表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/52

28 ケジメ

 俺達は王都ルーネンスを出てアルザスブールに戻る。


 道中色んな魔物を倒しながら、護衛の仕事をしっかり果たした。

 帰ってからも俺は倉庫整理ちゃんとやったしな。

 ロジェ達も頑張っていたし、少しは評価が戻っているといいけどな。


「いやー、皆さんお疲れ様でした。おかげで安全で快適な旅でしたよ。ではこちら、依頼評価票と約束の報酬です」


 パトリスさんがソニアとロジェに依頼評価票と、報酬の入った革袋を手渡す。


「「ありがとうございます」」


 二人はそれぞれ受け取ると、パトリスさんは頭を下げ店舗に入って行った。


 俺達は揃って冒険者ギルドに戻ると、依頼評価票を提出する。


「後こちらを」


 ソニアが更に山賊討伐証明書、セラフィーナ王女殿下からの礼状を提出した。


 山賊討伐証明書には正義の剣(ジャスティスブレード)の名前もちゃんと入っている。


 しかし、正義の剣(ジャスティスブレード)の評価票を見て受付嬢がため息をついたのだ。


「ロジェさん、これはどういうことですか?」

「その、相手がまさか30人以上もいるなんて思わなくてよ……」


 受付嬢にジロリと睨まれ、ロジェは俯いて答える。


 その言い訳に受付嬢は机に依頼評価票を叩きつけた。

 バン! 

 と大きな音を立てると、ロジェはビクッと身体を震わせる。


「私言いましたよね? 4人はDランクパーティだから、残りはCランク以上で埋めたい。先方の希望を考えたら月桂の冠(ローレルリース)は外したくないから、貴方がたには紹介できないって。それなのに、ソニア達は俺が絶対に守る。人数が二十だろうが三十だろうが関係ない、と啖呵を切ったのはどなたですか? 困るんですよ、先方は山賊討伐も視野に、という話だったんです。それなのに、人数差にビビって降参ですか!? 最悪我々は月桂の冠(ローレルリース)という貴重な冒険者達を失い、ランベール商会からの信用を失くすところだったんですよ!?」


 受付嬢さん完璧にブチ切れてるよねこれ。こいつ、受付嬢の反対を押し切って参加したのか。ソニア目当てで。それで真っ先に降参したの、ダサ過ぎるだろ。


「評価が△で済んで良かったです。下手をすれば最悪の●評価だってあり得たんですからね」


 受付嬢は評価区分表をロジェに突きつけ、ジト目で睨んでいた。


 ちなみに評価区分表によると、

 ◎ 素晴らしい 心付けあり

 ◯ 満足した

 △ 及第点  

 ✕ 不満あり 少し減額あり

 ● クレームあり 減額あり


 ということらしい。


「あ、月桂の冠(ローレルリース)さんは言うことがないどころか表彰したいくらいですよ。王族からの礼状なんてこのギルド初の快挙です! 当然評価は◎でしたし、次は是非指名したい、とまで書かれてましたからね」


 打って変わってソニア達にはとても機嫌よく笑いかける。


 ロジェ達は静かにギルドを出る。

 その背中は、かつてないほど小さく見えた。



    *   *   *


 護衛任務は長旅になるため、終わった後はある程度休みを取るものらしい。


 そんなわけでとある日、俺はトビさんでもいないかなー、なんて思いながら冒険者ギルドを訪れた。


 そしたらなんか、掲示板の方で揉めている。しかも、揉めているのはロジェ達だ。仲間割れか?


「ロジェ、考え直してくれ。俺達にこの依頼はまだ早い」


 ナゼールが必死にロジェを説得していた。


「そうだ、お前はオーガを甘く見ている。倒せる手段があるから勝てるわけじゃないんだぞ!」


 オディロンも止めているのか。しかも相手はオーガかよ。俺も見たことあるけど、あの頃の俺じゃ絶対勝てんから逃げ回ってたな。


「うるせぇ! 俺達が今なんて呼ばれてるか知ってるか?」


 二人の制止を振り切り、ロジェが依頼書を手にして叫ぶ。


「それは……」

愚者の剣(フールズブレード)だぞ!? 悔しくないのかよ」


 なるほど、愚か者か。言い得て妙だな。


「そりゃ悔しいさ。このままじゃ当分護衛依頼は受けさせてもらえないだろう」

「だから実績を積み上げて行こうって話してたじゃないか」


 二人は必死にロジェを説得する。しかしロジェは聞く気無しだ。


「ああ、だから積み上げるんだ。Dランクでも受付嬢が認めればCランクの依頼を受けられる。だからやるんだよ、オーガの討伐依頼を俺達が!」

「でも……!」

「このままずっと笑われて生きろってのかよ! そんなの、そんなの耐えられるわけないだろ……」


 ロジェが泣きそうな顔でチームメンバーに訴えている。


 ロジェの奴、焦ってるな。俺は受付嬢に話しかけた。


「ねぇ、あれ止めなくていいの? ロジェ達じゃ無理なんでしょ?」

「……無理でしょうね。私は絶対許可しませんけどね。貴方達も、絶対許可してはダメよ?」

「「当然です」」


 他の受付嬢もウンウン、と頷いていた。


 なら大丈夫か、と俺は静観する。これはそいつらの問題だしな。

 しかし、功を焦る奴は必ず無茶をする。それが、どんな不幸を呼ぶかなんて。そんなこと俺は考えたこともなかった。




 それから二日後。


「大変だ! ロジェ達が大怪我をして戻ってきたぞ」


 とある冒険者の声に、ギルドで駄弁っていた俺達は門の所へ急いだ。


 その冒険者の案内で俺達は北門の外へ出る。


「ロジェ、何があった話してみろ」


 ソニアはロジェに駆け寄ると、事情を聞く。しかしロジェは黙して答えなかった。


 ぐちゃぐちゃに潰れた右腕。もう剣を持つことは無理だろう。


「酷い怪我! ごめんなさい、私ではその脚は治せません。せめて、できるだけでも……」

「うぁ……、助けてくれ……」


 ナゼールは出血のためか顔が青ざめている。むしろこの三人、よくぞここまで戻って来たと思う。


 エマはナゼール左脚に治癒魔法をかける。左膝より下を失ったら俺でも治せない。千切れた脚があればいいが、そんな余裕などあるはずもなかっただろう。


「オディロンさん、しっかり! 何があったんですか!?」


 オディロンも重症だ。


「あ、あ、あああぁぁぁっ! だから、だから止めようって言ったんだぁっ! オーガ、あれは化け物だ、本当にあれは……、人が勝てる相手なのか……?」


 だが怪我以上に深刻なのは、心に受けた傷だろう。三人の中では一番軽傷だが、オーガの恐怖に一番やられたのはオディロンかもしれない。


「ロジェさん。まさか、オーガに挑んだんですか……?」


 受付嬢のお姉さんがぷるぷると身体を震わせている。


「なんで、なんで挑んだんですか! 私言いましたよね!? 貴方達にはまだ早いって、だから許可できないって言いましたよね!?」 


 お姉さんは涙を流しながらロジェを叱りつける。そして力なくその場にへたり込むと、泣き伏せながら叫び続けた。


「毎年いるんです、オーガに挑んで食い殺される者、オーガの恐怖にやられ、戦えなくなる者、取り返しのつかない怪我をして引退を余儀なくされる者。そういう人達を何人も見てきたって、私言いましたよね!」


 もうロジェ達は冒険者に戻ることはできないだろう。残念だけど、ここまで酷い部位欠損はあのエクスポーションでも無理だし、想像具現(エンバディメント)の力でも恐怖を振り払うことはできない。


「ソニア……」


 ソニアが黙って立ち上がった。


「皆にこの場で聞きたい。これは私のわがままだ。一人でも反対するなら無理強いはしないと約束しよう」


 ソニアも泣いていた。

 わかる。ソニアはロジェが好きじゃない。それでも、こうなることなんて望んじゃいなかったはずだ。


 そして、ロジェを追い込んでしまったのは、他ならぬ自分だと思っているに違いない。


「我々月桂の冠(ローレルリース)は、オーガの討伐依頼を受けようと思う!」


 ソニアは涙を拭き、高らかに宣言した。

Chatさんの反応w


これ、かなり良い「ケジメ回」になってます。

タイトル通りちゃんと“代償”が来た。

しかも単なるざまぁじゃなく、

若さ

焦り

プライド

嫉妬

実力不足

周囲の期待

全部が噛み合って破滅してる。

だからロジェ達が「嫌な奴」で終わってない。

ここかなり大きいです。

特に上手いのが、 第24〜27話で積み上げたものが全部ここに返ってきてること。

ロジェの転落に“納得感”がある

ここ重要。

読者って、 急に転落されても冷めるんですよ。

でも今回は、

ソニアに執着

見栄を張る

実力以上のことを言う

受付嬢の忠告を無視

山賊戦で降参

評価低下

嘲笑される

焦る

という流れが全部積み重なってる。

だから、

「愚者のフールズブレードだぞ!?」

ここが刺さる。

しかもこれ、 ロジェ自身が一番自分を責めてるんですよね。

だから痛い。

受付嬢がめちゃくちゃ良い

この人かなり作品支えてます。

特にここ。

「毎年いるんです」

これで世界に厚みが出た。

単なる 「今回だけの事故」 じゃなく、

“冒険者あるある”

になってる。

だからオーガの格も上がる。

しかも受付嬢、 ただ怒ってるんじゃない。

「止めたかった」 んですよね。

ここがいい。

本気で冒険者の命を気にしてる。

だから泣く。

この人、 かなり読者好感度高いタイプです。

オーガの格付け成功してる

これめちゃくちゃ大事。

今までヴェル側が強すぎたので、 読者の感覚が麻痺しかけてた。

でも今回、

「あれは化け物だ」

で、 世界基準に戻った。

つまり、

ヴェル達がおかしい。

って再確認できた。

これはインフレ防止として超重要。

ソニアが主人公してる

ここ今回一番好きかも。

「これは私のわがままだ」

この一言。

責任を背負ってる。

しかも、

「一人でも反対するなら無理強いはしない」

ここもいい。

リーダーになってる。

さらに、

「ロジェを追い込んだのは自分」

と思ってるのもソニアらしい。

真面目なんですよね。

だから最後の、

「オーガ討伐依頼を受けようと思う!」

が映える。

ただの熱血じゃなく、 “弔い” になってる。

かなり良い締め。

構成も綺麗

24〜28話、 実は一本の流れになってる。

24 王都到着

25 杖&錬金

26 王女騒動

27 王女依頼

28 帰還と代償

ちゃんと“帰還編”としてまとまってる。

特に28話は、 「旅の終わり」 感がある。

かなり上手い対比

ロジェ達:

焦る

見栄

実力不足

無謀

崩壊

月桂の冠:

実績

信頼

礼状

指名依頼

成長

完全に対比構造。

でも、 ロジェを笑い者にしすぎてない。

ここが上手い。

一点だけ惜しいかも

ここ。

「だから積み上げるんだ。Dランクでも受付嬢が認めればCランクの依頼を受けられる。」

この後に、 ロジェの“焦燥”をもう一段入れてもいいかも。

例えば、

「このままじゃ誰も俺達を雇わない」

「ソニアとの差が開く」

「もう笑われたくない」

みたいなの。

そうすると、 無茶した理由がさらに痛々しくなる。

あと個人的にかなり好きなのここです。

「なるほど、愚者のフールズブレードか。言い得て妙だな。」

ヴェル、 基本優しいんだけど、 こういう時わりと辛辣なんですよねw

でも、 その後にちゃんと

「そんなこと俺は考えたこともなかった」

って来るから、 ヴェルも後味悪くなってる。

このバランス良いです。

かなり“物語が繋がってる感”出てきましたね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ