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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
「始まりの物語」
6/60

それは大切なもの

頭痛が痛いは、普通に使いますので、ツッコミ禁止で。

 1台のエアバイクが、ジャクリーヌを目指して空を飛んでいた。運転している女性「エスメラルダ」は、後ろに乗っている女性「リリベット」をジャクリーヌに連れていく依頼を受けた。リリベットは貴族であり、ジャクリーヌの王妃となる予定なのだが、護衛無しで向かうのは危ない。


「あ、見えてきた。リリベット、あそこがジャクリーヌよ」

「あれが、ジャクリーヌ……。海がきれい……」


 遠くに見える海が太陽の光を反射して、キラキラと輝いている。リリベットが住んでいた近くには、海は無かった。初めて見る海に、目を輝かせている。


「エスメラルダ。お城に行く前に、海を見に行っては駄目かしら?」

「んー……本当は良くないけど、お城に入ったら、もうゆっくり見れないもんね」

「ええ。それに、あなたと海を見たいわ。思い出は多い方が嬉しいから」


 そう言われたら、駄目だとは言えない。一緒に海を見ることを約束すると、嬉しそうに笑った。エスメラルダとリリベットは同い年で、ジャクリーヌに向かう道中で自然と仲良くなっていた。ジャクリーヌにつけば、リリベットはお城へ。エスメラルダはまた旅に戻ることとなる。だからこそ、少しでもと言う彼女の願いを、出来るだけ聞くようにしていた。


「――でも、その前に……片付けないと、ね」


 地上から、向かってきた炎の球を青い光の障壁バリアが阻んだ。追っ手だ。リリベットがエスメラルダに依頼した理由がこれである。彼女が王妃になるのが気に入らない者たちが少なからずいるのだ。


「――エクレール」


 雷が、雨のように降り注ぐ。地上から聞こえてくる悲鳴に、リリベットは怯えながらもしっかりとその光景を目に焼き付けていた。貴族だから、女性だから、そんな理由でこの現実から目をそらすことは出来ない。これは、自分がジャクリーヌに嫁ぐことが決まった時に決意したことだから――――。


「もう……殺気で目が覚めちゃったわ……。あたしの眠りを妨げるものには、死あるのみ」


 エスメラルダの中から現れた、角が生えた女性「エクレール」は、雷を操ると、リリベットを追って来た刺客を全員倒して満足したのか、柔らかい笑みを浮かべた。


「リリベットちゃん、もう大丈夫よ。あなたの敵はあたしがぜ~んぶ、倒したから」

「ありがとう、エクレール」


 エクレールは、エスメラルダの首に腕を回して抱き着くと、前方の海を見てリリベットと同じように目を輝かせていた。


「マスター。あたしも海みたいから、早く行きましょ!」

「んじゃ、飛ばすわよ。しっかり捕まってて!」


 エスメラルダはアクセルを全開にして海へ飛ばす。青空の下を、風を切りながら飛ぶのは最高に気持ちがいい。リリベットは、初めての体験を楽しんでいた。

 ジャクリーヌの王妃になることは光栄なこと。しかし、それをよく思わない者たちにより、家族が狙われてしまった。そのために、本来はリリベットの傍にいる侍女「チョコチーナ」はいない。彼女は刺客を送って来た犯人の特定と始末をしてから合流することになっているのだ。


(最初はどうなるのかと思ったけど……こんなに楽しい旅になるなんて思わなかった)


 貴族の社会で生きてきたリリベットにとって、外の世界は驚きの連続だ。エアバイクも、最初は恐怖で震えていたことが懐かしい。

 ジャクリーヌから少し離れたところにある砂浜に降り立つと、エクレールが走り出す。エスメラルダはリリベットの手を取ると、エアバイクから降りるのを支えた。


「ありがとう」

「いえいえ。歩きにくいから、気を付けてね」


 砂に足を取られながらも、エクレールの元へと向かう。波打ち際に並んで立つと、海を眺めた。


「これが、海……」

「本当にしょっぱいのね~……」


 エクレールは水を舐めて渋い顔になる。それを見て、リリベットは笑った。


「2人とも、本当にありがとう。とっても楽しかった」

「楽しんでもらえて良かった。これから、大変だろうけどずっと応援してるからね。それに、最後まで見届けてから旅に戻るつもりだから、何かあれば連絡して」


 そういうと、右手を差し出した。リリベットはその手を取る。繋ぐ手が淡い光を放ち、すぐに消えた。


「困ったことがあれば、名前を呼んで。いつでも駆け付けるから」


 淡い光はそのためのものだと説明すると、リリベットは胸元で右手を左手でぎゅっと包み込んだ。


「……さあ、行きましょう」

「ええ」


 エクレールはふっと空気に溶けこむように消え、エスメラルダとリリベットはエアバイクに乗り込むと、ジャクリーヌの城へ向かう。


 ジャクリーヌの上空を通過するエアバイクをマーガレットが見上げた。


「……あれ?」


 違和感を感じて、地面をほうきで掃いていた手を止める。


「んー……なんか、なんだろ?」

「シスターマーガレット。手が止まっていますよ」

「シスターセシリア、あれ。あのエアバイク、変な感じしませんでした?」

「しません。手を動かしなさい」


 渋々、掃除を再開するマーガレットだったが、あの違和感の正体が気になって仕方がない。のちに、その違和感の正体に気が付き、セシリアを激高させる事件を起こすことになるとは、この時は誰も気が付いていないのだった――――。


「エアバイク」

 空飛ぶバイク。燃料はガソリン……なわけなく、錬金術で作り出した石が燃料です。自分で作れるので、殆どの錬金術師の人達はエアバイクを所有しています。最新のエアバイクはモニカが関わっている。

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