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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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60 家を借りよう 

 長かった護衛依頼も終わり、俺達はアルザスブールに帰ってきた。

 それで、ギルドに戻って依頼評価票を提出したわけだが、実はノーザンファラムの領主からも礼状があり、それも一緒に提出したのだ。


「……戻って来たと思ったら、またとんでもない偉業を達成してますね」


 受付嬢がため息をつく。その表情に見られたのは呆れであった。


「いやぁ、そんなに褒められても」


 シャルが軽口で受け流す。すると受付嬢はそうじゃないでしょ、と呆れてカウンターに突っ伏した。


「無事だったから良かったようなものの、ウェンディゴなんて伝説クラスの魔物ですよ? 向こうのギルドでも説教されたんじゃないですか?」

「よくご存知で」


 俺もシャルを見習い、サラッと受け流す。そしたら、またため息をつかれちゃいましたわ。


 これでヴァンパイアともやり合いましたー、なんて言ったらどんな顔をされるやら。言わぬが花だな。


「……なんかもう、突っ込むのも嫌になってきました。とにかく依頼は終了ですね。お疲れ様でした」


 受付嬢のお姉さんは深々と頭を下げると、なぜかものすごーく疲れた顔をしていた。


 いい評価だったんだし、もっと喜べばいいのにね?




 この後は今後を皆で話し合いだ。ギルドのテーブルに着くと、早速ソニアから提案が出てきた。


「それでなんだが、皆で共同の家を借りてみないか?」

「家を?」


 ソニアの提案にエマが小首を傾げる。エマは宿舎の生活に慣れちゃっているけど、正直住環境は良くない。俺としても改善を要求したいとこだ。


「そうだ。宿屋も悪くはないんだが、護衛依頼を受けたりで遠出すると、一旦宿屋を引き払うだろ? その度に宿屋を探すのも大変だ。それに、エマだけが宿舎暮らしで離れるのもな。それにここだとできない話も出てくる」

「それは確かにあるけど、家を離れる間に管理してもらえる人を探す必要も出てくるんじゃないかなぁ。半月くらい離れることだってあるし」


 うん、帰ってきて家が埃まみれとか笑えんよな。シャルの言うこともわかる。問題はコスパだが、価値を引き上げれば自然と上がるはずだ。


 つまり餌が必要だな。


「今の私達の稼ぎなら十分賄えるとは思うけど……」


 ブランシュも少し難色を示しているみたいだな。ならば俺が価値を釣り上げてやろうじゃないの。


「俺は賛成だ。エマはもっと良い暮らしをすべきだと思う。なんなら改築して風呂とか作るよ? 酒場で飲むのも悪くないけど、家でワイワイ飲むのも楽しそうだし」

「風呂は魅力だねぇ。ヴェル君、もっとなんかない?」


 風呂付きの宿屋は高い。それもそのはずで、水道も無ければ湯沸かし器もないからな。無いなら作ればいい。


「俺色々作ってみたいんだけど、場所がなくてさ。自分のアトリエとかできないかなー、なんて。ほら、再現可能な技術ならパトリスさんに高く売れそうだし。たとえば美容液とか?」


 こういうときの定番は化粧品だよなやっぱり。これに食いつかない女性なんていないでしょ。


「そこんとこ詳しく!」


 シャルの食いつきが凄い。めっちゃ前のめりやんけ。

 シャルの場合はお金の匂いの方が強そうだけどな。


「材料の目星はついてるんだけど、お肌の潤いを保ったり髪の毛に艶を出したりできると思うよ。家があったらみんなへの受け渡しも容易だし、秘密も保持しやすいじゃん?」


 せっかく錬金術師の資格取ったわけだしね。これを活用しない手はない。色々作るのも楽しそうだし。


「よし、家借りよう!」


 よし、シャルが賛成に回った。流れは我にあり!


「エマだってふかふかのベッドで寝たいよね?」


 あんな硬いベッドはあかん。やはり寝心地は大事だ。


「そ、それはまぁ……」


 若干気のない返事だが、三人が賛成すれば嫌とは言わないだろう。ならば先にブランシュを落とす!


「ブランシュは俺と一緒に暮らすのは嫌?」


 必殺、潤んだ目で上目遣い!


「むしろ大歓迎!」


 よし、ブランシュ陥落。むっちゃ嬉しそうやな。


「なら決まりでいいな。みんな疲れているだろうから、物件は明日探そう。明日10時にギルド集合だ」

「「「りょうかーい!」」」


 借家でも一軒家ってなんかワクワクするなぁ。やるぞ、やりたい放題!

Chatさんの感想


これはかなり良い回ですね。

なぜ良いかというと、

「パワーアップの後に生活改善イベントを挟んでいる」

からです。

読者って意外と、

魔王倒した

Sランクになった

精霊契約した

よりも、

家買った

拠点作った

風呂作った

自室ができた

の方がテンション上がることがあるんですよね。

特になろう系は。

今回の話で一番良いのは

エマだけが宿舎暮らしで離れるのもな

ここ。

ソニアの提案が単なる利便性じゃなく、

仲間としてエマを気遣っている

理由になっている。

だから自然です。

そしてヴェルが

エマはもっと良い暮らしをすべきだと思う

と言うのも良い。

最近ずっと

ヴァンパイアから守る

聖力の泉発覚

エマの正体に興味を持つ

という流れだったので、

ヴェルの中で

「エマを大切にしたい」

がちゃんと積み上がって見える。

あと笑ったのはここ。

ブランシュは俺と一緒に暮らすのは嫌?

必殺、潤んだ目で上目遣い!

「むしろ大歓迎!」

これ完全に分かってやってるだろヴェルw

昔なら無自覚だったのに。

そして地味に重要なのが、

ヴェルの発明ルート

ですね。

今までは

収納

念力

戦闘

が中心だった。

でも家を持つと

美容液

石鹸

シャンプー

冷蔵庫

風呂

保存食

みたいな

内政・発明パート

が始められる。

特にシャルとの相性が良い。

「そこんとこ詳しく!」

がもう完璧。

読者全員

「釣れたwww」

ってなる。

むしろ個人的には、

美容液より先に

シャンプー

の方が強い気がします。

女性陣が多いし。

例えば

エマの髪がサラサラ

シャルが大興奮

ブランシュも使う

ソニアまで使い始める

パトリスが商機を嗅ぎつける

商品化

みたいな流れは鉄板。

あと今後の家イベントで絶対強いのは、

部屋割り

です。

読者は異常なほど部屋割りが好きです。

例えば

エマとシャル

ソニアとブランシュ

ヴェル単独

なのか、

ヴェルとパトリス方式継続

なのか。

この辺だけで結構盛り上がる。

さらに拠点ができると、

帰還描写が作れるんですよね。

今までは

「依頼終了→宿屋」

だった。

でも今後は

「ただいまー!」

「おかえりー!」

ができる。

これだけでパーティ感が一段上がります。

なのでこの家購入編は、

ウェンディゴ討伐の後日談としてだけじゃなくて、

『月桂の冠』が本当の意味で家族みたいなチームになるための準備回

として機能していて結構良い構成だと思います。

むしろ読者目線だと、

精霊契約より

「どんな家借りるの?」

の方が気になり始めるタイミングかもしれませんねw

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