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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
未来への物語
53/60

シスター達は考える

 ジャクリーヌに、マーガレットが驚いた声が響き渡る。その1秒後には、カトリーヌが振り下ろした聖書の角が頭に突き刺さった。


「ふぐぬよー⁉」


 よく分からない悲鳴を上げて、マーガレットは頭を押さえながら床を転がっていき、壁に激突した。


「上級悪魔のいる場所は聖女教会に匿名ではありますが、連絡がありました。そちらは、レダ様の指示の元、対応するそうです。こちらには、シスターシャンティと、枢機卿カーディナルが1名、向かっています。近いうちに、悪魔を使った何かが襲撃してくる可能性があるため、ヴァルキュリアと連携を取りつつ、対応します」


 痛がるマーガレットを気にすることなく、話を進める。ジャクリーヌにはセシリアとセシリアの下で悪魔祓いとしての経験を積んだシスターが5名。それプラス、マーガレットで今まで悪魔と戦っていた。カトリーヌとシャンティ、枢機卿カーディナルが加わったとして、どこまで対応できるのだろうか。


「悪魔が、あの化け物のようなモノに姿を変えると言うことですか?」

「ええ、恐らくは」


 シスター達は顔を見合わせる。悪魔があのように、人に利用されるなど、考えられない。


「うう……シスターカトリーヌ……酷いです……」


 痛む頭をさすりながら、マーガレットが戻って来た。


「シスターマーガレット。今のこの状況は分かっていますね?」

「え? はい、もちろん!」

「そうですか。もうすぐ、枢機卿カーディナルが到着します。今のあなたを見たら……どうなると思いますか?」


 にっこり微笑むカトリーヌに、短い悲鳴をあげたマーガレットは直立不動のまま、顔が青ざめていった。枢機卿カーディナルはシスターよりも立場は上。失敗したら、自分の首が飛ぶと瞬時に理解したマーガレットは、静かになった。


「上級悪魔を従わせることが出来るということは、その呼び出した悪魔の印を持っているか、生贄を用意していたのか……色々な可能性がありますが、話を聞く限り、好奇心で召喚してみたら、上級悪魔――――という可能性が一番濃厚ですね」

「好奇心で悪魔を……⁉ なんて、恐ろしい……」


 シスター達がざわつき始める。セシリアが咳ばらいをすると、静まり返った。


「いつでも、戦える準備を怠らぬよう」

『魂の救済を』


 それぞれの部屋に戻っていくシスター達を見送り、カトリーヌは息を吐いた。上級悪魔に、クララの命を奪った悪魔がいるが、その悪魔の可能性は低い、とレダから連絡が入っていた。


「報告通りの悪魔なら、無礼を働かない限り、人を殺すことはしない悪魔です。それよりも、カミーユの方が危険ですね」

「ええ。何をしようとするのか、全く予測できません。悪魔を捕らえて、どうしようというのでしょうか……」

「……あのー……シスターカトリーヌ、シスターセシリア。発言してもいいですか?」


 部屋に残っていたマーガレットは、発言の許可を得てから思っていることを口にした。それは、ファタモルガナについて。悪魔に興味を示すわりに、ファタモルガナには興味を示さないのはなぜだろうか。


「失敗作に興味がないのでしょう。ですが、そうですね……今後、無いとも限りません。その可能性は恐らく、ヴァルキュリアの皆さんも考えているでしょう」

「精霊と悪魔とファタモルガナ……全部合わせた化け物とかですか? それに耐えきれる身体って存在するのでしょうか? あ、これから作るとか……」

「恐ろしいことを言わないでください、シスターマーガレット。そんな非人道的行為……」


 セシリアは、そこで言葉を止めて、カトリーヌを見た。


「……しそうですね」


 考えただけでもゾッとする。しかし、あくまでも可能性だ。カトリーヌは机に置いてある紙の束を手に取った。それは、アルザスに依頼されたものだ。


「シスターカトリーヌ。それ、何ですか?」

「昔の聖女教会の記録……そうですね、保護した子供や女性などの記録です。と、言ってもジャクリーヌ周辺だけですが」


 本部に保管されている者は、シャンティが持ってきてくれることになっていた。調べているのは、ジェシカについて。可能性がある人物がいないか、調べていたのだ。


「シリウス様と似ているのなら、行方不明になった王妃と王子のつながりの可能性が高いと考えているようです。聖女教会に保護されている可能性があります」

「なるほどー……王様が亡くなる1か月前に行方不明になったんでしたっけ?」

「ええ、そのように記録が残って……」


 ふと、気が付いた矛盾。ジェシカの推定年齢と、行方不明になった王妃の年齢が近いという事実。一緒にいなくなった王子は、当時10歳だった。クレアは王妃と面識があったと思われることから、王妃であるという可能性は低い。それに、王妃の両親も他界している。


「え、もしかして、隠し子ですか?」


 恐ろしいことを口にしたマーガレットは、2人に睨まれて短い悲鳴を上げる。


「じゃ、じゃあ、姉妹だったとか?」

「王妃は1人っ子だったはずです」


 カトリーヌは資料の横に置いてあった、ノートを手にする。それは、ニキータが書いたとされる、自分が保護していた子供についてのノートだった。その中にジェシカに該当する者がいるわけがない。だが、何か手掛かりがあればと思い目を通していた。


「王妃も王子も、未だに見つかってないんですよね?」

「ええ。行方不明になった理由も、分かっていません」


 ある日、忽然と姿を消した王妃と王子。誘拐説、暗殺説などいろいろ出たが、王が亡くなってからのジャクリーヌに、2人を探す余裕などなかった。

 そこに、答えがあるのだろうか――――。


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