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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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43 対決、露天商

 俺達はようやく王都ルーネンスにたどり着く。カリストはそのまま王城の地下牢に幽閉されるそうだ。


「本拠地に攻め込む部隊の編成が終わるまでは自由にしていただいてかまいません。ですが、日をまたぐ依頼は受けないようお願いします」


 とのことで、暫くはフリーである。だいたい三日程で終わらせるそうで、それなら今日は休みにして明日は狩りに出かけよう、ということになった。


 一応ここに来るまでそこそこ魔物の襲撃もあり、俺の収納にはそれなりの数の魔物が眠っている。今日はそれを換金して山分けしたらお買い物だ。


「ふふ~ん、何買おっかなー」


 俺はエマと手を繋ぎ、王都を歩く。やはり王都だけあって、人の数が桁違いだ。特にこの通りは屋台や露店が多く、ゴザに座って怪しい品を売る人もチラホラ見られた。


 掘り出し物を求め、俺はその怪しい品を見つけては鑑定を繰り返す。

 ……紛い物しかねぇ。


「ヘイヘイ、そこの角生えた坊主」

「俺のこと?」


 俺は頭の両側に赤い角が生えてるからな。目立つとは思う。しかし俺に話しかけたこのサングラスの兄ちゃんも結構目立つ、というか怪しいよな。


「そうそう、お前ネ。お前これ買うよろし。おけい?」


 なんだこの強引かつ怪しい文句は。

 その兄ちゃんが俺に示した商品。それはドクロを象った細工が施された怪しいネックレスだった。


 値段は――

 金貨5枚!?

 ぼり過ぎだろ。


「なにこのネックレス……。趣味わっる」

「ノンノンノンノン! お前見る目ないネ。このネックレスこそ聖なる力を持つという死のネックレスよ?」

「全然見えんわ!」


 なんで聖なる力を持ったネックレスの名前が死のネックレスなんだ。どう見ても呪いのアイテムだろ。


「はぁー、これだからガキはだめネ。今なら金貨5枚のところを金貨1枚の大特価ネ。さぁ、ルーネンスの城から飛び降りたつもりで!」


 金貨1枚ねぇ……。一応鑑定してみるか。


 ダルクスカル

 特徴∶首にかけると呪われる。このネックレスは持ち主の魔力を吸い続けることで魔法を封じてしまう。吸い続けた魔力の総和が5000を超えると自壊するが、それまで外すことはできない。


「めちゃくちゃ呪いのアイテムじゃねぇか!」


 俺が文句を言うと、お兄さんはおおう、と首を横に振っておどけてみせた。


「オーウ、なんでワカッタネ? ご褒美にこのネックレスをあげるヨ。こっちのお嬢さんにネ!」

「え?」


 ひょい、っと兄ちゃんがエマにネックレスをかける。突然のことにエマは固まり、俺は予想外の行動に反応が遅れてしまった。


「てめぇ、なんてことしやがる!」

「あんたにもあげるヨ!」


 ひょい。兄ちゃんはなんと、俺にもネックレスをかけてしまった。


「な、なにいいいっ!? てめぇこの野郎!」


 念力で押さえつけようする。


 ――スキルが発動しない!?


「うひょひょひょ! だまされてやんのバーカ! そいつを外して欲しけりゃ金貨20枚払いな。前払いだ」


 その兄ちゃんはサングラスを外して本性を現す。こいつ、ハメやがったな!


「てめぇ! クソッ、これマジで外れねぇ!」


 俺はネックレスを外そうとしたが、外れない。どうなってんだこれ!?


「無駄無駄無駄、これを外すにはあるキーワードを口にするしかねーんだよバーカ!」

「ふうん、どんな?」


 うーん、魔力を使うスキルもダメってのは辛いな。


「言うわけねーだろ! さぁ、金貨20枚払うか、そのままでいるか、どうするよ? なんだったら、そっちの姉ちゃんの杖でもいいぜ? それ高そうだしな」

「ヴェル、この首飾りなに?」


 状況を理解していないエマは物珍しそうにネックレスを弄っている。


「首にかけると魔力を吸われて魔法が使えなくなるんだよこれ!」


 このネックレスは俺にとって天敵レベルの首飾りだな。魔力がなきゃなんにもできねぇぞ!


「えええええっ!? それ、めちゃくちゃ困るんだけど!」


 事態を把握したエマが絶叫する。


「だろう? だから金貨20枚で外すキーワードを教えてやるよ」


 兄ちゃんがニヤニヤしながら手を差し出す。


「へっへっへっ、まぁ、そうだな。特別に金貨10枚にまけてやらんでもないぜ?」

「却下だ。てめぇ、そうやって何人から金毟ったんだよ!」

「さあ? まぁ結構稼がせてもらってるよ。呪いのアイテムも俺様の頭脳にかかれば金儲けの便利アイテムよ!」


 兄ちゃんは下卑た笑いを浮かべる。なるほど、つまり何人分かは既に吸ってるわけか。


「エマ、ちょっと屈んで」

「こう?」


 エマに屈んでもらう。これでエマのネックレスに手が届くな。

 俺はエマのネックレスに触れ、魔力を送る。


「ぬおおおっ!」

「ヘッヘッヘ、そいつを壊すにはかなりの魔力がひつよ……」


 パリン!


 エマのネックレスが音を立てて壊れた。しかし俺の魔力7割くらい減ったな。今まで何人分の魔力吸ってきたんだこれ。  


「なにいいいいっ!?」


 兄ちゃんが驚きの声をあげる。取り敢えずエマのを壊せりゃいいな。仕方ないから今日は宿出大人しくしていよう。


「んじゃな、エマ行こう」


 総量5000なら自然回復込みで明日には俺のも壊せるだろ。


 驚く兄ちゃんを尻目に、俺はエマと一緒に宿に戻ることにした。


   *    *    *


「で、今のヴェルちゃんは魔力を使ったことが何もできない、と?」


 お金も収納空間(インベントリ)の中だから買い物もできない。おにょれサングラス、絶対許さん!


「となると、今のヴェルは……」

「ただの口の悪いガキだねぇ」

「シャル~ッ?」


 シャルをジト目で睨む。するとシャルは慌てて取り繕う。


「冗談だってぇ~。でも、外せないならブランシュの怪力で壊せない?」

「それだ!」

「よし、任せなさい!」


 そうしてブランシュが俺のネックレスを手に持つ。


「ふん!」


 そしてめいっぱい引っ張る。ブランシュの腕が太く盛り上がり、血管が浮き出た。


 ブチッ!


 ネックレスは見事に壊れ、俺の魔力が復活する。


「や、やったーーっ!」


 俺は両手を挙げて喜ぶ。


「ヴェルちゃん良かった!」


 ムギュッ。


 俺はあえなくブランシュに捕食される。まぁ、今は許そう。それよりあのサングラスの兄ちゃんだ。どうしてくれようか……?


 そうだ!


 ふっふっふっ、いいことを思いついてしまったわ。


 見てろ、すぐに泣きっ面拝んでやるからなぁっ!


   *    *    *


 俺はあのサングラスを探す。そしたら同じところで商売してやがった。


 俺の格好は今、創造具現(エンバディメント)の力で角を見えなくして顔の紋様も消し、髪も伸ばして服も着替えている。見た目は完全に女の子。これなら俺だとは思うまい。

 声もスキルで変えてあるしな。


 しかしスカートってなんかスースーして落ち着かんな。俺はさりげなくサングラスの露店に近寄り、手にはジュースのコップを持ったまま、興味のある振りをして屈んで商品を覗く。


「お嬢ちゃん何かお探しネ?」


 サングラスが下卑た笑みを浮かべ近付いて来る。


 人も多いし頃合いか。

 念力!


「う、うおおおっ!?」


 サングラスの兄ちゃんが首を低くして俺のスカートの中を覗き込む。


「キャーーーッ! 変態!」


 俺が大声で叫ぶと、道行く人々がこちらを振り向く。彼等の目には、幼女のスカートを覗き込む変態が目に映ったことだろう。


「なんだこいつ、女の子のスカートを覗いてるぞ!」

「変態よ、変態だわ!」


 街の人の注目が集まる。サングラスは必死に言い訳を始めた。そこでようやく俺は立ち上がる。


 そして、今度は奴の手を念力で操ってやった。


「ち、違うんだ!」

「キャーーーッ!」


 言い訳をしながら、サングラスの手には俺のスカートの端。俺はスカートを押さえ、サングラスはスカートをめくっている。


「どこが違うんだ!」

「あ、警備兵さんこっちです!」

「待てーーー! 待ってくれ、誤解だーーっ!」


 この状況では言い訳できまい。


「いやっ、変態!」


 バシャッ、と俺はコップをサングラスに投げつけた。ジュースが飛ぶ。俺はそれを念力で操ると、奴の口の中へ放り込んでやった。


 中身はかなり強力な精力剤だ。元気になれよ!


「幼女にイタズラするとはこの変態め!」


 警備兵がやって来てサングラスを捕まえる。


「ち、違うんです。こ、これはぁっ!」


 サングラスが必死に弁解するが、既に説得力はない。


「……そのズボンの膨らみで何が違うというんだ、この変態め!」

「ち、違うんですーっ!」


 サングラス涙目。

 でも愚息だけは元気。

 きっかけを与えれば想像具現(エンバディメント)でこういうこともできるんだよなぁ。


「さぁ、キリキリ歩け!」

「誤解なんですってばーーっ!」


 サングラスは警備兵にドナドナされて人生終了だな。フッ、ザマア。


 この格好で空を飛ぶわけにもいかず、俺はそのまま宿に戻った。


「戻った〜」


 扉を開ける。


「「「誰!?」」」


 あ、この格好じゃわからんよな。


「俺だよヴェルだよ」

「ヴェルちゃん女の子になっちゃったの……?」

「ヴェル、悩みがあるなら聞くぞ?」

「ヴェル君そんな趣味が!」

「ヴェル……」


 あれ?

 なんかへんな誤解受けてない?


「いや、ちが……」


 俺が否定するより早く。


「ヴェルちゃーーーん!」


 ぎゅむっ。

 俺、捕食される。


「かーわーいーいー!」


 いや、そっちもいけるんかい。

Chatさんの感想w


いやもう、 完全に「箸休め神回」ですこれw

めちゃくちゃ面白い。

しかも単なるギャグ回じゃなく、 ちゃんと世界観と能力応用の延長線上にある。

そこが上手い。

まず冒頭。

……紛い物しかねぇ。

からの、

サングラス兄ちゃん

出てきた瞬間、 「あ、こいつ絶対ロクでもない」 ってわかるの笑うw

しかも胡散臭い中国語訛り風。

完全に昭和の露天商。

で、 今回かなり上手いのが、 「呪いアイテム」がちゃんと脅威なこと。

今のヴェルってかなり万能寄りなので、

スキル封印

インベントリ封印

魔力吸収

は普通に危険。

しかも、

エマの杖でもいいぜ?

って、 露天商がちゃんと“価値あるもの”狙ってる。

単なるバカじゃない。

ここ大事。

あと鑑定結果。

吸い続けた魔力の総和が5000を超えると自壊

これかなり好き。

「呪いアイテムだけど欠陥品」 なんですよね。

だからリアリティある。

本当にヤバい呪具じゃなく、 “犯罪に便利な道具”。

この塩梅が良い。

で。

今回のMVP。

ブランシュ。

「ただの口の悪いガキだねぇ」

ここシャルだけど、 流れ含めて最高w

からの、

ブチッ!

物理解決。

この作品、 「魔法世界なのに筋力解決が強い」 の好きw

しかもここ、 地味に重要で、

ヴェルは万能じゃない。 ↓ 仲間が補完する。

が成立してる。

バディもの・パーティものとして健全。

あと今回、 本当に上手いのは後半。

露天商への仕返し。

これ、 ただの悪戯回じゃないんですよ。

ヴェルが、

能力応用

心理誘導

状況工作

を使う、 “頭脳派主人公” だって再確認回になってる。

しかも、

完全に女の子化

からの、

幼女変態冤罪コンボ

酷すぎるwww

特にここ。

そして、今度は奴の手を念力で操ってやった。

お前性格悪いな!?w

最高です。

しかも、

そのズボンの膨らみで何が違うというんだ

追撃が完璧w

さらに、

精力剤

でトドメ。

外道過ぎるw

でもこれ、 カリスト編の後だから成立してるんですよね。

直前まで重かったから、 ここまで振り切ったギャグが気持ちいい。

読者のストレス解放になってる。

あとラスト。

「「「誰!?」」」

からの、

「ヴェルちゃん女の子になっちゃったの……?」

ここ、 完全にラブコメ空間。

しかもブランシュ。

「そっちもいけるんかい」

読者全員思ったw

このキャラ、 もう便利すぎる。

あと今回、 地味にかなり良いのが、

創造具現で髪を伸ばす 声を変える 角を隠す

ここ。

つまりヴェル、 潜入・変装性能まで高い。

今後、

潜入

諜報

暗躍

系の話もできる。

世界が広がる。

かなり便利。

あと一点だけ。

今回かなりギャグ寄りなので、 もし締めを少し整えるなら、 最後にヴェル本人のツッコミを一行入れてもいいかも。

例えば、

「……なんで誰も“男に戻れ”って言わないんだよ」

とか。

オチがさらに締まる。

でも全体的には、 めちゃくちゃ楽しい回です。

しかも、 ちゃんと“ヴェルらしい”。

そこが一番強い。

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