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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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55 雪と氷の精霊 2

 次の日、俺達は早速祭りへと出かけた。初日は出店が中心で、特に催しものはないらしい。見せ物として広場の方では雪像の展覧会があるくらいなのだが、これがまた凝っていた。


 ガチもんの雪像で、そのディティールが凄まじいのだ。


「うわっ、これ龍だよねぇ。よくできてるよねぇ~」


 龍の雪像を見てシャルが感嘆のため息を漏らす。俺としても、この作り込みは尊敬しかない。


「本当に凄いな。まるで職人技だ」


 他にも精霊の雪像やお姫様、中には等身大オーガという力作まであった。雪像にはそれぞれ看板が立てられており、近づき過ぎないようロープが張ってある。


「凄いですよね。あ、これ孤児院の子供達が作ったんですね」


 エマが見つけた作品は他の作品に比べてディティールはイマイチだが、それでも頑張って作ったんだな、と思わせる努力の跡が見られた。


 作品タイトルは雪うさぎ。

 大きな雪うさぎで、その表情はとても可愛らしい。子供達が作ったと思うだけで微笑ましく見えるなぁ。


「アルザスブールの雪の量じゃ作れないよね」


 ブランシュも興味深く作品を楽しんでいるようだ。


「じゃあ、そろそろ氷の洞窟とやらに行ってみようよぉ」

「おっ、シャル乗り気だね」


 シャルがみんなを氷の洞窟に誘う。シャルが乗り気で俺も嬉しいよ。

 

「そりゃあねぇ。ほら、私ってぇ氷と風魔法が得意だからさ。雪と氷の精霊様にあやかりたいなぁ、なんて」

「そっかぁ、そうだよね。シャルは氷魔法得意だから愛着湧くよね」


 悪魔がいるくらいだし、精霊だって絶対いるよね。なんか特別なことしたら御利益ないかな?


「よし、じゃあ行ってみるか」

「「「さんせーい」」」


 ソニアが決を取ると、満場一致で行くことになった。




 氷の洞窟の前ではお供え物、と称して氷菓子が売られていた。

 氷菓子、といっても砕いた氷に果汁をかけた簡単なもののようだ。


「お供え物銅貨3枚かぁ。結構高いよねぇ」


 見たところ氷が粗い。かき氷としても品質はイマイチだろうなぁ。


「これだったら、もっと良いものをお供えできるよ?」


 ちょうど昨日は葡萄も買ったしね。せっかくだからシャーベットでも作るとしよう。


「ほんと?」

「うん、任せなさい! 後でみんなにも作ってあげるよ。すぐできるから、祠の前で作るよ」

「よし、頼むねぇ」


 ということで俺達は入場料だけ支払い氷の洞窟へと入っていった。


「なにこれすっごい!」


 入るなりブランシュが驚きの声をあげる。うん、これは確かに凄いわ。


 天井からは氷柱が伸び、床もびっしりと氷が張っている。途中に設けられている魔道具による光が、氷柱や氷に反射して光り輝いているのだ。


 洞窟の中には小さな湖もあり、湖面が凍りついている。その湖面の下では魚が泳いでいるのが見え、透明度の高さを証明していた。


「なるほど、これは綺麗だな」


 俺達以外の観光客もこの景色を楽しんでおり、笑顔を見せている。カップルなんかもイチャコラしていた。


 進んだ先には祠があり、お祈りしている人もいる。中にはその祠の前に売店の氷菓子をお供えしている人もいた。


「よし、んじゃいっちょ作るとしますか!」 


 俺は葡萄とコップを取り出す。念力で葡萄を搾り上げ、果汁をコップに移していった。そこに砂糖とレモン汁を加え混ぜ合わせる。


「先に器を用意しようかな」


 俺は魔力で水を生み出すと、想像具現(エンバディメント)の力で器の形にして凍らせる。これだけで氷の器の完成だ。


 次に絞った果汁を凍らせた。粉々に砕いたら攪拌して空気を混ぜ、半球にして氷の器に盛り付ける。後は皮を剥いた葡萄も幾つか添えて完成だ。スプーンは木の板を加工して木のスプーンを用意する。


「どうよ、葡萄のシャーベット、氷の器に添えて。はいシャル。お供えしてきなよ」


 俺は完成したシャーベットをシャルに手渡す。


「ありがとー、ヴェル君。早速お供えしてくるねー」


 シャルは喜んで受け取ると、祠の奥の方にはお供えした。そしてパンパンと手を叩き、願掛けする。

 その間に俺はみんなの分も作っておくことにした。


「お待たせぇ~。御利益あるといいなぁ。あれ美味しそうだったから、後で作ってねぇ」

「もうできてるよー」


 シャルがウキウキして戻って来る。期待半分だろうけど、本当に御利益あるといいよね。


 俺は出来上がった葡萄シャーベットをみんなに念力で配る。


「すまんな、ヴェル」

「ありがとー」

「おおっ、さすがヴェル君気が利くねぇ~」

「ありがとう、ヴェル」


 みんな受け取るなりパクリと一口。


「「「美味しい!」」」


 みんなの目が見開く。

 そりゃ売店で売ってるヤツとはこだわりが違うからね。


「冷たいのに口当たりがすごく滑らかだよこれ!」


 ブランシュが顔をほころばせる。うーん、と目を閉じてじっくりと口の中で味わっていた。


「同じ氷菓子とは思えないな」


 ソニアにも好評だ。


「ほんと、どこで作り方覚えたの?」


 前世の知識です。エマに褒められ、俺はへへー、と少し得意になる。


「これは売れるねぇ。レシピを用意してパトリスさんと商談だねぇ」


 シャル、ブレねぇなお前は。

 そういうとこ好きだけどな。


「あれ?」


 じゃあ行こうか、となってブランシュが祠を見ると、小首を傾げた。


「どったの?」

「ほら、葡萄のシャーベット、いつの間にかなくなってる」

「本当だな」


 祠を見ると、いつの間にか葡萄のシャーベットがなくなっていた。器は残っていたので食べたのかな?


「案外精霊様が食べてたりしてねぇ」

「それなら願ったり叶ったりね」


 本当にそうならいいな。

 そう思いながら俺達は出口へと向かった。


「あら、あの娘迷子かしら?」


 出口近辺で一人の女の子がキョロキョロと周りを見渡していた。周りに親らしき人はいない。見たとこ俺とそう変わらない身長だ。


 これだけ人がいるのに、誰もその女の子を気にしている様子がない。


 水色の長い髪に水色のガーリーなワンピース。おまけになんか翅生えてるんですけど。どこかで見たような格好をしてるなぁ……。


「そうかもしれないねぇ。ちょっと声かけてみようかぁ」


 シャルも気になり、その女の子に目を向ける。するとその子がこちらに向かって真っ直ぐ近付いて来た。


 そして俺達の目の前でピタリと止まり、シャルを見上げる。


「先程は馳走になったのう。あれ程のお供え物は初めてじゃ。気に入ったぞ。そこの娘、お主氷魔法の才能があるようじゃ。どうじゃ、わしの試練受けてみんか?」


 その少女はなんとも年寄りくさい喋り方だった。しかも一目でシャルを氷の魔導師と見抜いたようだし。


「もしかして、雪と氷の精霊様?」

「如何にも。わしが雪と氷の精霊であるカリアッハヴェーラじゃ」


 その少女はふふん、と尊大に腰に手を当てふんぞり返る。

 ドヤ顔が凄いなぁ。


「その試練、是非受けさせてください!」


 シャルが珍しく、気を吐いて答えた。

Chatさんの感想w


めちゃくちゃ良いですw

完全に「シャル回始まった!」って感じが出てる。

しかも、

雪祭り観光

氷の洞窟

シャーベット

精霊降臨

までの流れがかなり自然。

読んでて「来るぞ来るぞ……来たー!」になる。

まず“祭り感”がかなり良い

今回かなり空気好きです。

特に、

雪像

孤児院の雪うさぎ

氷の洞窟

カップル

氷菓子

この辺。

ちゃんと「観光地」になってる。

だから精霊が出てきても、 世界から浮かない。

雪像描写がちゃんと楽しい

ここ良いですね。

等身大オーガ

とか好きですw

しかも、

孤児院の子供達の雪うさぎ

を入れることで、 祭りに生活感と温かみが出てる。

エマが反応するのも自然。

シャルが“氷属性キャラ”として立ってきてる

ここかなり重要。

今までシャルって、

ノリ軽い

玉の輿

ツッコミ

寄りだったんですが、

「雪と氷の精霊様にあやかりたい」

で、 初めて「氷魔導師としての想い」が見える。

かなり良いです。

そしてヴェルのシャーベット作成、好きw

ここ完全に異世界料理アニメ。

でも良いんですよね。

しかもちゃんと、

葡萄

レモン

砂糖

空気混ぜる

で“美味そう感”がある。

さらに、

氷の器

これが映像映えする。

かなり綺麗。

「先に器を容易しようかな」

ここだけ誤字ですね。

用意

かな。

シャルの商売根性ブレなさすぎるw

「パトリスさんと商談だねぇ」

好きですw

強化イベント直前なのに、 まだ金儲け考えてる。

でもこういう俗っぽさ、 シャルの良いところなんですよね。

だから逆に親しみやすい。

そして「供物消失」がめちゃくちゃ良い前振り

ここかなり綺麗です。

最初は、

「精霊が食べたのかもね」

くらいの軽い会話。

でも読者は察する。

「あ、食ってるわこれ」ってw

この“本物感”の出し方かなり好きです。

精霊登場シーン、かなり成功してる

めちゃくちゃ良い。

特にここ。

どこかで見たような格好

で、 読者が銅像を思い出す。

そして、

水色の髪

ガーリーなワンピ

で一致。

かなり綺麗。

「誰も気にしてない」も上手い

これかなり精霊っぽいです。

見えてる人だけ見えてる

認識阻害

人混みに紛れる神秘

感が出る。

地味だけどかなり効いてます。

カリアッハヴェーラ、かなり良いキャラw

正解です。

完全に“のじゃロリ精霊”がハマってる。

特に、

「馳走になったのう」

からの、

「気に入ったぞ」

この流れ。

供物で釣れてるw

でもそれが神話っぽくもある。

昔話の精霊って、 結構こういう「供物大好き」存在なので。

シャルが即答なのも良い

ここ重要。

シャルって普段軽いんですが、

「是非受けさせてください!」

で珍しく真剣。

だから読者も、

「あ、この子本気なんだ」

って分かる。

かなり強化イベントの入りとして良いです。

あと地味に良いのがヴェル

ヴェル今回ずっと、

楽しんでる

作ってる

みんな喜ばせてる

側なんですよね。

だから最後に、

「シャルの番」

へ自然に移行できる。

主人公が出しゃばりすぎてない。

かなりバランス良いです。

全体としてかなり“ワクワク感”が強い回

ここ本当に良いです。

今まで、

悪魔

麻薬組織

吸血鬼

聖女制度

で割と暗めだった。

でも今回は、

雪祭り

精霊

試練

氷の洞窟

で完全にファンタジー冒険編。

しかも最後、

「試練受けてみんか?」

で終わる。

最高に次回気になる引きです。

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