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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
未来への物語
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分かったこと、分からなかったこと

 ――――悪魔が騒がしいと、呪術師が言った。エスメラルダは聖女教会に向かう前に、エクレールに状況を探ってもらうため、自分の部屋で待機していた。聖女教会が気が付かない理由は何か。それが明らかにならなければ話にならない。


「……悪魔の気配に気が付かない。でも呪術師は気が付いた。まあ、それはわかるけど……」


 一切やらないと宣言しているにもかかわらず、呪術師に人を呪い殺す依頼は未だにある。そういったところに悪魔が絡んでくることなど、よくある話だ。

 依頼主が悪魔に取りつかれていたこともあるため、呪術師も悪魔の気配を感じ取ることが出来るようになったと言われている。


 1つの可能性が頭に浮かぶが、それを振り払う。


「……まさか、ね」

「――――マスター、分かったわ」


 エスメラルダの中から現れたエクレールは、目の前に立って報告する。


「聖女教会が気が付かない理由が、2つあって、1つは上級悪魔が呼び出されたから、下級悪魔が騒がしくなってるみたい。上級から逃げようとしてるだけだから、呪術師は気が付いたけど聖女教会は気が付かないんだと思う」

「上級悪魔……? また、とんでもないもの呼び出したのね。誰が呼び出したかは分かった?」

「んー……それが、結界が張られていて、近づけなかったの。結界のせいで、上級なのに聖女教会が気が付かないんだと思うわ。場所はかなり遠くて、エアバイクで行けば1日で行けるかな」


 エスメラルダは少し考え込んだが、エクレールにご苦労様と声をかけて頭を撫でる。嬉しそうに笑いながら、エクレールはエスメラルダの中へと戻っていった。


「さて、行きますか」


 部屋を出ると、下の階から話し声が聞こえて来た。


「あ、もしかして……」


 なんていいタイミングなのだろうか。手すりから下を覗けば、真剣な顔で立ち話をしているセシリアと、モニカの姿が目に入る。邪魔をしないように、静かに2人に近づくと、契約武器について話しているのが聞こえた。ならば、大丈夫かと声をかける。


「おお、エスメラルダではないか。どうしたのじゃ?」

「リリベットから伝言を頼まれたんですけど……」


 セシリアに悪魔の事を話すと、なんということでしょうとショックを受けていた。


「すぐにレダ様に伝えなくては……また、あの悲劇が起きないようにしなければなりません」

「悲劇? 何か、あったのか?」

「ええ。クララ様は……上級悪魔との戦いで命を落としました。あの時はシスターも少なく、クララ様を守りきれなかった。今回も、同じような悲劇が起こるかもしれない。それだけは阻止しなければ……。モニカ博士、武器の話はまた改めてお伺いします。失礼します」


 セシリアを見送り、モニカはエスメラルダに話しかける。エスメラルダの考えと同じ、カミーユの仕業ではないか――と。


「わたしも思ったけど、まさか、好奇心で悪魔を召喚したなんて……」

『ありえない』

「何が、ありえないんだ?」


 玄関に立つアルザスが不思議そうな顔をしていた。


「なんじゃ、今度はアルザスか。今日は忙しいな。ジェシカのことが分かったのか?」

「いや、違う。これは、ヴァルキュリア全員に読んでもらってくれ。そして、これはミスティ殿宛だ。渡してくれるか?」


 手紙を渡すと、すぐに帰って行った。

 モニカは、エスメラルダに皆を呼んでくれと頼み、キッチンに顔を出す。ご飯の下ごしらえをしていたキャラメルに、集まることと、長くなるかもしれないから飲み物を用意してほしいとお願いした。


「分かりましたぁ。ところで、誰からの手紙ですか~?」

「いや、差出人は書いてないんじゃ。全員集まってから読もうかと思ってな。ああ、ティーカップはわしが用意しよう」

「あや、ありがとうございます~」


 紅茶を用意し、皆のところへ向かえば、すでに全員揃っていた。キャラメルが、紅茶を注いでテーブルに置いていく。そして、席に着いたところで、モニカは手紙を置いた。


「アルザスから受け取った手紙じゃ。これは、全員読んでほしいと。それから、こっちはミスティ宛じゃ」

「私……ですか?」

「うむ。とりあえずは、先にこっちを読むとするかの」

 

 モニカは口に出して読んだ。その内容に、ヴェロニカが舌打ちをする。


「何も関係のない人達を巻き込むなんて、絶対にさせないわよ……! 自警団にも当然通達は出すわよね?」

「ああ、だろうな。もうすぐ婚約の儀だ。その弊害になることは防がなければならぬ。我々は、ファタモルガナへの対応。そして、ミスティを敵の手に渡すわけにはいかない。ミスティ、何が書いてあるのかは分からぬが、その手紙に目を通してもらっても良いか?」

「……はい」


 手紙の封を開け、四つ折りの紙を取り出す。開いてみると、クレアを守れなかったこと、そしてミスティも巻き込んでしまったこと、この先起こりゆる事の謝罪が書かれていた。ミスティがすぐに廃棄とならなかったのは、マザーの命令だった。


「私を、助ける方法を探してくれていた……」


 勝手に、ミスティを研究所に連れて行ったと報告を受けて、止めようとしたが間に合わなかった。自分が、あの時巻き込まれて死んだのは罰なのだと。


 ――――だが、結果としてカミーユが目覚めてしまった。


「なあ、ずっと気になってたんだけどさ、マザーがクレアを守ろうとした理由ってなんだ? クレアはマザーを知らなかったんだろ? なのに探し出して守ろうとした。マザーはクレアを知っていたってことだよな?」

「ミスティちゃん。そのことは書いてあったりする?」

「えっと……」


 ジェシカの正体が分かれば、繋がりが分かるかもしれないが、そのことについては書かれていなかった。

 エスメラルダはついでに悪魔の事も報告しておく。モニカは、やれやれと椅子の背もたれに寄り掛かった。これからが、本番。協力して乗り越えなければ――――。


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