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Drive us crazy  作者: 神代 鶫
「彼女達の物語」
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噂を現実にする

「アプリコット」

 ストロベリーブロンドのロングヘアにターコイズの瞳の20歳の女性。可愛いもの大好きで、スキンシップ過剰。

 両親が庭師で、その仕事を見ているだけで覚えた技術はプロ並み。

 コーヒーも紅茶も砂糖を使わないが、甘いものが苦手ではない。(モニカのは論外)

 何でも、見ただけで出来てしまう才能を持っているため、彼女の事を妬んでいる人もいるが、ここは自分を必要としてくれているため、ヴァルキュリアであることは生き甲斐となっている。


 ――――悪魔の仕業という事にすればいい。


 アルファからの報告を受け、指令を受けたスチームパンクのような服装の女性「ユプシロン」は、別荘地を見下ろせる場所にいた。タウと行動していた彼女は、一度ミスティのことを報告するために戻っていて、そこでタウの事などの報告を受けたのだ。


「タウが殺されるなんて……。廃棄体のくせに生意気だわ」


 右手に持っているステッキの先で地面を叩くと、爆発が起きて、地面にクレーターが出来る。そのステッキを持つ手は、精巧な甲冑のようなフィンガーアーマーが着けられていて、美しい装飾が施されていた。

 人の目につくようにブラッドストーンを置いたのは彼女だ。悪魔を呼ぶ儀式で必ず使うアイテムの1つであり、その欠片があるということは悪魔の仕業を疑う。計画通り、マーガレットが拾ってくれた。


「オメガの後始末しなきゃいけないのは、まあ仕方ないけど。……プシー、死んじゃったもんね」


 彼女達は基本、ペアで行動しているのだが、オメガとペアを組んでいたプシーは、自身のクローンを破壊。そののちに自殺してしまった。それからは、実験途中で精神を病んでしまう被験体は、プシーのようにならないように対応している。


「タウが復活するまで、雑用頑張るか~。――――よし」


 気合を入れ直したユプシロンは、用意しておいた「悪魔を召喚した人間」を呼び出す。それは小柄な女性で、虚ろな瞳が赤く染まっていく。


「……ナンダ、モウ悪魔祓イガいるジャナイカ。話ガ違うぞ? 悪魔祓いを呼び、低級悪魔を退治させるのではなかったのか?」


 悪魔の声と本来の彼女の声が混ざって聞き取りにくいが、瞳が完全に赤くなると声は彼女の声になる。


「仕方ないでしょ? 悪魔の仕業って話が思った以上に早く広まっちゃったんだから。遅かれ早かれ悪魔祓いが来るわよ」

「やれやれ。人形よ。悪魔祓いがいるならば、低級悪魔を向かわせる前にわたしと戦うことになるだろう。それは契約違反だ」


 悪魔を召喚したのはユプシロンだが、契約することは出来ない。そのために、別の人間を用意した。それが、彼女「エリナ」だ。タモラ侯爵が死ぬことで得をした人間に仕える侍女である彼女。悪魔と契約するのに相応しい人間である。

 彼女の姿で現れて、低級悪魔を呼び出す。彼女の魂を喰った後、身体は捨てて、騎士達に回収してもらう予定だった。

 ――――しかし、その計画はマーガレットの出現により崩れてしまった。これでは契約が成立しない。


「悪魔祓いを足止めすればいいんでしょう? そのくらいするわ」


 革のトランクをステッキで叩けば、中から40センチほどの人形が飛び出して地面に落ちる。

ステッキの先を地面に突き刺すと、魔方陣が広がっていった。


「――――術式構築、接続――――完了」


 ユプシロンの声に反応するように魔方陣は輝き、歯車が回りだす。光は人形へと集まっていき、人形はオフェリアへと姿を変えた。


「行きなさい」


 オフェリアの姿をした人形は姿を消した。


「後は、任せるわ」

「いいだろう」


 悪魔も、姿を消した。懐中時計を取り出し、時間を確認する。時刻は午後7時になるところ。もう、悪魔が出てもいいころだ。


「さあ、始まるわよ」


 ユプシロンは満足げに微笑むと、望遠鏡で状況を確認することにした。見えたのは、悪魔祓い――――マーガレットの姿。


「え!?」


 暗くなって来たため、店を出たマーガレットの目の前を人形オフェリアが通り過ぎる。


「あれって、オフェリアさん? ねえねえ、そうですよね?」

「は、はい。間違いなくそうかと……」


 ハーツもまさかの出来事に困惑していた。本来ならば、すぐに捕まえるべきなのだが、ハーツはまだ新米である。マーガレットの隣でただただ困惑しているだけだった。


「おーい!」


 マーガレットが大きな声で声をかけると、人形オフェリアは消え去った。


「消えた……!?」


 驚くハーツの横で、マーガレットが首を傾げる。


「うーんと、悪魔じゃな――――くない! 悪魔の気配!」


 一帯に広がっていく穢れ。マーガレットにはそれが見えていた。禍々しいそれは、ハーツに襲い掛かると、ハーツは胸を押さえて苦しみだした。


「大変!」


 ハーツに触れる手が輝き、穢れを一瞬で浄化した。


「大丈夫ですか!?」

「は、はい……。私よりも、シスター。オフェリア嬢を追ってください……」

「わかりました。これを持っていてください。悪魔から守ってくれます」


 ハーツに十字架のナイフを渡し、マーガレットは駆け出す。アレには悪魔が憑いていなかった。


「一瞬で、広範囲に広がるなんて……相当強い悪魔の仕業。ふふふ……倒せば間違いなく未来は明るいわっ! シスターマーガレット、張り切っちゃうぞー!」


 壁を蹴り上げて、建物の屋根に着地する。街が見渡せる屋根の上を移動して行くマーガレットは、穢れにやられて苦しむ人々の姿に気がつくと、十字架のナイフを地面へと投げた。地面に突き刺さると、聖なる力で穢れを浄化していく。


「―――あー! みーっけ! 神の名のもとにっ!」


 マーガレットの声に驚く悪魔。その悪魔の周りに、騎士達が穢れにやられて倒れている。十字架のナイフを取り出すと、悪魔を囲むように投げつければ地面に突き刺さり、結界となって悪魔を閉じ込めた。


「何っ!?」

「シスターマーガレット、降臨で~すっ! あなたの悪事、天が許してもこのわたしが許しません! 覚悟してください!」


 悪魔の前に立ちふさがったマーガレットは、右手の人差し指を天に突きあげた――――。

「悪魔」

 召喚した者は願いを叶える代わりに対価を払う。上級悪魔の方が話は通じるらしい。ブラッドストーンは悪魔召喚必須アイテム。基本的には自ら人間と関わろうとはしない。(低級悪魔を除く)誇り高きプライドがある。

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