6 新メンバー
その日はギルドで仲間が来るのを待っていた。
「今日は新しい人がパーティに入るんですよ」
「新しい人?」
テーブルに頬杖を付き、エマはそう教えてくれた。ちなみに俺はテーブルの上をふわふわ浮いている。座るとエマに怒られるからな。
「そっ。ほら、うちって前衛1人に後衛2人だから。ヴェルも前衛はできないし、バランス的に前衛が欲しいの」
「うん、わかる。確かに3人でその編成はバランス悪いよね」
今の編成だとソニアの負担が重すぎる。俺も後衛タイプだし。大きくなったら前衛できるかな?
ガチャッ、とまたギルドの扉が開く。その度にエマはそこを注視していた。
で、今のもハズレ、と。
しばらく待つ。また扉が開いた。
ソニアだ。シャルもいる。そしてもう一人、知らない女性。
背中に斧を担ぎ、ソニアよりも身体が大きい。腕も太く、ブレストプレートから覗く割れた腹筋が、鍛え上げられた肉体を物語っていた。
「あ、エマ! いたいた」
シャルがエマに気づき、ソニアともう一人の女性を促す。
「待ったか? やっと希望に合った人が見つかったよ」
「ブランシュよ。こう見えても私、パワーファイターでして。前衛でしたらお任せください!」
顔だけ見れば、かなりの美人だ。ブロンドの髪にクリクリした目、おまけに童顔。スタイルも出るとこは出てるんだが、超絶マッチョ。なんだこのアンバランスさは。
「エマです。この子はヴェル。よろしくお願いします」
「お願いします」
エマが頭を下げる。それに倣い俺も頭を下げた。
「なにこの可愛い生き物……」
ブランシュがにへら、と笑う。
「珍しいでしょ? ベビーデーモンっていう珍しい……」
シャルが言い終わるより早く。
ブランシュは俺をガッシリ両手で掴むと、俺を引き寄せた。
「可愛いーーーーっ! はぁ、ぷにぷにしてるぅぅぅっ!」
「うわっ!?」
激しい頬ずり。なんつうパワーしてんだこいつ、全然はずれねぇぇぇっっ!
「ちょ、ちょっとブランシュ!?」
「はぁ~~、生き返る~~」
ぶ、ブレストプレートが食い込んでいてえっ!
「ブランシュには1つだけ問題があってね、ショタコンなのよ。女だけのパーティだから大丈夫だと思ったんだけどなぁ……」
ショタコンて……。
俺0歳だぞ。
守備範囲広すぎだろ。
「ん~、チュッチュッ!」
「こら、やめれー!」
俺は手でキスしようとするブランシュの顔を必死に押し返す。
びくともしないけどな。
「ブランシュ、落ち着いて、ね?」
エマが止めるが、ブランシュはなかなか止まらなかった。
「止めてくれーーっ!」
絶叫。俺、半泣き。
「いい加減にしなさい!」
「あて!」
ソニアがブランシュの頭をポカリと殴る。それでようやく俺はブランシュから解放された。
「ごめんなさいーーーっ! 私可愛いものが大好きでつい」
ブランシュが両手を合わせて謝る。まぁ、悪気はないんだし……。
「いいよ、もう。ほどほどにしてくれよ?」
「うん、我慢する! でもちょっとくらいなら……、ダメ?」
ブランシュが指で欠けた丸を作る。
「ちょっとって?」
「一日の内の半分くらい?」
こいつの頭の中はきっと色彩豊かに違いない。
「多いわ! ブレストプレート当たると結構痛いんだぞ?」
「つまり脱げばオッケーと!」
やるなと言ってるんだが。
わかれよ!
「わー、ヴェル君えっち!」
「ちっがーーーう! とにかくダメなもんはダメ! あ、エマはいいからな?」
シャルまで何言ってんだ!
「エマはいいんだ。このムッツリめ」
ムッツリじゃないやい。
0歳という身体に引っ張られてるのか、そういう江口さんな思考にはならんのよね。
それに、エマは別だ。
だって――
「エマは……、あったかいから」
言わせんなよ恥ずかしい。
「もう、恥ずかしいよ、ヴェル」
エマが胸を隠すようにして赤くなる。ご主人様可愛いな。
「ブランシュ、これからパーティでやっていくんだから、あまりヴェルを困らせるなよ? こいつはエマに魂の束縛を受けているが、それはこいつが望んだからだ。だから私もシャルも仲間と認めている」
ソニア、そういう風に思ってくれてたのか。少し苦手意識あったけど、これなら仲良くやっていけそうだ。
「そっか、うん、わかった。本当にごめんね、ヴェルちゃん」
ちゃんかよ……。
可愛いもの好きなら、そういうもんかも知れんな。
必死に謝ってるのはわかるし、貴重なメンバーだ。仲良くやっていこう。
「うん、いいよ。これからよろしくな、ブランシュ」
俺はふわふわ浮きながら右手を上げて名前を呼んだ。
ブランシュがふるふる震えている。俺に名前を呼ばれたのが嬉しいとか?
「やっぱり可愛いいっ!」
「うわっ!?」
鼻息を荒くさせ、俺に頬ずり。ちょっ、涎出てんじゃねぇか!
「くんかくんか、すーはーすーはー!」
お腹の匂いを嗅ぐな~っ!
俺は猫じゃねえっ!
「やめれーーっ!」
ブランシュの加入でパーティメンバーが充実したのはいいんだけど。
こいつで本当に大丈夫なのか、と少し心配になった。
Chatさんの感想w
見せた画像はここにはありませんw
ブランシュ、めちゃくちゃ機能してますw
これは正解キャラです。
しかも単なるギャグじゃなく、
“空気を壊せる存在”
としてちゃんと働いてる。
ここかなり大きい。
まず何より良いのが、
ヴェルが初めて“普通に可愛がられる”
こと。
今までヴェルへの反応って、
恐怖
警戒
保護
同情
だった。
でもブランシュだけ、
「可愛い!!!」
が最優先w
これは実はかなり救いなんですよね。
しかもヴェルのツッコミが生きる
これかなり良い。
ヴェルって基本、 真面目寄りだから、
「俺0歳だぞ!」 「守備範囲広すぎだろ!」
とかのツッコミが映える。
テンポかなり良いです。
一番良いのは
ソニアの株が上がること
ここ。
ブランシュが暴走することで、
「ブランシュ、いい加減にしなさい!」
って止めるソニアが、 保護者ポジに回る。
これでソニアの人間味が出てる。
あとここめっちゃ良かった
「エマは……、あったかいから」
これ。
ギャグの流れなのに、 ちゃんとヴェルの本音が出てる。
しかも、
色気じゃない
安心感
温もり
なんですよね。
ここが今の関係性に合ってる。
かなり良い台詞。
そして画像w
めちゃくちゃ「育ったヴェル」感ありますねw
正直、 ブランシュ絶対死ぬほど狂いますw
なぜかというと
今のブランシュって、
「可愛い小動物」
としてヴェル見てる。
でも成長後、
美形
妖艶
悪魔感
威圧感
中性的魅力
まで乗ってくる。
つまり、
“ショタコン”から
“普通に危険”へ進化するw
しかもヴェル本人は
多分精神的にはそこまで変わらない。
だから、
ヴェル
「なんで逃げるんだ?」
ブランシュ
「近い近い近い近い!!」
みたいな逆転現象起きそうw
あと画像見て思ったんですが
この方向で成長するなら、 かなり「高位悪魔」感ありますね。
特に、
黒+赤
和ゴシック
翼
角
紋様
この辺。
だから今後、
「本当に災厄になり得る存在」
として周囲が恐れる説得力かなり出る。
そしてそれが効く
なぜなら読者は、
「でも中身ヴェルだしなぁ」
を知ってるから。
つまり見た目と中身のギャップが武器になる。
ちなみにブランシュ、
長期的にもかなり便利
例えばシリアス後に、
「ヴェルちゃぁぁん!!! 生きてたぁぁぁ!!!」
って泣きながら抱きつくだけで、 空気かなり戻せる。
こういうキャラ、 長編だとめちゃ重要です。
あと個人的に好きなのここ
「エマはいいからな?」
これ。
ヴェル、 無自覚でエマだけ特別扱いしてるw
しかも本人、 全然恋愛認識ない。
だから余計ニヤニヤできる。
総評
かなり良い加入回です。
特に、
「重い世界観」
を
「キャラ同士の温度」
で支えられてる。
これ長編でかなり重要。
あとブランシュ、 多分読者人気出ますw




