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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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54 雪と氷の精霊 1

 ノーザンファラムの街。

 ベリオルド王国最北端の雪の街でありながら、大都市として存在するその街は漁業はもちろん、葡萄や林檎の産地としても有名なのだそうだ。


 寒冷地特有の糖度の高い野菜も育てられており、相応の食糧もある。小麦も寒冷地では適しているため、収穫量も十分にあるのだとか。


 じゃあ何が無いのか。

 それは主に香辛料やオリーブや柑橘類など、比較的温かい地方で育つ作物が不足するのだとか。


 今回は俺達が同行する、ということで現地の蟹や魚も仕入れられる。つまりいつも以上に大儲け、というのがパトリスさんの言だ。


 しかもこの時期はノーザンファラム名物の氷霊祭が行われる。その雪祭りの観光も含め、滞在日数は5日間とちょい長めだったりした。


 で、その街に入る際にめちゃくちゃ驚かれましたわ。


「えーっと、貴方達馬車できたのさですか……?」


 門番達が馬車を見て不思議そうにしていた。そりゃそうだよね。普通こんだけ積もったら馬車とか無理だし。


「この馬がトナカイに見えますかな?」


 パトリスさんが平然として答える。


「なぜ貴方がたの通った道には雪が無いのでしょうか……?」

「神のご加護です」


 俺が収納しているため、通った道には雪が無い。そこを突っ込まれると、エマが祈りを捧げるようにして答えた。


 神じゃなくて悪魔ですけどねー。


「そ、そうか。まぁ、通っていいぞ。明日には雪祭りが始まる。是非見て行ってくれ」

「それは楽しみですな。では皆さん参りましょうか」


 門番は考えるのを止め、俺達を通過させる。門をくぐり抜け、道の雪を収納しながら馬車を走らせた。


 街の中では馬ではなくトナカイが走っており、ソリを引いている。しかし俺たちが通ると雪が無くなるため、段差に困る人が現れてしまった。


「な、なんで雪がないんじゃ!?」


 雪が無くなり、石床の上で立ち往生している。おじちゃんは目をパチクリさせ、状況の理解が追いついていない様子だった。


「ほい」


 俺は念力でソリを持ち上げ、雪の上に戻す。その後に収納した雪を吐き出して元に戻した。


 トナカイは何事もなく走り出し、ソリを引いていく。仕方なく俺は雪を念力でまとめてどかし、通った後に戻すことにした。めんどくさっ。


 馬車を宿屋の厩舎に入れ、俺はパトリスさんと商品の受け渡しに同行だ。

 市場にも寄ってくれるので、海産物を買い込むぞ!


 パトリスさんも市場で大漁に魚介を仕入れ、俺も海老や蟹、魚を買い込む。鍋やりたいなぁ。


「ではヴェル様、しばらくは自由行動になります。観光を楽しむことにしましょう」

「うん、ありがとー」


 パトリスさんと宿屋で別れ、俺は早速街の散策に出かけた。雪の上を飛んで行けば速いんだけど、せっかくなので雪を踏んでその感触を楽しむ。


 足を踏み入れるとキュッ、と凹み固まっていく。俺の靴はブーツなので撥水性はバツグンだ。この世界に無い素材だけどね。


 雪を踏みしめ、街の中を歩く。みんなが俺を奇異の目で見ていた。悪魔だとわかりにくいよう、角と顔の紋様は隠してるんだけどな。俺の服は上が陰陽師をイメージした和装だが、下は半ズボンだからそっちかな?


 見た目から寒そうかもしんない。


 広場に出ると、街の人達が祭りの準備をしていた。テントを組み、舞台を設置したりしている。


 あの銅像が雪の精霊だろうか。


 近付いてどんな格好なのか見てみる。


 見た目幼女。虫みたいな翅。服がとってもガーリーなワンピースなんだが、本当にあれ精霊か?


「なんだ坊主、精霊様に興味があるのか?」


 俺が物珍しそうに眺めていると、おっちゃんが話しかけてきた。ガテン系のムキムキな人だ。


「うん、他の街から来たからね。ここの祭りは初めてなんだ」


 なるべく子供っぽい態度でね。不快に思われたら話が聞けなくなる。


「そうか。この像はな、雪と氷の精霊であるカリアッハヴェーラ様を模したものだ。カリアッハヴェーラ様はその御力で俺達を守ってくれるありがたい精霊様なんだよ。まぁ、この姿も伝承だから、誰も見たことがないんだけどな」


 おっちゃんが懇切丁寧に教えてくれる。なるほど、それで氷霊祭というわけか。


「祭りは凄いぞぉ。中には氷雪巫女の試練、なんてのもあってな。カリアッハヴェーラ様の住まう祠に行くだけなんだが、その氷の洞窟はこの祭りのときだけ解放されるんだ。綺麗な洞窟でな、一見の価値はあるぞ?」

「俺男だけど参加できるの?」


 巫女の試練なら俺ダメちゃうん?


「できるぞ。氷雪巫女の試練、といってもその風習は既に廃れているからな。今はその祠まで行って、お祈りするだけのものだ」

「へーっ、てことは昔は本当に試練があったんだ」


 精霊の試練とかワクワクもんだな。厨二心をくすぐるものがあるわ。


「まぁな。どんな試練かは俺も知らんが、今はみんな祠にお供え物をしているだけだな。売店で売ってるから、それを買ってお供えするんだぞ?」


 マジで観光でやんの。

 でも興味湧いたな。明日みんなを誘ってみてもいいかもしれない。


「ありがとーおっちゃん。みんなを誘ってみるよ」


 俺は手を振り、広場を出ていった。

 明日が楽しみだな。

Chatさんの感想


かなり良い“雪国編の入り”です。

空気感がすごく良い。

特に今回は、

雪国文化

物流

街並み

精霊信仰

祭り

を自然に見せながら、 ちゃんと「次のイベント」に導線張れてる。

かなり読みやすいです。

まず「雪国物流」が面白い

ここ良いですね。

単なる背景説明じゃなく、

香辛料不足

柑橘不足

寒冷地小麦

糖度の高い野菜

みたいに、 ちゃんと“北国経済”になってる。

しかも、

「つまりいつも以上に大儲け」

でパトリスが締めるので、 説明が死んでない。

商人らしくて良いです。

「通った道だけ雪が消える」の絵面が強いw

これかなり映像映えします。

特に、

「神のご加護です」

からの、

神じゃなくて悪魔ですけどねー。

好きw

この作品、 ヴェルのツッコミで空気軽くなるのがかなり良いです。

そして「雪戻さないと困る」がちゃんとある

ここ大事。

便利能力って、 何でも解決すると世界が壊れるんですよね。

でも今回は、

ソリが困る

段差できる

雪社会に影響出る

ので、 ちゃんと“生活との噛み合い”がある。

かなり世界観が生きてます。

市場パートも良い

鍋やりたいなぁ。

この一言で急に生活感出るw

しかも、

海老

なので、 読者側も「鍋うまそう……」になる。

寒冷地編と食文化相性いいですね。

ヴェルの「雪楽しんでる感」が良い

ここかなり好きです。

キュッ、と凹み固まっていく。

こういう描写あると、 ちゃんと“冬”を感じる。

しかもヴェル、 悪魔なのに普通に雪遊び楽しんでる。

可愛いw

カリアッハヴェーラの導入かなり自然

ここ上手いです。

いきなり精霊本人出さず、

銅像

街の伝承

おっちゃんの説明

祭り

から入ってる。

だから世界に馴染んでる。

「幼女精霊像」、正解ですw

映像的に強い。

しかも、

虫みたいな翅

ガーリーなワンピース

ここで一気にキャラ絵が立つ。

完全に“精霊キャラ”として成立してる。

そして「氷雪巫女の試練」が良いフック

ここかなり上手い。

最初は、

「へぇー観光イベントなんだ」

と思わせておいて、

「昔は本当に試練があった」

で一気に怪しくなる。

絶対なんかあるやつw

読者も察する。

シャル強化への導線としてかなり優秀

特にここ。

「今はその祠まで行って、お祈りするだけ」

こういう、

“形骸化した儀式”

って、 本物が残ってる展開と相性最高なんですよね。

例えば、

シャルだけ反応する

精霊に気に入られる

本当の試練が始まる

とか超自然に繋がる。

かなり良い下地です。

一点だけ気になったところ

ここ。

「なぜ貴方がたの通った道には雪が無いのでしょうか……?」

若干硬いので、

「なんであんた達の通った道だけ雪がねぇんだ……?」

くらいでも北国門番感出るかも。

ただ今のままでも丁寧寄り世界観としてはアリ。

あとここ。

「できる限り近づき、どんな格好なのか拝見。」

少し現代語感強めなので、

「近づいて、どんな姿なのか見てみる。」

くらいでも自然かも。

全体としてかなり良い“祭り前夜”

今回良いのは、 完全に「嵐の前の穏やかさ」なんですよね。

雪祭り

精霊伝承

市場

観光気分

で空気を作ってる。

だから後で、

「本物の精霊」 「本当の試練」 「シャル覚醒」

が来た時、めちゃくちゃ映えると思います。

かなり良い導入です。

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