真実は未だに
コロナのワクチン3回目GW前に打てて良かった。しかし、周りが次々とダウンしていく中、私は37.2℃で終了しました。あれ? 意外と平気……。(平熱が36.7℃の女)
体温高いの羨ましがられたけど、今は高いとお店入るときドキドキするんですよ。ワクチン接種のときも、一度37.2℃で、説明したら納得してもらえて打ってもらえたけど、色々大変です。
用意された紅茶がすっかり冷めきった頃、応接間はどんよりとした空気に包まれていた。
「ううむ……肝心の目的がはっきりせぬな……」
ニキータについては誰もが知っている。子供のために活動していた貴族「ニキータ」。彼女を支援している者達が大勢いた。現在の歴史の教科書にも載っている。しかし、彼女の裏の顔を知る者などいない。聖女教会が調べなければ、未だに誰も気が付かないままだっただろう。ミスティがいた施設にもニキータの肖像画が飾られていたという。
「ファタモルガナが被験体のなれの果て……命を何だと思っているのでしょう……」
こんな事実をレダに報告せねばならないことに、カトリーヌは嘆いた。
「自分が見える人間に襲い掛かるというのは、怨みからによるものなのでしょう。我々聖女教会も、対応できればいいのですが……」
「ああ、それなんだが、私も考えていた。ファタモルガナを倒すための武器で悪魔を倒せるのなら、その逆も然り。そもそも、悪魔祓いの武器は私も関わっておるし……本格的に研究せねばなるまい。……キャラメル、どうした?」
何か言いたそうなキャラメルに声をかける。キャラメルは、このことと関係があるかわからないと言うが、セシリアに促されると、重たい口を開いた。
「その……両親から手紙が届いて……キャルが仕えるはずだったのが、オフェリア様だったと書いてあって……」
誰に仕えることになっていたのか、教えてもらえなかった理由は、怪しいと思った両親が、独自に調査していたためだった。崖に落ちた馬車はそこに流れていた川に落ち、下流で大破した馬車の破片や、乗せていた荷物、そこまでの間に亡くなった人や馬などが発見されたが、小さな子供について知る者は、誰1人としていなかったと手紙に書かれていた。
オフェリア嬢を見つけることは出来なかったが、手掛かりは手に入れていた。それは、彼女が大事にしていたという、クマのぬいぐるみ。水を吸ったそれは、川沿いにある街道の草むらに落ちていた。その近くには車輪の跡があったという。
何者かに、連れ去られたのかもしれないが、今だに真実はわかっていない。しかし、タモラ侯爵が殺されたことで、両親が分かっていることだけでも伝えるために手紙をくれたのだ。
「……ミスティ。オフェリア嬢に見覚えがあると、前に言っていたな?」
「はい。療養するために来ていた女の子に似ている気がしました。もし、その子がそのオフェリアという人なら……記憶を失っているかもしれません」
ミスティが、その少女についての記憶が曖昧なのには訳がある。施設に車椅子でやって来た少女は、怪我をしていた。記憶を失っていて、他人との接触を怖がっているから近寄らないようにと言われたからだ。
「記憶喪失ね。ってことは、記憶を操作された可能性があるんじゃない? 父親のせいで自分がこんな目にあった~とかさ。ヤバイ実験してたわけだし、そういうことも平気でしそうよね?」
「うんうん。そうかも。利用しやすいように、外部の接触を避けたのね、きっと」
「そうですね……。気が付いたら、いなくなってて……。誰も気にも留めませんでした。施設には、家族を失った子供の他に、奴隷市場で買われた子供とかもいて……、でも、そういうところから買われた子供ではなかったと思います」
奴隷市場や人買いなど、そういうところで売っている子供は、服がボロボロで髪がボサボサ。首輪や手枷などの跡が身体に残っている。しかし、オフェリアと思われる車椅子の少女は、怪我をしていること以外は気になったところはなかった。
「よし。情報を整理しよう。聖女教会が独自に動いていた施設に連れて来られた子供の救出。それと同時に、施設の地下にある研究所でクローンを生産していて、非人道的行為が行われていたと判断し、破壊して使えなくした。連れて来られた子供は、孤児、奴隷市場で買われた者達。その中から、実験に使えそうな者を被験体とした。で、使えなかった子供は普通に暮らしていた……でよいか?」
「はい。1人で生きていけるまでは、施設で生活できます。でも、大体の子は施設に残って、新しい子供の面倒を見ていました」
セシリアは、用意していたノートを広げ、レダに報告するために書き記していく。
「その施設は、何年か前までは外部からの侵入を防ぐ術は施されていませんでした。聖女教会にいる使徒と呼ばれる部隊が、救出と破壊を行っていたのですが、術がかけられていたことで施設が残っていることに気が付かず、全て壊したと判断されてしまいました」
重要な施設を隠すためのカモフラージュだったのかもしれない。現に、ミスティがいた施設は様々な実験が行われていた。行われていた実験の内容は、聖女教会とミスティが把握しているものが一致している。――――恐らく、当初の目的は、ニキータが家族のクローンを作りだして、家族の魂を移すことだったはず。それがいつしか、クローンをクローンが死んだら魂を移す入れ物に変わり、精霊を殺して身体に入れるという恐ろしいものに変わってしまった。
「聖女教会が探していたマザー。それと思われし人物は、ミスティを追いかけて来た人形が、死亡したと言っていた。だがそれ、もクローンが作られている可能性がありそうじゃ」
「ええ。マザーと思われた女性はいくつくらいでしたか?」
ミスティは少し考え込むと、多分20代と答えた。うろ覚えだが、とてもきれいな人だった気がすると続ける。
「マザーと呼ばれていた女性は、ニキータと同い年だったと聞いています。つまり、今、生きているということはありえない……。クローンに魂を移して長い時を生きているのだと推測できますね」
「うむ。そして、世界を救うために研究をしている……不老不死、いや神になりたいのかもしれぬ。光翼人で実験するならなおのこと、その可能性が高いな」
――――神をも恐れぬ行為。誰しもそう、思うのだった。
中編にあたる彼女達の物語も半分。最後まで駆け抜けていきます。




