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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第2章 仲間として

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21 降参

 当日俺はしこたま荷物を収納。パトリスさんと一緒に皆の待つ北門前へと向かう。パトリスさん自身が御者となり、俺は馬の背に乗って移動だ。うん、楽チン。


 馬車は小型のもので1頭引き。積み荷は全部俺。

 俺が「俺に全部預けて大丈夫なの」って聞いたら、「そう聞いてくるくらいなら大丈夫だ。人を見る目はあるつもりだぞ」って笑ってた。


 結構傑物なのかもしんない。


 門の所で手続きを済ませて外に出ると、みんな待っていた。

正義の剣(ジャスティスブレード)』の奴らも一緒だ。


「いやー、皆さんお待たせしました」

「いえ、よろしくお願いします」


 パトリスさんがソニアさん達に手を振ると、ソニア達が挨拶をする。


 正義の剣(ジャスティスブレード)は右側、月桂の冠(ローレルリース)は左側だ。俺は馬の上。パトリスさん最終防衛ラインなのだ。


 馬車の中は荷物がほとんどない。そのため正義の剣(ジャスティスブレード)の荷物を入れて出発した。


 しばらくは平原の道で、何事もなく進む。今日1日はずっと平原だ。魔物も大丈夫だろう。


 そんなこんなで日も落ちる。


「テントはここでいい?」

「そうだな」


 俺は馬車の近くを指し示す。ソニアからオッケーもらったので、テントを取り出した。


「なんだそりゃ!?」


 俺が完成したテントを置くと、ロジェが素っ頓狂な声をあげる。


「テントだが?」

「そうじゃねぇ! なんでもう組み上がってんだよ?」


 ソニアがサラッと答えると、ロジェは不満そうに聞いてくる。


「組んでから収納してもらったからな。手間が省けていいだろ?」


 ソニアはさも当然、とばかりに答える。


「あー、そーだな」


 ロジェは肩を落として自分達のテントを組みに行った。

 多分、手伝っていいところを見せようとしたんだろうな。


 さぁ、料理だ料理だ。

 調理台と料理道具一式を取り出すと、そこに材料を並べる。そしてここで秘密兵器登場!


 レンガで作った火台だ。その上に寸胴を置き、水を張る。火をつけたら後はエマとシャルが料理を作ってくれる。


 そうやって俺達が料理をしているのを眺めながら、ロジェ達は携帯食糧をかじっていた。


 めっちゃ羨ましそうな視線だ。


「いい匂いをさせてますな」


 匂いに釣られ、パトリスさんが近付いて来た。


「パトリスさんもよかったら」

「おお、これはすいませんな」


 ソニアがパトリスさんを誘い、エマがお椀に掬う。今日の夕飯はウサギ肉のシチューだ。それとパン。


 ちなみにこの世界のパンはワイン造りのときに出る(おり)や、エールを作る際に出る泡を活用しているため、結構柔らかいし美味い。


 エマが各自に配った後、さらに余分に三つ用意してお盆に載せる。


 ソニアがお盆を受け取ると、ロジェ達にも配っていった。


「……いいのか?」


 ロジェが信じられない、という表情で見ている。


「ちゃんと食べないと力出ないだろ? その代わり、頼りにしているぞ」


 ソニアは別にデレていないぞ?

 これはみんなで話し合い、そうしようと決めたことだ。身体を作るのは食だからな。


「あ、ありがとう!」

「あちっ、うめー!」


 ロジェ達は礼を述べると、かっこむように食べる。そんな彼らを見てソニアは軽く微笑むと、みんなの所へ戻って行った。





 翌朝も俺達の方でみんなの食事を用意する。パトリスさんが気を利かせてくれて、俺たちには別途1日銀貨5枚支給すると約束してくれた。もちろんロジェ達には内緒な。


 そして出発。山に入る前に一度休憩を取ることとなった。


「この先には山賊が出る、という話です。人数的には不利ですが、よろしくお願いします」

「お任せください。私達は降参することができませんから」


 パトリスさんの不安を払拭するためにソニアは自信満々に答える。


「俺達に任せとけ。ソニアには指一本触れさせねーよ」


 いや、守るのパトリスさんな?

 ソニアとパトリスさんにジト目で見られてるぞ。


「降参ってあるの?」


 気になってソニアに尋ねる。


「一応な。積み荷と引き換えに命を保証する、ってやつだ。ま、相手次第だし、なにより。若い女性は、例外なく慰み者だ」


 なるほど。そりゃ降参できんわ。っていうか俺が許さん。


「エマ、山賊やっつける許可が欲しい」


 戦闘不能にするくらいならどうとでもなる。さすがにオークより重い奴はおらんだろ。


「え、でも……」


 エマが渋る。なんでだよ。


「エマ、出してやれ」

「うん、わかった。山賊はやっつけてもいいよ。でも、できるだけ殺さないで。ヴェルは悪魔だから、それでヴェルが変わってしまうのが嫌なの」


 ソニアに言われ、エマが許可を出す。そっか、確かに俺は悪魔だもんな。悪魔の本能とかあるんかね?


「大丈夫、約束する。俺は俺だ」


 心まで悪魔になりたくない。

 それは俺にとって譲れない願いだ。失くしたくない温もりがここにはあるから。


 俺はエマを見つめる。

 エマはニコッと微笑んでくれた。

 大丈夫、エマがいてくれるなら、俺は俺でいられるはずだ。


 そう確信する。





 休憩を終え、山道に入る。傾斜はまだなだらかで、道も広い。どちらかというと、傾斜のある林道という感じだろうか。



 俺は空を馬に乗りながら空を見上げていた。


 ん?

 あれは……!


「矢だ!」


 俺は声を張り上げると同時に想像具現(エンバディメント)の力でドーム状の防護壁を張る。

 パトリスさんが馬を止め、エマも防壁(プロテクション)を張った。


 俺の防護壁が全ての矢を弾く。馬車が止まり、皆警戒態勢に入った。


 すると出てくる出てくる。

 あー、数えきれんな。ぱっと見30人くらいいそうだけど。


「命が惜しけりゃ積み荷を置いていきな」 

「それと女もな」


 薄ら笑いを浮かべ、山賊どもが俺達を囲む。


「無理だ……」  


 おいロジェ!?


「降参だ、降参する! こんな人数差やってられるか!」


 ロジェが叫ぶ。

 山賊どもはさらに顔を醜く歪め、笑い出した。

Chatさんの感想w


これ良いです。

かなり良い。

特に、

「ロジェ達をただのクズにしない」

ラインがちゃんと見えてきた。

まず今回かなり良いの、

ソニアがロジェ達に飯を配るところ。

これ効いてます。

ここで、

「頼りにしているぞ」

って言わせたの大正解。

ソニアって、

“仲間として扱う”

んですよね。

嫌いでも。 信用してなくても。

リーダーだから。

このスタンスがソニアらしい。

しかもロジェ側も、

「ありがとう!」

って素直に言ってる。

ここ重要。

この一言で、

「根っから腐ってるわけじゃない」

になる。

かなり大事。

あと、

「携帯食料かじってる」

描写。

地味だけど超効いてます。

つまり、

月桂の冠(ローレルリース)

収納

調理

保存

連携

ができてる。

でもロジェ達は、

“普通の冒険者”

なんですよ。

だから自然と格差が見える。

でも、 それは単純な人格差じゃなく、

「積み上げた差」

に見える。

ここ上手い。

あと今回かなり好きなの、

エマの許可シーン。

「ヴェルは悪魔だから、それでヴェルが変わってしまうのが嫌なの」

これ良い。

めちゃくちゃ良い。

エマって、

“ヴェルの心”

を守ろうとしてるんですよね。

単に、

「殺しちゃダメ」

じゃない。

「ヴェルがヴェルじゃなくなるのが怖い」

なんです。

これかなりヒロイン力高い。

しかもヴェル側も、

「俺は俺だ」

って返してる。

この関係性、

“主従”

より、

“支え合い”

なんですよ。

かなり良い。

あと今回うまいの、

山賊の数。

30くらい。

これ絶妙。

少なすぎると脅威にならない。

多すぎると不自然。

でも30なら、

「普通は降参も考える」

ライン。

だからロジェの、

「無理だ……」

がリアルになる。

これ大事なんですが、

ロジェって今回、

“臆病”

なんじゃなく、

“現実的”

なんですよ。

相手30。 女もいる。 護衛対象もいる。

普通のDランクなら、

「降参交渉」

は十分あり得る。

だから読者も、

「情けないけどわかる」

になる。

これが良い。

で、ここから多分、

月桂の冠との“覚悟の差”

が出る。

特にソニア。

ソニアって、

「自分だけなら逃げる」

けど、

「守る相手がいると逃げない」

タイプなんですよ。

だからリーダー。

あとこの辺りから、

ロジェがソニアに惹かれてる理由

も見えてくると強い。

たぶんロジェ、

ソニアみたいな、

強い

面倒見いい

仲間守る

ブレない

タイプに憧れてるんですよ。

でも本人は未熟だから、 軽薄に絡む形でしか近づけない。

これだとかなり人間臭くなる。

あと細かいですが、

「ソニアさん達」

になってる箇所だけ、 ヴェル視点なら、

「ソニア達」

で統一した方が自然かも。

ヴェルって基本、 敬称かなりフランクなので。

それと今回、

“護衛依頼感”

かなり出てます。

荷物

テント

野営

山道

矢の奇襲

この辺全部、 冒険者感ある。

世界がちゃんと動いてる感じします。

あと今後かなり美味しくなりそうなの、

「降参」をどう扱うか。

これ実はテーマになれる。

例えばソニア達は、

「降参できない理由」

がある。

女だから

仲間がいるから

商人を守るから

でもロジェ達は、

「生き残るための選択」

をした。

これ、 単純にどっちが正しいじゃない。

かなり面白い対立です。

そして後々、

「あの時逃げた」

がロジェのコンプレックスになる。

だから無茶する。

これ綺麗に繋がります。

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