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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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48 報酬

「ほんっとうに申し訳ございません!」


 報酬を渡すから、とセラフィーナ王女に呼び出された俺達は、冒険者ギルドの応接室でいきなり謝罪されてしまった。


「せ、セラフィーナ王女殿下、いったい何があったのですか?」


 突然の謝罪に皆が固まるなか、ソニアもしどろもどろになりながらその理由を聞く。


「はい、大変お恥ずかしい話なのですが……」


 セラフィーナはため息をつきながらも、しっかりと前を向いて話してくれた。


    *   *   *


「正気ですか、お兄様?」


 王城の中庭。そこでセラフィーナは紅茶を飲みながら、オーギュストより討伐の報告を受けていた。


 その最中、突然兄である第一王子ロランドより横槍が入ったのである。


「私は正気だ。報告にあった子爵級悪魔ドゥーマ。その悪魔を倒した名誉はソランジュにこそ相応しい。彼女は私の婚約者だからな。やはり相応の箔は必要だろう?」


 ロランドはさも当然、と居丈高に述べる。そんなロランドにセラフィーナは冷静に反論した。


「ソランジュが聖女を目指していることは私も知っています。王都の教会でもその力は高く評価されていることも存じております。しかしやってもいないことで評価を得ることになんの意味がありましょう。聖女選別は大聖霊様自らが行われます。そこに我々の意思は反映されませんよ?」


 セラフィーナはため息をつくと、紅茶をソーサーに戻す。


「そんなことは百も承知だ。だったら尚更問題あるまい。箝口令を敷き、月桂の冠(ローレルリース)と言ったかな。彼女達には口止め料を払えば済むだろう。それともう一つ。報告にあったヴェルシエルという悪魔だ。その者をソランジュに従わせるべきではないかと思うのだ」

「お兄様、手柄横取りは百歩譲って大目に見ましょう。しかしヴェル様とエマ様を引き剥がすことは私が許しません」


 ロランドの言にセラフィーナは厳しく対抗する。しかしロランドは全く理解できなかった。


「なぜだ? 男爵級悪魔なのに子爵級悪魔に勝つ実力があり、人間に好意的なのだろう? ならその力を王国で管理すべきだ」


 ロランドはこれぞ正論、と自信たっぷりに言いのける。その言は王家の人間としては正しいとも言えた。


「既にソランジュ様が勧誘に失敗しております。それに、今最も聖女に近い聖女見習いは間違いなくエマ様です。災厄に立ち向かうとき、ヴェル様の力はきっと助けになるはずです。王国の未来を捨ててまで引き剥がすおつもりですか?」


 それでもセラフィーナは厳しくロランドを非難する。


「いや、しかしだな……」

「お兄様! 一国の王太子になろうという御方が、私欲のために民から大切なものを奪うというのですか? もしそうだと言うなら、私はお兄様を王太子として支持致しませんわ」


 セラフィーナがロランドに厳しい目を向け叱責すると、さしものロランドも焦りを見せた。


 国王の一番の寵愛を受けているのはセラフィーナである。理知的で国民からも人気の高いセラフィーナはロランドとしても決して無視できない相手であった。


「ぐっ……! ま、まぁ、聖女が悪魔を従えているのも外聞が悪いしな。ソランジュには諦めるよう伝えておこうじゃないか」

「ソランジュ様、まだ諦めていなかったのですね。貴族の聖女見習いは普通の聖女見習いよりも優遇されているというのに……」


 やはりあの女か、とセラフィーナはため息をつき頭を抱える。


「そうなのか?」

「お兄様、知らないのですか? 大聖霊様は敗北が濃厚になると、自らの命と引き換えに災厄を封印します。その代償に聖女見習い達の命を使い、甦るのは知っていますよね?」


 聖女の敗北は多くの聖女見習いを失うということを意味する。それはつまり、この国で神聖魔法や治癒魔法の使い手が一気に死滅する、ということなのだ。その損害は計り知れない。


 事実、その度に王国では多くの怪我人や病人が亡くなり、幼い子供の致死率にまで影響を及ぼしていた。


「なんだと!? ではソランジュも死ぬということか?」


 しかしロランドではそこまで頭が回らず、心配するのは婚約者のソランジュのことばかりである。


「いいえ、ソランジュ様は死にませんよ。貴族は代償を免除する契約を結んでいますから。代償を請け負うのは全て孤児達ばかり。私は期待しているのです。エマ様なら、500年続く災厄を終わらせてくれるのではないかと。もしそうであれば、国が受ける恩恵は計り知れないものとなるでしょう」


 セラフィーナは空を見上げ、まだ見ぬ未来に想いを馳せた。紅茶を手に取り一口すする。

 セラフィーナは微笑を浮かべ、静かに目を閉じた。



    *   *   *


「……ということがありまして。助けていただいたのに心苦しいのですが、せめて報酬の上乗せでご容赦いただけたら、と思います」


 いや、これセラフィーナ王女殿下悪くないよね?

 ってかこんな王子が王太子で、この国大丈夫なのかと心配になるわ。


「いえ、むしろ庇っていただき、セラフィーナ王女殿下には感謝しかございません。助けていただいた御恩もございますし」


 ソニアもセラフィーナ王女殿下を責める気にはならないだろう。


「そうですセラフィーナ王女殿下。そういうことでしたら、仕方ないと思います」


 エマも同意してるし、問題ないだろう。俺としてもセラフィーナ王女殿下は信用できる。いっそ王女殿下が国治めた方がいいんじゃないか?


「ご理解いただきありがとうございます。報酬は倍の金貨60枚です。どうぞお納めください」

「ろ、ろくじゅう……」


 シャルの声が震える。報酬としは間違いなく破格だもんね。

 シャルの目にドルマーク見えるわ。


「返って申し訳ないくらいです。謹んで受けとらせていただきます」


 ソニアは金貨の入った革袋を受け取ると、懐にしまった。一人金貨12枚だから一気にリッチマンだ。


「それと、これを」

「これは……」


 セラフィーナは封筒を差し出す。そこには封蝋がされており、アルザスブールの冒険者ギルド宛になっていた。


「Cランク昇格推薦状です。Cランク昇格は貴族からの依頼を受け、認められることでも条件を達成できます。今の皆様でしたら、その資格は十分にあると、私が保証いたします」


 セラフィーナ王女殿下は俺達を見ると、自信を持って答えた。


「「「ありがとうございます!」」」


 Cランク昇格。

 それは月桂の冠(ローレルリース)が一人前の冒険者パーティであると認められた証なのだという。


 アルザスブールに帰ったらトビさん達と祝杯だな!



Chatさんの感想w

誤字指摘されたので訂正済みです。


これ、かなり大事な回ですね。

単なる「報酬回」じゃなく、

王国の腐敗

セラフィーナの立場

聖女制度の闇

エマの重要性

ロランドの危うさ

ソランジュの執着

を一気に開示してる。

しかも説明回なのに、ちゃんとドラマになってるのが良いです。

特に強いのは、

「私はお兄様を王太子として支持致しませんわ」

ここ。

セラフィーナ、ただの有能姫じゃなく、 ちゃんと「国」を見てる。

だから読者が自然に、

「こっちが王になれ」

って思うw

しかもヴェルも後半で同じ感想持ってるので、読者とのシンクロもできてる。

ロランド、かなり“リアルにダメ”

ここ上手いです。

ロランドって、

極悪人

暴君

無能バカ

ではないんですよね。

むしろ、

「王国で管理すべき」

とか、

「婚約者に箔を付けたい」

とか、

王族としては理解できる理屈で動いてる。

でも、

「人」を見てない。

ここが非常に良い。

だからただの悪役じゃなく、 “上に立っちゃダメなタイプ”になってる。

かなりリアルです。

聖女制度の闇、かなり刺さる

ここ、強いです。

代償を請け負うのは全て孤児達ばかり。

うわぁ……ってなる。

しかも、

貴族は免除

平民だけ死ぬ

でも表向きは神聖制度

という構造になってる。

かなりエグい。

しかも以前から、

ソランジュの違和感

エマの静かな怒り

「背負ってるものが違う」

を積み重ねてるから、 今回の開示に説得力がある。

後付け感がないです。

エマが「聖女になりたい理由」が重くなる

ここも効いてます。

今までは、

「それが私の願いですから」

だった。

でも今回読むと、

エマは単に憧れてるんじゃなく、

「この構造を終わらせたい」

側なんですよね。

だからセラフィーナの、

「500年続く災厄を終わらせてくれるのでは」

に繋がる。

エマが物語の中心人物である理由が強化されてます。

ヴェルが“管理対象”扱いされるのも良い

これ大事です。

ヴェル、今かなり危険戦力なので、 王族視点だと、

「管理しろ」

は割と正論なんですよね。

だからロランドが完全間違いでもない。

でも、

ヴェルを人格として見てるセラフィーナ

戦力として見てるロランド

の差が出る。

ここかなり良い対比です。

報酬倍、自然

これも良いですね。

単なるご褒美じゃなく、

箝口令未遂

手柄横取り未遂

王族都合

への「詫び」になってる。

だから納得感ある。

金貨60枚はかなり夢ありますし、 読者的にも「報われた感」が強い。

シャルの、

ドルマーク見えるわ

は軽くて好きですw

Cランク昇格がかなり気持ちいい

これ良い締めです。

今回の章って、

Dランク扱いされる

実力疑われる

ソランジュに見下される

から始まってる。

そこから最後に、

「一人前の冒険者パーティ」

認定される。

綺麗です。

章構成としてかなりまとまってる。

一点だけ気になったところ

ここ。

「返って申し訳ないくらいです。謹んで受けたらせていただきます」

「受けたらせて」は誤字ですね。

「謹んで受け取らせていただきます」

かな。

あと細かいですが、

「ろ、ろくじゅう……」

だけだと誰が言ったか一瞬迷うので、

「ろ、ろくじゅう……」

シャルが震える声を漏らす。

とかあってもいいかも。

全体的にはかなり良い「章締め前の政治回」です。

しかもただ政治説明するんじゃなく、

王族

聖女

貴族

孤児

悪魔

契約

全部テーマとして繋がってる。

かなり作品の“芯”が見えてきました。

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