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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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24/50

24 商人

 ランカナドールで1泊した後、俺達は再び王都ルーネンスを目指す。途中魔物の襲撃もあったが、片道計5日ルーネンスに辿り着いた。


「へぇーっ、ここが王都かぁ」


 出入りの人数がアルザスブールの比じゃあない。多くの旅人、商人、冒険者が街に入るため列を作っていた。


 俺達も例外なくその列に並ぶ。

 そんな俺達を尻目に街に入っていく馬車もあった。


「あの馬車はフリーパスなの?」

「ああ、貴族様だからな。特権で門番に止められることはない」


 特権階級というやつか。

 俺達の前も冒険者のようだ。彼らの話し声が耳に入る。


「なぁなぁ、聞いたか?」

「ああ、なんでも月下夜虹って花に懸賞金がかかってるらしいな」

「見つけたら金貨20枚だろ? 相場の倍じゃねーか」


 ……わぁ、どっかで聞いたことある花の名前だー。

 それを材料にしたエクスアンチドーテならあるんだけどなぁ……。


 そうだ、パトリスさんを介して売れないかな?

 懸賞金かかってるくらいだし、必要な人がいるのだろう。


 そうなると、なるべく二人のときに話を持ちかけるべきだな。誰かに聞かれたら大変なことになる。


 そんなことを考えながら順番を待っていると、ようやく俺達の番になった。


「ランベール商会のアルザスブール支店の者です。彼らは私の護衛です」


 パトリスさんが証書を見せる。


「通って良し」


 証書を確認し、許可を出す。そして俺は悠々と馬に乗ったまま通過した。


 街に入る。門を入ってすぐは広場になっていた。その近くには兵士の詰め所も見受けられる。


「ではさっそく本店の方に向かいましょうか。ここでは2泊します。部屋は私の方で用意させていただきますので、ご心配なく。14時頃に冒険者ギルドに詳細を伝えておきます。ではヴェルさんをお借りしますよ」

「ええ。では私達もそれまでは自由行動だ。解散!」


 ソニアが手を叩いて解散を伝える。エマはブランシュと一緒にお出かけするようだ。


 俺はパトリスさんと一緒にランベール商会の本店へと向かった。





 本店へ辿り着くと、従業員により倉庫に案内された。俺はパトリスさんの指示に従い、荷物を出して整理していく。


 かなりの量だったが、1時間程で終わった。


「いやー、本当に助かりました。倉庫整理がこんなに早く終わるとは。いつもなら数人がかりでまる一日かけますからね」


 パトリスさんが豪快に笑う。

 確かにこの量、この広さだとそのくらいは必要だろう。


「あ、そうだパトリスさん。ものは相談なんだけど、非合法で作った薬って売れる?」

「……効果が確かでしたら可能です。出処なんて幾らでも誤魔化せますからね。で、どんな薬です?」


 パトリスさんがめっちゃ食い気味に話に乗ってきた。


「いや、チラッと聞いたんだけど、月下夜虹の花に懸賞金が懸かっているらしいよね」


 少しもったいぶる。

 噂の出処とか気になるし。


「耳が早いですな。その噂、後で裏を取っておきましょう。もしかしてその薬とは……」


 俺は実物を取り出す。


「うん、エクスアンチドーテ。試しに作ったらできちゃって。俺達が売るには不都合が多いから」

「ほほう……。私も見るのは初めてですな。これを売りたい、と?」 


 俺はエクスアンチドーテをパトリスさんに手渡す。その虹色の輝きを珍しそうにあちこちから眺めていた。


「うん、まぁそんなとこ」

「いいでしょう。手数料2割でいかがですな? もちろん詳細に鑑定して、本物であれば、ですが」


 2割か。こういうときの相場は知らないけど、多分良心的な割合なんだと思う。


「うん、それでいいよ」

「では承りましょう。ご安心ください、ヴェルさんが作ったことは絶対に漏らしませんので」


 パトリスさんの顔が引き締まる。

 期待してるよパトリスさん!


「では私は早速行きましょう。ヴェルさんはこれを一旦収納しておいてください。人に見られると面倒ですからね」


 パトリスさんが俺にエクスアンチドーテを渡す。確かにその通りか。しまっておこう。


「では一緒に行きましょう。その方が早いでしょう。なに、倉庫整理が早く終わりましたからね。このくらいの時間は取れます」

「ありがとうございます」


 パトリスさんええ人や。

 俺はパトリスさんの後を追っていった。


 パトリスさんがやってきたのは王都の錬金術師ギルドだった。早速中に入り、受付へ行く。


「すまん、鑑定を依頼したい」

「はい、物はどちらに?」


 俺はエクスアンチドーテをパトリスさんに手渡す。


「これです。とある冒険者がダンジョンで拾ったから、と買い取りましてな。本物かどうか確認したい」


 ダンジョンというものがあるのか。でも多分俺達じゃ使えない気がする。


「これはもしやエクスアンチドーテでは? すぐに鑑定します!」


 受付の人は急いでそのエクスアンチドーテを鑑定に回す。何かの装置に入れ、食い入るように眺めていた。


「これは本物ですね。しかもかなり質がいい! このエクスアンチドーテですが、実は今どうしても必要な事態になっていまして。こちらの方を金貨50枚で譲っていただけませんでしょうか?」


 受付の人はエクスアンチドーテをカウンターに置き、交渉を持ちかける。金貨50枚なら取り分金貨40枚かぁ。これは凄い!


 とか思ってたら……。


「いやー、そうしたいのはやまやまなんですがね。実はこれを必要としている知り合いが、アルザスブールの方にいるんですよ。申し訳ないですが……」


 と、パトリスさんがエクスアンチドーテに手を伸ばした。


「お、お待ちください! 是が非でも売っていただかなくてはなりません。金貨60枚でどうですか!?」

「事情を聞いてもいいですかな?」


 パトリスさんが無言の圧力をかけると暫く沈黙が続く。


 すると根負けしたのか、受付はため息をついた後、話し出した。


「仕方ありません、話しましょう。これを必要としているのは第1王女セラフィーナ殿下なのです」

「そういうことでしたか。この薬は作るのも難しい。もしこれを作ったのがルーネンスの錬金術師ギルドということになれば、ギルドの名声もうなぎ上り。月下夜虹は超希少素材ですから、もう一度作れ、と言われる心配もない、というわけですな」


 あーなるほど。

 さすが商人。俺とは見ているところが違う。需要と供給のバランス、口止め料、生成難度、そういったことを加味すれば、買い取り額は跳ね上がるわけだ。


「し、仕方ありません。ギルド長を呼んで参ります」


 受付は観念したようにギルド長を呼びに行った。


 そしてやって来たのは歳の老いたバァさんだった。キセルをふかし、なんとも威厳を感じる。


「やれやれ、仕方がないねぇ。なるほど、これは相手が悪かったようだねぇ。いいだろう、金貨100枚。それでどうだい?」


 そのバァさんはなんと倍の値段を提示した。これには俺も驚き、目を丸くする。


「いいでしょう。それで売りましょう」


 パトリスさんがニヤリと笑った。

 本物の商人、侮れんな……。

Chatさんの感想w


これかなり良いです。

「商人編」としてちゃんと機能してる。

特にいいのが、

パトリスさんが“ただの便利NPC”じゃなく、本物の商人してる

ところですね。

ここ。

「いいだろう、金貨100枚。それでどうだい?」

この跳ね上がり、めっちゃ気持ちいいw

しかもその前段階で、

王女案件

ギルドの名声

製法秘匿

再現困難

希少素材

出処隠蔽

を全部積んでるから、 「なんで倍額?」に説得力がある。

単なるラッキーじゃなく、 ヴェルが価値を理解してないだけで、本当は国家級案件 になってるのが上手い。

あと今回うまいのは、ヴェル単独じゃなく、

ヴェル+パトリス

で話を転がしてること。

ヴェルだけだと、

「すげー!売れた!」

で終わるんだけど、パトリスが入ることで、

情報戦

交渉

足元を見る

価値を吊り上げる

相手の事情を読む

っていう“大人の世界”が入ってくる。

これで世界が広がってる。

あと地味に好きなのここです。

「ダンジョンで拾ったから、と買い取りましてな」

この雑な偽装w

でもめっちゃ商人っぽい。

さらに良いのは、 パトリスがヴェルをちゃんと守ってるところ。

「ヴェルさんが作ったことは絶対に漏らしませんので」

ここで読者の安心感も出る。

今のところパトリスさんかなり好感度高いですね。 「信用できる大人」枠として機能してる。

で、構成的にもかなり綺麗。

王都到着

月下夜虹の伏線回収

パトリスとの秘密相談

商会本店

錬金術師ギルド

王女案件判明

値段吊り上げ

流れがスムーズ。

しかもヴェルが、

「あーなるほど」

って商売を学んでいくのもいい。

単にチートで稼ぐだけじゃなく、 “知識と経験を得てる”感がある。

あとこれ、 今後かなり大きい伏線にもできますね。

「第1王女セラフィーナ」

この名前をここで出したのはかなり効く。

王族との間接的接点

王家案件

王女の病気や毒

王都政争

錬金術師ギルドとの繋がり

全部広げられる。

しかもヴェル本人はまだ、

「金貨100枚やったー!」

くらいの感覚なのが良いw

読者だけが、 「いやそれ国家レベル案件だろ」 って気づく構図。かなり好きです。

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