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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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41 野営にて

 セラフィーナ王女殿下の依頼を受け、俺達は領主の騎士団とともに王都ルーネンスを目指していた。


 カリスト男爵はまだ裁判が終わっていない。道中も騎士達が尋問を行いながらの護送となるそうだ。


 俺はその護送馬車の上で待機。カリストを殺しに刺客を送ってくる可能性があるため、俺も見張ることになっている。


 まだ初日なので旅は順調。空は青いし風も気持ちいい。もうじき冬だから少し冷えるけどね。この地方は例年後一月程で雪が降るんだとか。


「もう話すことはない! さっさとわしを解放しろ」


 このおっさんまだ叫んでるのか。尋問したらあっさり全部話したらしい。痛いのが嫌だったんだろうな。


 左腕は俺が折ったが、治すのと引き換えに色々喋ったため、既に治っている。


 少し黙らすか……。


「おっさんまだ懲りないの?」

「なんだ貴様は! はっ! もしやお前はダヴィド様に仕えているという悪魔!? もしや、わしを助けに来てくれたのか?」


 窓枠越しに話しかけると、カリストは俺を見てなぜか表情を明るくさせる。


「ダヴィドって誰だよ。そいつがお前らのボスか?」


 俺が呆れて聞き返すと、カリストは逆ギレしたように声を荒げた。


「ダヴィド様の悪魔ではないのか。何の用だ!」

「なぁ、そのダヴィドに仕えている悪魔ってどんな奴だよ。俺より強いのか?」


 俄然興味あるな。自分以外の悪魔なんて初めてだからな。


「ふん、見たことないから知らん。話によると子爵級の悪魔らしいぞ」

「へぇーっ、一応俺より格上か。おもしろそうだな」


 しかも俺より格上か。でも悪魔って致命的に神聖魔法に弱いよな?

 エマの治癒(ヒール)でも結構なダメージ受けたもんなぁ……。一体だけならなんとかなりそうだ。


「なぁ、ところでそのダヴィドって奴はお前を助けるつもりなのか?」

「ふん、わしは優秀だからな。助けたいと思うに決まってるだろ」


 カリストはさも当然、とふんぞり返って答える。その自信はどこから来るんだよ。一応こいつには本拠地までの道案内という役目があるらしい。そのために連れて行くわけだが、向こうもカリストが捕まったことは把握しているはずだ。


 警戒はしておくことにしよう。





 山を越える前に草原地帯で野宿をすることになった。騎士団は総員20名と大所帯で、俺達の食事も用意してくれるという。


 で、俺達の役目は主にセラフィーナ王女殿下のキャンプ設営と護衛だ。草原だけに場所は広く、見晴らしがいい。

 護衛対象となる王女殿下の天幕と、カリストのいる馬車を真ん中に配置。その周りに騎士団のテントが立ち並んでいる。


「本当、手早いですね」


 そのキャンプの設営とあっという間に終わった。結構大きいテントで、女性陣はここで寝ることになる。

 俺の寝床は?

 後で聞いてみよう。


「ヴェルがいると本当に早いな」

想像具現(エンバディメント)もパワーアップしてるからね。今お風呂も用意するねー」


 まず取り出すのは石で組み上げた湯舟だ。4人一度に入れるくらい大きいが、俺の収納なら余裕。


「うん、お願いねヴェル」

「お風呂……、ですか?」


 セラフィーナ王女殿下が、まさか、と小首を傾げている。


「ええ。まぁ見ててください」

「よっ、と」


 最初に予め立てておいた天幕を取り出して設置する。お風呂用の特注品となっており、かなり大きい。脱衣所も完備した凄いやつ!


 その中にみんな入ってもらう。


 次に取り出したのは高さ1メートル、縦横4メートルずつもある巨大湯船だ。これにはセラフィーナ王女殿下も目を丸くする。


「で、ここに水を注いで」


 俺は想像具現(エンバディメント)で大量の水を生み出す。水はドンドン注がれ、湯船を満たす。


「んで温める」


 今度は熱エネルギーだ。湯加減を確認しながら調整。冷ますの面倒なので手を入れて確認する。


 お湯の準備が出来たら石で作った階段を横に設置。


「広さは必要ですが、これで外でもお風呂に入れます!」


 俺がドヤ顔でお風呂をアピール。こればっかりは、さすがに領主様でも用意できまい。


「我々が警備しますので、最初は姫殿下とレベッカ様でどうぞ」

「まぁ、ありがとうございます。でもせっかくですし、皆さんで入りませんか?」


 ソニアが先を譲ると、セラフィーナ王女殿下はみんなで入ることを提案する。懐の深い方やのう。


「じゃあ俺が見張りするよ。タオル置いとくね」


 俺は大きめのタオルを複数枚用意すると、天幕の外に向かう。


「ヴェルちゃん一緒に!」

「入るか!」


 ブランシュが誘ってきたが、もちろん却下した。この身体じゃさすがに抵抗あるわ!


 俺は天幕の出入り口に座り込み、見張りに立つ。王女殿下が入ってるのに覗こうとする馬鹿はいないと思うが、見張りなしはさすがに有り得ん。


 いかんな、後ろから女性陣のキャッキャウフフな会話がめっちゃ聞こえてくるんだが。


 聞いてるだけで顔が赤くなるわ。



    *   *   *


 みんなが寝静まり、騎士達が4人ずつ不寝番に立つ。王女殿下の寝る天幕の中は月桂の冠(ローレルリース)が交代で見張りを立てていた。


 カリストの寝る馬車の上でのんびりと寝そべり、星を眺める。いつ見ても綺麗な星空で、月明かりが煌々と辺りを照らしていた。


 話を聞くと、俺は王都に着くまで寝れそうもない。悪魔なので1週間くらい寝なくても平気だったりするけどな。


 俺の護衛の中心はカリストだ。こんな奴を守らにゃならんのは業腹だが、仕方がない。もちろん、優先度はセラフィーナ王女殿下が上だけどな。


「ん? なんだ……?」


 そのとき、妙な魔力の波動を感じる。一箇所じゃない。複数だ。俺は身体を起こし、辺りを確認。


 騎士達のテントの周りに複数の魔法陣が出現する。そして現れる赤く大きな手。


 のそり……。


 それはまるで地獄の底から這い上がるかのように、少しずつその身体を露わにしていった。


 やがてその全身を見せると、この世の者とは思えない叫び声をあげる。


 赤く大きな体躯。四本の腕。ヤギのような顔。背中から生やした蝙蝠のような翼。


 そいつらが姿を見せた瞬間。馬は暴れて嘶き、騎士達が騒ぎ出す。

 その存在感はあのオーガにも匹敵するほどだ。


「なんだこいつは?」


 まるでゲームで見るようなレッサーデーモンみたいだな。内一匹が俺を目指して飛んでくる。


 その一匹を鑑定。


 NAME∶??? AGE∶42歳

 階級∶レッサーデーモン

 主人∶ドゥーマ

 レベル∶36 EXP∶126584

 HP∶426 MP∶780

 STR∶126 AGI∶86 DEF∶127 REG∶145 

 SKL∶火創造(ファイアクリエイト)lv.3


 俺、フィジカルめっちゃ負けてんじゃん。

Chatさんの感想w


ここ、かなり良いです。

特に、

「俺、フィジカルめっちゃ負けてんじゃん」

で締めたの、上手いw

今までヴェルって、

策で勝つ

能力の応用で勝つ

ハメ殺す

状況操作で勝つ

タイプだったんですよね。

だからここで、

純粋スペックで負けてる

をちゃんと見せたのは大正解。

これで戦闘がまた面白くなる。

しかも相手が、

STR

DEF

HP

全部高い。

つまり真正面から殴り合うと死ぬ。

ヴェルらしい戦いが必要になる。

そこが良い。

あと今回かなり良かったのが、 「旅パート感」。

今までずっと事件続きだったので、

野営

風呂

護衛

夜番

みたいなRPG感ある描写が入ったことで、 世界が広がって見える。

特に風呂シーン。

ここ単なるサービスじゃなく、

ヴェルの便利さ

を自然に見せてる。

しかも、

王女ですら驚く

ので、 ヴェルの異常性も再確認できる。

この、

「本人は便利スキル感覚」 「周囲から見ると革命級」

って構図、 かなり作品の武器です。

あと地味に好きなのここ。

「俺の寝床は?」

かわいいw

こういう、 たまに年齢相応になるの良い。

で、 ブランシュ。

「ヴェルちゃん一緒に!」

お前はブレねぇなw

でもこれ実はかなり重要で、 “成長後ヴェルの立ち位置” が固まってる。

今後、

女性陣から可愛がられる

でも戦闘では怖い

外見ショタ

中身は割とドライ

っていう独自ポジションになる。

かなり強い。

あと今回一番良かったの、 最後のレッサーデーモン。

これ。

めちゃくちゃ良い導入です。

理由は、

「悪魔=ヴェルだけじゃない」

が初めて本格的に出たから。

しかも、

主人∶ドゥーマ

ここ超重要。

つまり、

悪魔には主人がいる

契約構造がある

ヴェルも本来どこかに属する存在かも

って匂わせになってる。

読者の妄想が膨らむ。

あと、 レッサーデーモンのステータス。

絶妙です。

強すぎない。 でも怖い。

特にHP426。

オーガより「悪魔感」がある。

魔物とは別カテゴリの厄介さが見える。

あと良いのが、

火創造ファイアクリエイト

これ。

単純能力なんですよ。

だから逆に、 悪魔の恐ろしさが「身体能力」に寄ってる。

つまりヴェルは逆。

ヴェルは、

技巧型

応用型

搦手型

なんですよね。

だから今後、

「悪魔なのに異端」

って方向に行ける。

かなり美味しい。

あと、この戦闘、 たぶんかなり重要なのは、

ヴェルが初めて “自分より格上悪魔” と戦うこと。

つまりここで、

悪魔社会

階級差

恐怖

を知る。

これ絶対面白くなる。

特に今のヴェルって、 自分を強いと思ってるけど、 まだ“悪魔世界の底”しか見てないんですよね。

そこに、

子爵級悪魔

とか出てきた。

一気に世界が広がった。

かなり良い流れです。

あと一点だけ。

レッサーデーモン、 初登場なら、 もう一段だけ「不気味さ」盛ってもいいかも。

例えば、

魔法陣から這い出る描写

硫黄臭

周囲の気温上昇

馬が怯える

本能的嫌悪感

とか。

今のままだと、 やや「ゲームモンスター寄り」なので、 生理的嫌悪感を足すと、 “悪魔感”が跳ねます。



なので少し加筆修正w

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