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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
未来への物語
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かく語りき

 エクレールがエスメラルダの元に帰ってきたのは早朝だった。城の客間にヴァルキュリア全員と、カトリーヌ、セシリア。そしてアルザス、シリウスとリリベット。騎士団の代表としてソニアが同席。扉を背にして、チョコチーナが見張りとして立つ。少しだけ休んだエクレールが欠伸をしながら現れると、エスメラルダに寄り掛かりながら、聞いた話を語りだす。その話の発端は光翼人こうよくじんが最初に地上へと降り立った時まで遡った。


 ――――神の使いとして地上へ降り立った名もなき光翼人こうよくじんは、ジャクリーヌにやって来た。そこには人が作り上げた立派な遺跡が存在していて、とても強い力を秘めていたために降りたのだ。

 しかし、その遺跡を作り上げるまでに色々なものが犠牲となり、不満が蓄積していた人々は、光翼人こうよくじんが降りたことで、自分達には神の加護があると奮起し、その土地の領主を中心として反乱を起こした。

 王を討つことに成功した人々は、領主を新たな王とし、人の争いには手を出さず、傍観していただけの光翼人こうよくじんを守護神だと崇めた。

 ――――だが、平和は長く続かない。新しい王の元、国の再建を目指していたある日、王は病に倒れてしまう。病気を治す方法を探していた人々の耳に、光翼人こうよくじんの血を飲めば、病が治るという噂が入り、それを信じた人々に王を助けてくれと頼まれた。しかし、そんな力は持っていないと断ると、嘘をつくなと激怒した人々にクレアを人質に捕られてしまう。その時に斬りつけられた血を、人にとっては毒であるとも知らずに王に飲ませてしまった。当然のことながら、王は苦しみながら死んでしまう。そして、エスメラルダと琴音が見た記憶へと繋がるのだ。


 激しい戦闘の果てに残ったのは崩れた遺跡。その隣にあった城や街は瓦礫の山と化しており、人が暮らせる状態ではなかった。怒りや嘆き……すべては遺跡のせいと思った人々は、遺跡を埋めることを決意したという。

 その数年後に、魂と身体を別にされた光翼人こうよくじんは別の場所へ運ばれた。培養槽に入れられている、変わり果てた仲間の姿。その傍で、白衣を着た人間が何かの実験を行っていたが、運ばれてきた光翼人こうよくじんを見てうれしそうに笑った。


「あー、やっと来たか。うん、やっぱ、彼女のおかげだね。執着するものがあったからこそ、術が効いたってところか。ジェシカ、この2つは大切に保管しておいてくれ」

「ええ、わかったわ」


 女性が、身体を運んでいく。それを見送ると、男はどうしようか悩んでいた。その時はボーっとただ見ているだけだったが、覚醒した今なら分かる。クレアを愛してしまったことを利用され、術をかけられた私は、彼女の記憶をゆっくりと消されていき、心を壊されてしまったのだと。そして、自分を助けに来た仲間は同じような術をかけられたがうまくいかず、殺されてしまったのだ。


「本当に、単純で助かるよ。まあ、あんな死に方するのは予想外だけど、血を飲ませただけで病気治るわけないじゃん。ちょっと考えればわかると思うんだけど、バカばっかで助かるね。不老不死なんて存在しない。人を生き返らせることもできない。なら、魂を違う身体に移せばよくないかい? それが出来るのか出来ないのか。考えただけでもワクワクするね。幸いにも、被験体はいっぱいいるし、実験し放題だ」


 見られている。聞かれていることなどに微塵も気が付かない男は饒舌に語っていた。地上では、ニキータが子供の保護施設を運営していて、彼女に賛同した者達から資金が集まること。彼女の家族は長生きできないため、クローンを作ればいいと話を持ち掛けたこと……持ち掛けた理由は簡単。自分が実験という物をやってみたかっただけ。別に成功しようが失敗しようがどっちでもいいのだ。何故、恐ろしいものに変わってしまったのかの理由はそこなのだろう。


「クローンを作ることは成功したけれど、魂を移すのに失敗して、ニキータは全てに絶望して自殺。それから2年後に、ジェシカの魂を移すのに成功したの。でも、その頃には彼への不信感が強まっていて、それに気が付いた彼は、光翼人こうよくじんの身体に自分の魂を入れるという計画を実行したわ。果たして、それは成功した」


 全員の顔つきが変わった。引いている者もいれば、頭を抱えている者、怒りを露わにする者。そして、ミスティはショックのあまり俯き、震えていた。


「コールドスリープという技術を使って、誰にも気が付かれないように眠りについたの。そのことに気が付いているのは、ジェシカただ1人。だけど、彼女も用意されたクローンが亡くなると、彼が目覚めるように設定されてしまっていた」

「じゃあ、私が……私のせいでお父さんの身体が……」


 隣にいたアプリコットが、ミスティを優しく抱きしめる。


「ミスティ。結果として、お主の父親が覚醒し、わしらに真実を伝えてくれておるのじゃ。自分を責めるでないぞ」


 エクレールも頷いた。


「今、こうして一緒にいられることが嬉しいって言ってたわ。だから、自分を責めちゃダメよ」


 ミスティは胸の前でぎゅっと両手を握りしめ、自分の中の父親を感じ取ろうとした。


「……話を続けるわね。精霊石をいれる実験を率先して行ったのはジェシカ。すべて、彼を妨害するためよ。ジェシカは最初から彼を信用していなかった。彼は自分の好奇心を満たすためになんでもやる悪魔のような存在。光翼人こうよくじんの血を飲ませば病気が治ると吹き込んだのも彼の仕業だし……」


 エクレールはシリウスの顔が気になって見つめる。見られていることに戸惑うシリウスに近づいていく。


「ねえ、ジェシカって王族? 似てるんだけど」


「裏話」

 光翼人は、自身の血が人にとって毒であると言うことは知りませんでした。何故、毒になってしまったのかというと、人の醜さ、負の感情。それらにより、神が人に罰を与えたのです。

 

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