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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
未来への物語
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再会

 突然現れた悪魔達が、街で暴れている。暴れているのはカミーユにグラキエスと呼ばれた悪魔の配下達と、実験の犠牲になった悪魔の仲間達だ。仲間意識など存在しないが、カミーユの行った行為は、悪魔を怒らせるのに十分な理由である。

 セレスの干渉で動きが鈍くなったとはいえ、数が多すぎる。結界を張って、城の方へ侵攻することは防いでいるが、きりがなかった。街の人たちは、悪魔の対処をシスター達に任せた騎士団と自警団の連携で、安全な場所へと避難できていることが唯一の救いかもしれない――――が、この場に1人、足りない。


「シスターマーガレットは、どこに行ったのですか⁉」

「そ、それが、気が付いたらもういませんでした……」


 そう。マーガレットの姿が見当たらない。彼女はというと、人を探して街中を走っていた。


「絶対、絶対、そう!」


 カトリーヌ達と悪魔の対応をするために向かっていた途中で見かけたのは、ティアだ。見間違えるはずはない。少し雰囲気が変わっていたけれど、絶対に彼女だと確信していた。

 でも、なぜ死んだはずの彼女が生きているのだろうか。と思うところだが、クローン――――オフェリアの話を聞き、あの時に見た似ていた彼女、ティアは生きていたのだとマーガレットはついさっき確信して、単独行動を取っていた。


「生きてた、生きてたんだよ! ダリアにも知らせなくちゃ!」


 嬉しくて、スキップしてしまうマーガレットだったが、殺気を感じ、足を止めた。現れたのは「ファタモルガナ」。何故、見えるのだろうかと疑問に思う以前に、それがファタモルガナだと分からないマーガレットは、咆哮と共に向かって来たファタモルガナの攻撃を避ける。今まで自分がいたところに、大きなクレーターが出来ていた。


「うわぁ……殴られたら、ぺっちゃんこ……」


 いつもと違う銃を構えたマーガレットは、再び向かって来たファタモルガナの攻撃を避けると、引き金を引いた。弾丸は、ファタモルガナの頭に命中し、ファタモルガナは崩れて消えていく。もしものために、対魔の武器を携帯していて正解だったと胸を撫で下ろしたマーガレットは、再び走り出した。


「んー……多分、こっち!」


 なんとなく、こっちにいる気がするという勘だけで、マーガレットは突き進む。その途中で、何回かファタモルガナに遭遇したが、すべて難なく倒していた。さすがのマーガレットでも、この見たことがない敵に疑問を持ち始める。


「魔物じゃないけど、魔物用の武器で倒せるのはなんでだろう? でも、魔力マナを感じるし……どっちかっていうと精霊寄り? でも、精霊って、こんな化け物じゃないし」


 発言と行動で、偏見を持たれてしまう彼女だが、勘は鋭い。答えに近づきつつあるマーガレットは、自分が街外れまで来ていたことに気が付いた。このまま行けば外へと出るのだが……そこに――――いる。強い力を持ったティアが、そこにいるのだ。


(え……? なにこれどういうこと?)


 深呼吸し、銃を持つ手に力を入れる。そして、地面を蹴った。飛び出すと、引き金を引く。立っているティアの周りに蠢くのは闇の精霊。そして、街へ侵入しようとするファタモルガナは、弾丸に撃ち抜かれて崩れていった。


「……シスター?」


 ティアから少し離れたところに立っていたカミーユに、怪訝そうに見られたマーガレットは、「わかりました!」と叫び、ビシっとカミーユを指さした。


「諸悪の根源は、あなたですね! ティアモお姉ちゃんを操って、悪いことをしようとしている。そんなこと、このわたし、シスターマーガレットが許しません! 覚悟してください!」


 ポカンと口を開けたカミーユは、頭の中で色々考えた。ツッコミどころが満載の彼女の発言に、どう対応すべきか悩む。悩んでいるカミーユに向かって、迷いなく銃を連射するマーガレットだったが、闇の渦に吸い込まれて消えた。


「シスターのくせに、人に銃を向けるなんて神への冒涜だって、怒られるんじゃないか?」

「何言ってるんですか? あなた、人じゃないでしょ」


 マーガレットにはお見通しですよと胸を張る。


「ふーん。面白いな。魔力マナとの相性も良さそうだ。――――シェティ」

「はい」


 複数の闇の触手が現れて、マーガレットを捕らえようとするが、スカートの下から取り出した短機関銃で全て撃ち抜いた。しかし、自分の影から現れた闇の手に捕まってしまう。


「ぬよっ⁉」


 捕らえたマーガレットを、カミーユの元へ運ぶ。カミーユの手には注射器があり、マーガレットの顔が青ざめた。


「な、何する気ですか⁉」

「上手く行けば、彼女と同じ存在。失敗したら死ぬけど、まあ、構わないよね」

「ヒッ……! 助けて、ティア……ティアモお姉ちゃん!」


 ――――ティアモお姉ちゃん……?


 触手が緩んだ。マーガレットは、カミーユの手を蹴り上げながら抜け出すと、後方へと着地した。手から離れた注射器は遠くに落ち、風の刃によって粉々に砕け散る。


「っ……。ああ、もうなんなんだよ!」


 痛む手を押さえながら、マーガレットを逃がしたティアを睨みつけると、彼女は迫りくる紫の光と戦っていた。


「なんだ……?」

「――――神への冒涜って、よく言えるわね」


 後方から聞こえた声に振り返ると、そこにエスメラルダがいた。もっといいサンプルが来たと喜ぶカミーユを、紫の光が攻撃する。


「うわっ!」


 慌てて飛びのいたが、白衣が焦げて穴が開く。追い打ちをかけようとするエクレールを制した。


「街に現れたファタモルガナ、悪魔。全部、あなたの仕業よね、グラントリー=オア?」

「ああ、誤解しないでもらえるかい? 悪魔は、勝手について来たんだ。オレのせいじゃないよ。う~ん、なんで、その名前知ってるかな? まあ、いいや。それより、ファタモルガナって失敗作のことかな?」


 ティアと共にジャクリーヌの下に眠る遺跡に入り、逃げるときに持ち出した精霊石を使った。ティアの力で、精霊石はファタモルガナを認識させて、存在を現実へ引っ張り出したのだ。


「ジェシカも、意外と酷いことするよな。こんな醜い姿になって、かわいそうだ。マザーって呼ばれてる割にさ、こんな研究して子供殺したんだ。オレより酷くない?」」


 次の瞬間、カミーユの左手が引き千切られた。


「――――マザーを侮辱するのは許さない!」


 


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