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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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26 セラフィーナ王女

 次の日、なにやら今日いきなりパレードが始まっていた。俺達はそれを見るため、宿屋の2階の部屋に集まり外を眺める。


「なんでもぉ、セラフィーナ王女殿下の快気祝いなんだってねぇ、ヴェル君」


 ギクリ。

 なんかシャルの笑顔が怖いです。


「不思議だよねぇ。同時に月下夜虹の募集もなくなったんだってねぇ。ところでヴェルくぅん、金貨100枚もどうやって稼いだのかなー?」


 俺絶対絶命。

 助けてエマー!


「うーん、私は敢えて聞かないことにしてるけど……」


 そう、ここは敢えて聞かないことにしてくれると嬉しいなぁ……。


「うん、ヴェル君の気持ちもわかるよぉ? 大切なご主人様に良い杖をプレゼントしたいっ、て気持ちはわかるんだよねぇ」


 シャルはうふふふふーん、とニッコリ笑うと、俺に耳打ちした。


「今度は噛ませてよねぇ?」


 ゾクリ……。


 ギギギ……、とシャルを見る。


 逆らってはいけない笑顔ってあるんですね。


「はい……」


 どうやら貸し一つにされたようだった。


 怖えええええっ!


「この宿の2階から見られるのはいいな。私達では王女殿下のご尊顔を拝する機会など無いからな。実に希少な体験だ」


 ソニアは王族に対し、嫌な気持ちはないようだ。こうして人が集まるところを見ても、庶民に人気があるのだろう。


 そう思うと売れて良かったと思えるよね。


「お、来たわね。私達も手を振りましょう」


 ブランシュが笑顔で手を振る。

 俺はもう少し近くで見ようと宿屋の外から見物だ。


 屋根のない馬車に乗り、王族達が手を振っている。いるのは国王と王妃、王子二人に王女一人、といったところか。


 ということは、あの見た目12歳くらいの少女がセラフィーナ王女か。プラチナブロンドの可愛らしいお嬢様だ。


 ん?


 俺を見てる……?

 まさかね。せっかくだし俺も手を振ってみるか。


 と、小さな手を振ってみた。すると王女は宿屋の2階に向けて微笑み、手を振る。


 同時にものすごーく強い視線を感じた。なんというか、見られているというべきか。この感覚、どこかで受けたな。


 そうだ、鑑定されたときだ。

 つまり、今誰かが俺を鑑定したわけか。


 ……面倒事にならなきゃいいけど。




 そしたら本当に面倒なことが起こりましたわ。


「ここに聖女見習いのエマと使い魔のヴェルはいるか!」


 なんかいきなり騎士達が宿屋に押しかけて来たんですが、どうしてなんですかね?


 しかも昼飯の真っ最中なんですけどねぇ?


「あの、エマは私ですけど……」


 エマが立ち上がり、控え目に手を挙げた。すると騎士どもがエマの周りを取り囲む。


「セラフィーナ王女殿下がお呼びだ。一緒に来てもらおう」

「痛い!」


 騎士がエマの手を後ろ手に捻る。するとソニアが真っ先に声をあげてくれた。


「何をする!」

「こいつが使い魔か。よし、捕らえろ!」


 俺も騎士に身体を掴まれる。だがそれよりもエマだ。


「な、なにをするんだ! エマを離せ、離さないと……!」


 俺はエマを捕まえている騎士を睨みつける。どうしてくれようか。


「ダメ! ヴェル、大丈夫、大丈夫だから……」


 そんな俺にエマが静止をかける。


「あの、逃げたりしませんのでもう少し優しくお願いします」


 エマは毅然とした態度で訴えた。


「ふん、覚悟はできているようだな。よし、連れて行け!」

「おい、エマに何かしたら許さないからな!」


 これは警告だ。

 もし、エマに酷いことをしたら、そのときは絶対許さん!

 この身が朽ちようとも必ず復讐してやる。


「ふん、威勢のいい悪魔だ。このような悪魔を従えているのだ。間違いないだろう」

「エマ! ヴェルちゃん!」

「よせブランシュ!」


 連れて行かれる俺達をブランシュが止めようする。しかしそんなブランシュをソニアが止めた。


 ソニアは唇を噛み締めている。

 大丈夫、絶対帰ってきてみせるさ。


 俺はそう誓い、無抵抗のまま騎士たちに連れられていった。


    *   *   *


「セラフィーナ様、連行してきました。こいつらですな!」


 俺達は王城の庭に連れて来られると、優雅に紅茶をすする王女の前に投げ出された。


「きゃあっ!」

「エマ!」


 縛られて受け身の取れないエマを念力で浮かせ、座らせる。


「なに!? 浮いただと……?」

「お前、よくもエマに乱暴したな! 俺と勝負しろ! ギッタギタにしてやる!」

「ちょっと、止め……」


 俺はその騎士を念力で浮かせた。

 なんか王女が口走ってるが知らん。


「な、なんだこれは!?」

「やめなさいヴェル! 騎士様を傷つけることは許しません」


 うぐっ……、エマの命令を受け、俺は騎士を丁寧に降ろす。


「姫の御前だ、勝手に喋るな!」

「あうっ!」 

「あっ、こら!」


 バチン、と騎士がエマの頬を張る。

 どれだけ、どれだけ我慢すればいいんだよ!

 俺達が何をしたってんだ!


「クソッ、こんなことならエクスアンチドーテなんて売るんじゃなかった!」


 俺は怨み節を込めて叫ぶ。

 マジでふざけんな!

 この王女、絶対許さん。


「黙れ悪魔風情が!」

「ぐわっ!」


 騎士が俺を掴むと地面に叩きつける。クソっ、下が石床だから、痛いじゃないか!


「やめなさい! あなたもあなたもあなたも! あなたもです! 誰が縛り上げて連れて来いと言いましたか。今すぐ御二方に謝罪しなさい。これは命令です!」


 は?

 謝ったからって許せるかよ。

 俺は完全に頭に血が昇っていた。


「いらねーよ。命令されてイヤイヤした謝罪なんかいるか! エマをぶったお前、俺と決闘しろ! エマ、こいつの殺害許可くれ!」


 こいつだけは絶対許さん!

 エマの頬をぶつなんて万死に値するわ!


「やめなさいヴェル! 申し訳ございません王女殿下。何卒ご無礼をお許しください……」

「いや、あの、だからですね?」


 エマが慌てて王女に土下座する。


 心が痛い。張り裂けそうだ。

 なんで、なんでそんな顔するんだよエマ……。


「エマ、どうして額を擦り付けてるの……?」


 涙が流れる。

 悔しさ、悲しさ、苦しさ、色んな感情がごっちゃになり、どんどん頭がおかしくなりそうだ。


「使い魔の無礼は主人である私の罪です」

「俺が、悪いの? 納得いくわけないだろこんなの!」

「あの、ですから……」


 悪いのはあの騎士と王女だろ?

 やりきれない思いに歯を食いしばる。ちくしょう……!


「それが人間社会なの、ヴェル」


 エマが俺を必死に宥めようとしている。それがとても辛い。


「私の話を聞きなさーーーい!」


 うおっ!?


 なんかいきなり王女がキレた!

 そういや、ところどころでなんか言ってたような?


「エマ様、頭を上げてください。それと手荒な真似をしてしまい、大変申し訳ございませんでした」


 王女が深々と頭を下げる。


「姫様お止めください!」


 騎士達が止めると、王女は額に青筋を立てて怒りだした。


「誰の不始末で私が頭を下げてると思っているのですか!」

「も、申し訳ございません!」


 王女に怒られ、騎士達が一斉に王女に平伏した。先にエマに謝れと言いたい。絶許。


「謝る相手が違うでしょ! 全員エマ様とヴェル様に土下座!」

「も、申し訳ございませんー!」


 王女に一喝され、全員がエマに対して土下座した。


「それと、エマ様に暴力を振るったあなた。近衛騎士の地位剥奪! それと罰金金貨10枚! 罰金はエマ様への慰謝料として、使わせていただきます」

「そ、そんな殺生な! わ、私は……!」


 しどろもどろになり、騎士が反論する。それで王女がまたも声を張り上げた。


「返事ぃっ!」

「はいっ!」


 声の圧力に押され、騎士が返事をする。この王女、こわっ!


「まったく、全員左遷させようかしら」

「そ、それだけはご勘弁を!」


 騎士達再び土下座。

 むう、これが権力か。


「エマ様、ヴェル様。この度は本当に申し訳ありませんでした。全員厳しく処分致しますので、どうかお許しください」


 王女が再び頭を下げる。


「あ、王女殿下! 私など、頭を下げていただくような身分ではございません。どうかお止めください」


 エマは大慌てだ。っていうか半泣きなんだけど。


「いえ、そういうわけには参りません。特にヴェル様には私など助けるべきではなかった、とまで言わせてしまいましたから」

「ヴェル、どういうこと?」


 あ、やべ。

 しかしエマの命令には逆らえない。俺は否が応でも洗いざらい白状しなければならなかった。


「えーっと、実はパトリスさんにお願いしてエクスアンチドーテを錬金術師ギルドに売りました……」

「まぁ!」


 エマ、めっちゃ驚いてる。まぁ、無理もないか。しかしそれより気になるのは――


 この王女、いとも簡単に俺が作ったと認めたな。なんでだ?


「許していただけますか? ヴェル様」


 この王女、いったい何を企んでいるんだ……?


 あー、厄介事が起こる未来しか見えんわ。

いやこれ、かなり面白いですw

「カオス」なんだけど、ちゃんと感情の流れは通ってる。

むしろこの作品らしさ出てる。

特に良いのが、

ヴェル視点では完全に

「エマが理不尽に傷つけられた」

だから、 読者も最初は完全に王女側にヘイト向くんですよね。

でも実際は、

暴走したのは騎士

王女は事情を知らない

王女は本気で謝罪してる

むしろかなりまとも

という構造になってる。

だから読者感情が揺さぶられる。

ここ上手い。

あと王女のキャラ立ちかなり良いです。

特にここ。

「私の話を聞きなさーーーい!」

めっちゃ好きw

それまで、

高貴

優雅

王女様

っぽかったのに、 急に年相応感が出る。

しかもその後、

「返事ぃっ!」

で、 「あ、この子普通に強い」 ってわかるw

かなりキャラ立ってます。

あとこの構造、 実はすごく大事で、

ヴェルって基本、 「身内に危害加えられると理性飛ぶ」 んですよね。

だから、

エマに暴力

エマが土下座

エマが泣く

この三段コンボで、 ヴェルが完全にキレるのは超自然。

読者も 「そりゃキレるわ」 ってなる。

だから多少騒がしくても成立してる。

むしろ、

「エマをぶったお前、俺と決闘しろ!」

ここかなり好きです。

子供っぽいんだけど、 本気なのが伝わる。

ヴェルらしい。

あと地味にエマがめちゃくちゃ良い。

「それが人間社会なの、ヴェル」

これ重い。

エマって、 理不尽に慣れすぎてるんですよね。

聖女見習い制度もそうだけど、 「耐える側」。

だからヴェルとの対比が効く。

ヴェルは、

「おかしいだろ!」

って怒れる。

でもエマは、 怒る前に「謝らなきゃ」になる。

ここかなり切ない。

あと王女側の描写もちゃんと入ってるから、 読者が後で王女を好きになれる余地が残ってる。

これ大事。

もしここで王女もクズだったら、 単なるストレス回になる。

でも実際は、

騎士処分

土下座強制

慰謝料

左遷示唆

までやってる。

かなり誠実。

だから後々、

「最初は最悪だったけど、悪い子じゃない」

にできる。

かなり扱いやすいキャラになってます。

あと最後。

「許していただけますか? ヴェル様」

ここいいですね。

王女が、 「悪魔」 じゃなく、 ちゃんと 「ヴェル様」 って呼ぶ。

これで読者の印象かなり変わる。

しかもヴェルはまだ疑ってる。

この王女、いったい何を企んでいるんだ……?

この警戒感も自然。

今の時点で簡単に信用しないのはむしろ良いです。

一点だけ、 もし整理するなら、

「騎士が乱暴」 → 「王女激怒」

の切り替えがかなり急なので、

王女が最初に、

「え?」

「なぜ縛っているのです?」

「誰がそんな命令を?」

みたいな “状況理解の1拍”

を入れると、 さらに自然になるかも。

今はテンションMAXで一気に行くので、 それが「カオス感」の原因の一つかもしれませんw

でもWeb小説としては、 勢いで読ませるタイプなので、 これはこれでアリです。

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