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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
「彼女達の物語」
33/60

近付く影

 話し合いが終わったあと、ダリアに会うというカトリーヌと別れたセシリアは、レダに報告する書類を作成するため、先に宮殿を後にした。聖女教会へ帰る途中、ミスティが落ちた場所を見てみたくなり、立ち寄る。


「……こんなところが崩れ落ちるなんて……。子供達が落ちなくてよかった」


 遺跡の上に街を造ってからの年数を考えれば、衝撃で簡単に穴が開いたことに納得できる。他にも、脆くなっている所があるかもしれない。


「あれ? シスターセシリア、こんなところで何してるんですか?」


 買い物を終えたマーガレットが駆け寄って来る。


「穴が開いて、人が落ちたというので確認しに来ただけですよ」

「え、穴?」

「見ての通り、もう塞がってますから大丈夫です。それよりも、シスターカトリーヌが使う部屋は掃除しましたか?」

「はい! もうバッチリです!」


 並んで教会へと歩きだした。カトリーヌは今日から滞在することになっている。場合によっては、他のシスター達が来るかもしれないため、その準備を始めていた。

 マーガレットは辺りをキョロキョロ見回し、カトリーヌを探した。


「あれ? シスターカトリーヌはどちらに?」

「ダリアさんに、あなたがかけた迷惑のお詫びをしている最中ですよ」

「はうっ!」


 ガーンという効果音を口にしたマーガレットに、セシリアは溜息をついた。


「いいですか? あなたは次が無いのです。落ち着いて行動するのですよ?」

「ううう……頑張ります……。あ! そっか。さっきの子も、それを確認してたのか~」

「さっきの子……? なんの話ですか?」


 話がいきなり変わったが、慣れているセシリアはいつも通りに聞き返した。


「すっごい、かっこいいですよね、スチームパンク! でも、舌打ちされちゃって~」


 スチームパンクの服装の人が、セシリアと同じところに立っていて、その服装がかっこいいと思ったマーガレットは、声をかけたが、舌打ちされた……ということらしい。

 セシリアは、ため息をついた。よく理解できたな、と自分を褒めたい。


「……それで、どうしたんですか?」

「頑張って話しかけたんですけど、眉間に皺寄せたままどこかに行っちゃいました……マーガレット、悲しいです」

「よっぽど、迷惑だったのでしょうね。同情します」

「ヒドイッ!」


 しかし、あんなところに人がいたなんて……と、少し気になり始めたセシリアは、教会へと戻ると、一番絵がうまいメヌエットに頼んで、マーガレットが見たという人物の似顔絵を描いてもらうことにした。


「シスターマーガレット、その人物に気になったところとかありませんか?」

「えー……うーん……。あ、確かタウって言っていたような……?」

「タウ……? ミスティさんに聞けばわかるでしょうか……。メヌエット、似顔絵が完成したら、宮殿に持って行ってもらえますか? それと、そのタウという言葉についても聞いてきてください」

「はい、シスターセシリア。あ、マーガレットはついてこなくていいからね」

「なんで!?」


 釘を刺されたマーガレットが、メヌエットに半泣きで詰め寄っている姿を見て苦笑する。後は任せて、自分の仕事をするため、セシリアは部屋を出た。


「なんで!?  なんで!?  なんで!?」

「はいはい。静かにして。シスターカトリーヌに報告するよ?」


 ピタッと動きを止めたマーガレットは静かに着席した。静かになったマーガレットに、描き終えた絵を見せる。


「こんな感じかな?」

「おおー、上手! うんうん、この人だよ。それにね、手にすっごいかっこいいアクセサリーつけてたの。鎧みたいなやつ」

「ふーん。じゃあ、それについても聞いてこようかな。あ、マーガレットは洗濯物お願いね」

「はうっ! そんなー! ダリアに会えると思ったのに~!」

「シスターカトリーヌに怒られるよ?」


 泣きついたマーガレットだったが、カトリーヌという名前に回れ右をし、洗濯物を片付けに部屋を飛び出していった。効果は絶大だ。


「……やれやれ。ほんと、なんでシスターになれたんだろ? ボク、疑問だよ」


 似顔絵を持って、外へと出たメヌエットは、宮殿へと向かった。途中、新しくなった自警団が街の見回りをしているのが目に入る。前と比べ物にならないほど生き生きとした表情で、メヌエットは自分の事のように嬉しくなり、微笑んだ。


「うんうん。もう、大丈夫そうだね」


 最初は、自警団で働こうと思っていたメヌエットだったが、ヴェロニカに全力で止められたことを思い出す。その代わりに仕事を探してくれたヴェロニカ。そして、シスターとしての能力が無い自分を、聖女教会で働けるように掛け合ってくれたセシリアには、本当に感謝していた。

 

「こんにちはー!」


 宮殿の玄関で大きな声で挨拶をすると、誰かが走って来る足音が聞こえた。キャラメルの足音ではない。アプリコットの足音だと思ったメヌエットの元へ、アプリコットが笑顔で駆け寄って来た。


「いらっしゃい~! さ、入って。キャラメルちゃんに会いに来たのかな?」

「今日はシスターセシリアに、ミスティさんにこれを見せて欲しいと言われて来たんですけど、いますか?」

「うん。こっちよ」


 アプリコットに手を引かれて、ミスティの部屋に向かう。そこには、エスメラルダと琴音、ヴェロニカもいた。


「あら、いらっしゃい」

「こんにちは。えっと、ミスティさんにこれを持ってきたんだけど……」


 持ってきた似顔絵をミスティに渡す。


「似顔絵? あいかわらず、上手ね。でも、どうしたの?」

「シスターマーガレットが、見かけた女の人だって。なんか、穴が開いたところに立ってて、タウって呟いたって言ってたよ」


 似顔絵を見ていたミスティが顔を上げた。


「タウ……。私を追いかけて来たドール、私が倒したドールの名前です。タウのことを知っているということは同じドールです」


 ――――新たな追手が、近くに……いる。


スチームパンクファッションかロマンチゴスで悩んだことを思い出す。

次、スチームパンクの話にしようと最近思って、ロマンチゴスにするんだったと今更後悔中です。

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