はするけど、そのままにしておけず出ると…


『初めまして。お兄さんが勤めている会社で会長をしております澤田と申します』

「へ?あっ!いつも兄がお世話になっております」


兄の会社の会長からの電話に驚きつつ、咄嗟に挨拶をすると穏やかな声の会長は、今回の事を謝罪した。そして本当にこの話(お見合い)で兄の仕事や将来に影響がない事を念押しし最後に


『本当に一度お会いいただくだけで結構です。先方もそれから先は優子さんと直接話をするとの事… … … ちゃんと代わりますから待ってください』

「?」


会長は後ろからの声に困っている様だ。


『会長の電話を邪魔するなんて、どんだけ偉い人なんだ?』


そう思っていたら、猛烈に嫌な予感がし兄に受話器を押し付けようとしたら…


『優子さん?』


耳から離した受話器から会長と違う声が聞こえて来た。その声は聞いた事がある。更に嫌な予感がし兄に受話器を差し出したが、兄は首を振り手を後ろに回し拒否をした。その間も受話器からずっと私の名を呼ぶ声がする。そして父は顎で電話に出る様に指示した。その仕草に腹を立てたが、仕方なく受話器を耳に当てると


『優子さん?』

「あ…はい。聞こえています」

『突然の事で驚かれたでしょ。ですが今強引にでも貴女と会う機会を作らないと後悔すると思いまして、澤田さんにお願いした次第です』

「…」


彼は強引な見合い話をまず謝罪し、一度でいいか会って欲しいと懇願した。彼の事はよく知らないけど、超セレブな上に美丈夫でモテるだろう。

そんな彼が私に会いたいなんて特殊趣味か、美的感覚がズレているかのどちらかに違いない。そう思っていたら彼が


『いつまでも周りからこの話をされるより、一度会って終わらす方が合理的だと思いませんか?』


彼の言葉に考え込む。確かに父や兄から見合いを言われ続けるより、さっさと会ってはっきり断った方が早いしスッキリするだろう。

それに彼も間違いの縁に執着せず、目が覚めるかもしれない。そう思い受話器を握り直し


「分かりました。お会いします。ただ1回限りですよ」

『ありがとうございます。日時はお兄さんに連絡させていただきます』


受話器を置き振り返ると父と兄が安堵の表情を浮かべながら、コーヒーとケーキを食べていた。

その姿にイラつきながら飲み終わったカップとお皿をキッチンに持っていくと、洗い物をしている母が食器を受け取りながら


「あまり気負わず、嫌なら”ごめんなさい”すればいいのよ。優はお兄ちゃんの事は気にしなくていいの」


そう言い微笑んだ。父と違い母はあまり兄と私を比べる事はしない。基本誰に対しても中立公平に物事を見る人。こんな時は母の存在が心の支えになる。


リビングで顔色が戻った兄の元に行き、相手から会う日時の連絡が入るから調整する様に言い自室に戻った。そして部屋で枕相手にプロレスをし鬱憤を発散。そして翌日筋肉痛で苦しむ事になった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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