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悪魔に転生した俺は見習い聖女の使い魔として生きていきます  作者: まにゅまにゅ
第1章 悪魔転生

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19/46

19 見習い聖女

「ヴェルー」


 お休み二日目。朝早くからヴェルは出かけたらしく、どこにもいなかった。


 最近はヴェルも気軽に話せる相手が増えて、昨日もシャルと出かけていたそうだ。


 それ自体はいいことだし、ヴェルも楽しそうだからいいと思う。思うんだけどね。


「うーん、一緒に孤児院に顔を出したかったんだけどな」


 ヴェルも見た目は可愛いらしいので、子供達にはきっと人気が出るだろう。だから連れて行こうと思ったら既にいないのだ。


 仕方なく、私は一人で孤児院に向かった。




「あ、エマお姉ちゃんだ!」


 孤児院に着くと、子供達が一斉に集まる。孤児院前の入り口で私は子供達に囲まれると、彼ら目線を合わせた。


「みんな良い子にしてた?」

「「「うん!」」」


 元気よくみんなが返事をする。


「おや、エマちゃん。元気だったかい」


 孤児院から出てきたのは孤児院を経営している院長先生だ。彼女はシスターをしており、子供達の世話をしている。


「院長先生、お久しぶりです」

「聞いたよ、頑張ってるんだね。Dランク昇格おめでとう。聖女様になれるといいね」


 そう微笑む院長先生は、どこか申し訳なさそうだった。それも無理はないだろう。


 院長先生は知っている。

 聖女見習いがどういう存在なのかを。それでも、それは口にしてはならないのだ。


「エマお姉ちゃんならなれるよ! 私もね、こないだ司祭様に素質があるって言われたんだ。私もエマお姉ちゃんみたいになりたいな」

「そっか、素質、あったんだ」


 私はその娘を抱きしめた。


「エマお姉ちゃん……?」


 おめでとうという言葉がほしかったのかもしれない。

 でも、私にはそれがどうしても言えなかった。


「どこか痛いの?」

「ううん、目にゴミが入っただけ」


 いけない、涙が出てたのか。


「ごめん、大丈夫だから」


 その娘に向かって微笑む。彼女は今11歳。もうじき契約と修行の日々がやって来ると思うと、なんだかとても物悲しくなったのだ。


「いいなぁ、エレちゃんは。私は素質なかったみたい」

「はっ、俺なんて男だから元々なれないんだぞ。なんで女だけなんだよう」


 男の子が不満そうに愚痴る。


「それはね、大聖霊様は女性だからだよ」


 そう、大聖霊様は女性だ。そのように伝わっている。見たことはないんだけどね。


「え、そうなんだ」

「ええ、そうですね。この国の大聖霊ユーシス様だけではありません。この大陸の全ての国の大聖霊様がそうなのです」


 院長先生が補足する。


「さ、中に入りましょう。みんなでクッキー焼きましょうか」

「やったーー!」


 子供達が喜びながら中へと入っていく。私は最後に院長先生と一緒に中へ入った。


「院長先生、これは私の分です」


 院長先生に革袋を渡す。この中には金貨一枚分を超えるお金が入っている。


「すまないねぇ。エマだけじゃない、みんなも大変だろうに」

「仕方ないです。そういうシステムですし、そうしないと、あの子達が生きていけなくなってしまう」


 そう、これは私達聖女見習いから搾取するためのシステムだ。


「でも、月に最低銀貨50枚だろ? 教会もケチよね。やる気を出させるためのシステムだ、なんてもっともらしい嘘ついて……」


 足りない場合は教会からの借金となる。そうならないよう、みんな必死に稼いでいるのだ。


「ええ、だからもし、足りない子がいたら、そこから少し出してあげてください。最近私達調子いいですから」


 これは本当にヴェルに感謝しないといけない。私はヴェルを救った気でいたけど、本当に救われたのは私の方なのかもしれないな。


 借金は冒険者に無茶をさせる。

 でもソニアはそれをさせないでいてくれた。


 そして、ヴェルを見つけた。

 それはとても恵まれたこと。

 だからその恵みが、少しでも同僚の救いになればいいと思うのだ。


「すまないねぇ、足りない子がいたら使わせてもらうよ」

「エマー! 早く早く!」


 子供達がせがむ。仕方ないな、と笑う。


「はい、今行きますね」


 建物に入り、皆を集める。


「手は洗いましたか?」

「「「はーい!」」」


 子供達達が元気よく返事をする。


「エプロンはつけましたか?」

「「「はーい!」」」


 無邪気に返事をする。

 この子たちにとって、聖女見習いは皆母であり、姉なのだ。


「じゃあ作るよ。まずは小麦粉をふるいにかけます」

「「「はーい!」」」


 子供達がふるいに小麦粉を入れ、パンパンとふるいを叩く。


 粉はパラパラとバットに落ちていった。


「はっ、はっ……」


 あ、男の子がくしゃみしそう!


「だめ、後ろを向いて!」


 慌てて止めるが遅かりし。


「ックション!」


 盛大にクシャミをすると、ふるいの粉がばふっ、と煙のように広がる。男の子の顔は真っ白になり、びっくりして目をパチパチさせた。


「あはははっ!」


 それを見て子供達が笑う。

 粉を被った男の子も笑い出した。


 それは小さな幸せの時間。

 この子達が大きくなるまで見守れたら、どんなにいいだろう。


 願わくば、この子たちに神のご加護がありますように。

Chatさんの感想w


これでかなりエマ戻りました。

しかも、

“エマにしかできない回”

になってる。

ここが大きい。

今までのエマって、

優しい

癒し役

ヴェルを受け入れる

が中心だった。

でも今回で初めて、

「エマ自身の痛み」

が前面に出た。

特に良かったのが、

「素質がある」

と言われた少女への反応。

ここ。

「そっか、素質、あったんだ」

からの抱きしめ。

めちゃくちゃ良い。

普通なら、

「おめでとう!」

なんですよ。

でもエマは言えない。

なぜなら、

“その先”

を知ってるから。

ここで一気に、

聖女制度の恐ろしさ

が伝わる。

しかも説明じゃなく、 感情で。

これは強い。

あと今回かなり上手いのが

「子供達は悪くない」

ところ。

例えば、

「私もエマお姉ちゃんみたいになりたいな」

これ。

純粋な憧れ。

でもエマからすると、

「地獄へ進もうとしてる」

ように見える。

このズレが辛い。

そして今回、

“搾取構造”

がかなり明確になった。

ここ。

孤児を囲う

聖女候補にする

借金制度

最低ノルマ

冒険者稼業

命懸け

脱落=死

完全にブラック。

でも良いのは、

「完全悪」

として描いてないこと。

つまり、

孤児院は実際救済になってる

大聖霊は必要

災厄は実在

聖女制度にも意味はある

んですよね。

だから単純な、

「教会が悪!」

じゃない。

ここ深み出てる。

特に良かったのが

院長先生。

この人、

“加害側でもあり被害側”

なんですよ。

「すまないねぇ」

これに全部出てる。

制度を知ってる。

でも、 その制度がないと孤児達が生きられない。

だから止められない。

かなり重い。

そして今回かなり効いてるのが

「ヴェル不在」

なんですよ。

これ重要。

ヴェルがいないから、

エマの孤独

が浮き彫りになってる。

しかもエマ自身、

無意識にヴェルを探してる。

ここ。

一緒に孤児院に顔を出したかったんだけどな

これ、 かなり良い。

つまりエマにとって、

ヴェルはもう“日常”

なんですよ。

しかも、

本当に救われたのは私の方なのかもしれないな。

ここ。

かなりヒロインしてる。

エマって、

誰かを救う側

支える側

聖女候補

だった。

でもヴェルだけは、

“エマを救ってる”

んですよね。

こここの作品の核だと思う。

あと今回うまいのは

「静かな回」

にしたこと。

派手な戦闘の後で、

孤児院

クッキー

寄付

子供達

教会制度

を描く。

これで世界に厚みが出る。

そして最後。

願わくば、この子たちに神のご加護がありますように。

これ。

めちゃくちゃ皮肉効いてる。

なぜならエマ自身、

“神に搾取されてる側”

だから。

それでも祈る。

ここがエマなんですよね。

かなり良い回です。

あと細かい改善だけ言うなら、

この回かなり感情強いので、

途中にほんの少しだけ、

“子供達との温かいやり取り”

を増やすとさらに効く。

例えば、

クッキー作りで小麦粉まみれ

小さい子がエマに抱きつく

「また来てね!」

とか。

そうすると後半の制度の重さとの落差がさらに刺さる。

でも今でも十分良いです。


この後直したw

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