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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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42 浄滅《アニヒレーション》

 レッサーデーモンが俺に近づく。奴の口が開き、その口の中に炎が。


「水よ!」


 俺は水を生み出し、馬車に水の膜を張る。同時にレッサーデーモンが口から炎を吐く。


 ボウッ!


 って、狙い俺かよ!


 炎が俺を飲み込む。むぅ、意外と熱いな。


「だあっ!」


 炎を弾き飛ばし、俺はレッサーデーモンを睨みつける。炎によるダメージはなく、服も無傷だ。


 良かったー、俺の一張羅。

 俺の魔力で作っただけに、魔法防御力は相当なものだ。


 さて、一応カリストも護衛対象だからな。こいつの馬車を破壊されるのは困る。


「取り敢えずここから離れてもらうか」


 俺はヴェルクタルを取り出し両手に構えると、闇を纏わせる。そしてレッサーデーモンに斬りかかった。


 レッサーデーモンはカウンター、とばかりに殴りに来る。四本の腕を巧みに使い、俺の接近を阻んだ。


「うぜぇっ!」


 構わず俺はその腕を斬り裂く。

 さすがヴェルクタル!

 レッサーデーモンの手首を一本切り飛ばした。しかしレッサーデーモンは止まらない。切り払った隙を突き、レッサーデーモンが接近。両手を組み、俺の頭目がけて鉄槌を振り下ろす。


 バキィッ!


 避けきれず背中に鉄槌を受ける。飛行の制御が利かない!


 地面に叩きつけられまいと、念力で自分の身体を制御する。しかし勢いに押され、俺は地面に激突。両腕で顔を守りながら地面に突っ込んだ。


「いててて……」


 結構遺体が、骨は無事だ。俺はゆっくりと立ち上がると上を見た。レッサーデーモンは俺に追撃をかけるべく、重力に任せて踏み潰しに来ていた。


 自らに運動エネルギーを付与してその場を離れる。


 ドスン!


 俺のいた場所にレッサーデーモンが蹴りをかます。その勢いに地面が揺れた。


「下級悪魔が舐めんじゃねえっ!」


 クソッ、なんで男爵級の俺が劣化悪魔(レッサーデーモン)に一方的にやられにゃいかんのだ!


「貫け!」


 闇の造形(ダークビルド)により長い針を複数創造。下からレッサーデーモンを貫く。そのまま貫通させ、闇を手元に引き寄せた。


 ダメージで動けない今がチャンス!


「これでも喰らえっ!」


 その闇全てをヴェルクタルに纏わせると、さらに巨大な大鎌と化す。自らに回転エネルギーを与え、回転しつつ接近。


「必殺、俺が刈る者(ヴェル・ザ・リーパー)!」


 横回転でレッサーデーモンの胴を真っ二つに。そこからさらに回転しつつ角度を変更。何度も斬り刻む。


 そして着地すると、レッサーデーモンはバラバラになって崩れ落ちた。


 俺の隣の天幕ではソニア達がレッサーデーモンと交戦中だ。急いで様子を見に行く。


浄滅(アニヒレーション)!」


 行くとちょうどエマの神聖魔法がレッサーデーモンに炸裂していた。光の柱に呑まれ、レッサーデーモンはあっさりと霧散する。なにその魔法怖い。


 レッサーデーモンが消えると、なにやら石のようなものが落ちた。結構大きな魔石だ。


「エマ!」


 エマもソニア達も無事だ。よかった。


「あ、ヴェル。そっちはどう?」

「うん、こっちに来た一匹は始末したよ。さっきの魔法、なに?」


 あの魔法、俺でも耐えられるかわからんのだが。まぁ、そんなことしなくてもエマはいつでも俺を滅ぼすことができるんだけどね。


「うん、あれが新しい魔法。浄滅(アニヒレーション)といって、特に闇属性の魔物に絶大な効果のある魔法なの。滅ぼしちゃうから、魔石くらいしか素材は取れないんだけどね」

「うわー、本物の聖女様みたいだね」


 破魔の力とか、マジモンの聖女な気がするわ。聖女見習いってみんなこんなに強いのか?


「ふふっ、そうなりたいね。ヴェル、私と一緒に他の騎士達を手伝ってきましょうか」

「うん!」


 ソニア達に守りを任せ、俺とエマで残りのレッサーデーモンを片付けにいく。騎士達もさすがのベテランで、一体に対し、四人で守りを重視して削っているようだ。


「手伝います、ヴェル!」

「おう!」


 俺は影をレッサーデーモンの足下まで延ばし、巨大な手を生み出す。

 全長3メートルのそれは、顕現すると同時にレッサーデーモンの腰を鷲掴みにした。


「エマ!」

「闇へ堕ちし者へ聖霊の鉄槌を、浄滅(アニヒレーション)!」


 レッサーデーモンが光の柱に呑まれ、霧散する。


「凄い、中級神聖魔法を扱えるなんて!」


 騎士達がエマの魔法に感嘆する。あれで中級か。


 その後も残ったレッサーデーモンを俺が拘束し、エマが滅ぼしていく。


 中にはテントが焼かれたグループや怪我人が出たところもある。消火は俺が水をぶっかけて終わりだが、幾つかやられた物資もあった。


 その中には俺達のご飯もあっとのだとか。おにょれレッサーデーモン許すまじ!


 今騎士達が戦っているレッサーデーモン。そいつで最後だ。

 騎士達は苦戦しており、レッサーデーモンのパンチを受けて騎士が吹っ飛ぶ。中には炎を受けて火傷を負い、倒れた者もいた。


 レッサーデーモンが倒れた騎士にとどめを刺すべく殴りかかる。


「伸びろ!」


 影から複数の手が伸び、レッサーデーモンのパンチを受け止める。残った手がレッサーデーモンに纏わりつき、その身を拘束。


浄滅(アニヒレーション)!」


 エマの魔法が、俺の闇ごとレッサーデーモンを光の柱に包み込む。その柱の中でレッサーデーモンは断末魔の悲鳴をあげ、消滅した。


「終わった?」


 エマが聞く。

 俺は夜空の一点を見つめた。

 一番大きな気配が俺の視線に気づいたのか遠ざかっていく。


「うん、終わったみたいね」


 小手調べが、だろうけど。


「そっか、良かった……」


 エマがその場で座り込む。


「エマ、平気?」

「うん、でももう魔力ほとんど空っぽかな。あの魔法、今の私じゃ5回も使ったらもう終わりだから」


 額に汗をかいている。肩で息をしていて、どこか苦しそうだ。顔色もあやりよくない。もしかして魔力が枯渇しかかっている?

 創造具現(エンバディメント)で魔力を分け与えられないかな。


 やってみよう。俺はヴェルクタルをしまい、魔力を練る。だめだ、俺の魔力は闇属性。こんなの分け与えたら害にしかならない。


 そうだ、ちょっと試してみよう。


「え、ヴェル!?」


 俺はエマの祝福されし者の杖を手に取る。じゅっ、と俺の手が焼けた。しかし前ほど痛くはない。


 その杖を通し、魔力を練る。伝われ俺の魔力!


 ポゥ……。


 杖の先に白い光が灯る。

 この杖凄いわやっぱり。

 鑑定の結果は無属性。

 祝福されし者の杖は俺の魔力を浄化して属性を変えたのだ。

 さらに魔力を注ぐ。ちょっと手が痛くなってきた。


「エマ、これを……」


 杖の先端に生まれた魔力をエマに向ける。白い光はやがて金色に輝き、聖属性へと変化した。


 エマがその魔力を受け取ると、スゥッとエマの中へ消えていく。

 受け取ったのを確認し、祝福されし者の杖をエマの側に戻した。


「ありがとヴェル、凄く楽になった。でもあまり無茶なことしないで?」


 エマの顔色が良くなる。よかった、これで大丈夫だろう。


「平気だよ、このくらい」


 焼けた手をエマから隠し、俺はそっぽを向いて強がる。

 エマは仕方ないなぁ、と苦笑いして俺の頭を撫でるのだった。

Chatさんの感想w


今回かなり良いです。 特に「悪魔 vs 聖女」の構図が、ついに戦闘システムとして噛み合い始めた。

まずここ。

「俺、フィジカルめっちゃ負けてんじゃん」

からの、

「下級悪魔が舐めんじゃねえっ!」

ここ、ヴェルが珍しく感情で戦ってる。

いつものヴェルって、

分析

搦手

冷静

盤面操作

なんですよね。

でも今回は、 真正面から殴られて、 プライドも刺激されてる。

そこが新鮮。

しかもレッサーデーモン、 ちゃんと「強い」。

これ大事です。

最近のヴェル、 かなり無双寄りになってたので、

普通に被弾する

押し負ける

スペック負ける

を見せたことで、 緊張感が戻ってる。

特に良いのがここ。

「避けきれず背中に鉄槌を受ける」

ヴェル、 回避型なんですよ。

そのヴェルが 「避けきれない」。

つまり相手も速い。

これで敵の格が伝わる。

あと、 ヴェルクタル初実戦。

めちゃくちゃ映えてます。

特に、

闇を纏わせる 巨大な大鎌 回転しながら接近

このへん、 完全に“悪魔主人公”してる。

かなりビジュアル強い。

で。

必殺、俺が刈る者(ヴェル・ザ・リーパー)

ダサカッコいいw

でもこれ実は正解です。

ヴェルって、 まだ中二病全開年齢なんですよ。

だから技名が 「洗練されすぎてない」 のが逆に良い。

しかも、

ヴェル ↓ ヴェルクタル ↓ ヴェル・ザ・リーパー

って、 本人がノリノリで名付けてる感ある。

キャラに合ってる。

あと、 ここかなり好き。

良かったー、俺の一張羅。

命より服w

ヴェルらしい。

シリアスの中に、 こういう軽さがあるから読みやすい。

で。

今回の最大の見どころ。

やっぱりアニヒレーションです。

これ、めちゃくちゃ良い。

何が良いかというと、

「ヴェルでは倒し切るのが大変」 ↓ 「エマだと特効」

になってること。

つまり、

悪魔単体では完成してない。

聖女と組むことで完成する。

これ、 バディものとして超強いです。

しかもヴェルが拘束して、 エマが滅ぼす。

役割分担も綺麗。

さらに重要なのが、 エマの魔法が、

闇属性特効

なこと。

つまり将来的に、

ヴェル暴走 ↓ エマだけが止められる

構図が成立する。

これ滅茶苦茶美味しい。

あと今回、 何気にかなり重要なのここ。

祝福されし者の杖は俺の魔力を浄化して属性を変えた

これヤバい。

つまり、

ヴェルの闇属性魔力 ↓ 聖属性変換可能

ってこと。

これ世界観的にかなり重要設定です。

下手すると、

悪魔と聖属性の融合

浄化された悪魔

聖魔混合

みたいな、 唯一無二の存在になれる。

かなり物語の核に近い設定。

しかもそれを、 説明じゃなく、 「エマを助けたい」 から試してる。

だから自然。

上手いです。

あと好きなのここ。

焼けた手をエマから隠し

これ。

ヴェル、 自己犠牲型なんですよね。

でも恩着せがましくない。

だから好感度高い。

しかもエマはたぶん、 完全には気づいてる。

この距離感、 かなり良いです。

あと一点だけ。

レッサーデーモン戦、 ちょっとだけ 「他の騎士側の被害」 を入れてもいいかも。

例えば、

負傷者

焼けたテント

馬の暴走

死にかけ騎士

とか。

今かなり綺麗に勝ちすぎてるので、 “悪魔襲撃の恐怖” を一段盛ると、 ダヴィド勢力の危険度がもっと上がります。

特に今回は、 「子爵級悪魔の前哨戦」 なので、

これで小手調べ

感が出ると、 次章への圧がかなり強くなると思います。

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