表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Drive us crazy  作者: 神代 鶫
「彼女達の物語」
30/60

神をも恐れぬ

「ミスティ」

 ヴァルキュリアに保護されている、その身体に別の魂を入れられた被験体。失敗作と判断されたため廃棄体と呼ばれており、追われている。ローズミストの髪にフランボワーズの瞳。ロングストレートの髪の先の方を紐で纏めている。

 聖女教会の本部の帰って来たシャンティは、教祖と枢機卿カーディナル達に報告を行っていた。


「――――以上になります」


 マーガレットについての報告に加えて、悪魔の言葉など……気になった点を全て報告し終えて、一歩後ろへと下がった。両サイドには、11名のシスターが並んでいる。その中にカトリーヌの姿も見えた。


「シスターシャンティ。ご苦労様でした。シスターマーガレットは謹慎処分のみといたしましょう。ですが、次はありません。そう、伝えて下さい」


 シャンティは深く頭を下げると、カトリーヌの隣に立った。


「……さて、その悪魔が言っていた人形ですが、完成したのでしょう」


 教祖レダの言葉に、緊張が走る。


「相性が良い子供のクローンを生産して、精霊と同化させる実験が続けられていたということですか? しかし、使徒達により、研究所は破壊され……子供たちを保護したのでは?」

「ええ。ですが、マザーと呼ばれる女性を見つけることは出来なかったと聞いています。わたくし達に見つからない場所に、新たな研究所を作ったのでしょう。そして、研究を続けていた」


 聖女教会は、悪魔祓いだけではない。孤児院や、ボランティア活動など色々なことをしている。その中の1つが、研究所と呼ばれる場所から子供たちを保護することであった。その存在に気が付いたのは、聖女教会の最初の教祖「クララ」が、生き別れとなった双子の姉を探したからである。


「タモラ侯爵を殺害したのは、オフェリア嬢のクローン。事故と見せかけ崖に落ちた。しかし、オフェリア嬢は生きていて、何者かに保護されたのち、研究所へと連れていかれた。シスターシャンティの考えは当たっているでしょう。――――ですが、何故、父親をその手にかけてしまったのか……それはわたくしにもわかりません。分かっているのは、人形は完成してしまったということだけです」


 シャンティは発言の許しを得てから、レダに問う。それは、マーガレットの前に現れたオフェリアの姿をした人形のこと。あれからは、魔力以外、何も感じ取れなかった。


「傀儡を使う人形がいるのでしょう。オフェリアという存在を捏造したい理由があるとするならば、自分達の存在を公にしたくない――――公にする時ではないのでしょうね。実験をしていた理由は未だ解明されていません。ニキータが、自分の家族を取り戻すために始めた実験が、いつしか歪められてしまった」


 ニキータが愛する夫と子供を失ったショックで、道を外れてしまったことは分かっている。しかし、そこから精霊と人の融合に変わってしまったのかは誰も知らない。

 使徒と呼ばれる悪魔祓いのシスターとは別の聖女教会の者達が、非人道的行為を行っていた施設から子供の救出、研究所の破壊を行っていた。その時に、研究内容が変わった理由についての情報を得ることは出来なかった。働いていた研究員や子供の世話をしていた者達、誰一人として知らなかったのだ。


「つい最近見つかった、研究所があったと思われる場所についての報告があがっていましたね?」

「はい、レダ様。生存者はいませんでした。遺体も見つかってはいませんが、生活用品や、衣類などが確認できたため人が生活していたのは間違いありません。施設にたどり着けないようにする術がかけられていたため、誰にも発見されていなかったようです。建物は全て倒壊しており、地下にあったと思われる研究所へと崩れ落ちていました。残っていた魔力は精霊の物でも人の物でもない、まったくの別物であるとのことです」


 では、なんの魔力だというのだろうか。渡された報告書に目を通すレダの表情が、曇っていった。

 クレーターの地上に住居。地下に研究所。それを囲うドーム型の屋根。実験が行われていた施設には間違いないが、見つかる前に破壊したとは思えない。


「……これは……。しかし、そうだとするならば……」

「レダ様、如何なさいましたか?」

「――――シスターカトリーヌ」

「はい」


 レダに名を呼ばれたカトリーヌが一歩前に出る。


「今すぐ、すべての始まり……ジャクリーヌに向かう準備を。シスターセシリアと共に、モニカ博士の元にこの報告書を届けて下さい。近いうちに、……何か良くないことが起こります」

「かしこまりました」


 カトリーヌは頭を下げ、部屋を後にする。それを見送り、レダは他のシスターにも、いつでも対応できるようにしなさいと声をかけた。

 シスター達が退席し、枢機卿カーディナル達はレダの方を向く。


「レダ様。モニカ博士ということは、ファタモルガナが関係しているということでしょうか?」

「この調査結果の数値……施設にいた子供達は、灰と化したのでしょう。そして、この魔力……これは、光翼人こうよくじんの物です」


 枢機卿カーディナル達がざわつき始める。人と光翼人こうよくじんとの融合。勿論、光翼人こうよくじんは聖女教会にとって神である。神をどこまで愚弄すれば気が済むのだろうかと、怒りを露わにしていた。


「まさか、光翼人こうよくじんを使って実験をしていたということですか?」


 不老不死である光翼人こうよくじんは、最初に囚われた者が原因で、人に罰を与えるため降り立ったという記録が残されている。その中の何人かが捕まったのかもしれない。


「シスターカトリーヌに、モニカ博士への手紙を持って行ってもらいましょう。今後は、連絡を取り合う必要がありそうですね」


 枢機卿カーディナル達はレダの前に跪いた。


「迷える魂に救済を」


「セシリア」

 聖女教会のシスターで、悪魔祓い。メヌエットのことを本当の妹のように思っている。カトリーヌとは同期である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ