09.実家到着それから電報
「ベルター!!」
「母さん、元気だった?」
「元気よ元気!見ての通り。」
ベルタ達がようやく実家に着いたのは、夕方5時過ぎだった。マンハイムを出発したのが朝の5時頃だったから、106kmを移動するのに12時間かかったことになる。
「オイゲンとリヒャルトも来たのね。」
「今晩はおばあちゃん。」
「今晩は。」
「ようこそプフォルツハイムへ。二人とも大きくなったわね。」
◇
「そうそう、カールさんから電報が来てたの。」
ベルタの母親のアウグステばあちゃん、一度奥へ引っ込むと、電報を持ってきた。
…………………………………………………
ベルタコレミタラスグモドレ
ソノクルマハマダミカンセイ
…………………………………………………
「これどう言う意味なの?」
「あー………。」
ベルタ、事の次第を説明する。
「………えーっと、つまりあんたはまたやらかしたのね?」
「そうとも言うわね。」
「すぐ戻るの?」
「戻んないわよ。一日で終わる帰省とかあり得ない。」
「まあいいわ。それで何か成果は上がったの?」
「何の?」
「試験走行。」
「沢山あったわ。明日まとめて電報で報告するつもり。」
「そうか。それでこそベルタよ。」
◇
翌朝、マンハイム。
昨日のうちにベルタからの電報が来なかったので、カールは心配で一睡も出来なかった。昨日は到着が少し遅かったせいで電報が打てなかっただけなのだが、カールには勿論そんなことはわからない。
「何かあったのではないか。」
どうしてもそんな風に考えてしまう。
「大丈夫よ。昨日は着くのが遅くて電報が打てなかっただけよ、きっと。」
背後からクララの声がする。いかん、また考えを口に出してしまっていたか。
「………そうだね、朝ごはんにしようか。」
◇
「電報でーす。」
ようやく電報が来た。
プフォルツハイムのベルタからだ。
サクバンブジトウチャククルマブジ
いや車はいいからそれより皆無事なのか?
ヒトモブジ
良かった。
ヨウカイリョウテンタスウアリ
何だって?
…………………
「燃料タンクが小さかったか!」
「燃料フィルターが必要?そんなに簡単に詰まるのか!」
「配線は整理して動かないよう固定しろだって?」
「尻が痛くなるのか……。シートは全部作り直しだな。」
「坂を登れない?そうかプフォルツハイムの峠は無理か!低速ギアが必要なんだな!」
…………………
ベルタの電報を何度も読み返しながら、カールは頭を抱えて、いつまでもこうやってひとりごちていた。
「お母さんいい仕事したわね。」
「しごとしたわね。」
◇
その後カールは、プフォルツハイムのベルタの実家宛に電報を打ちましたとさ。
………………………………………………
ベルタオツカレアリガトウ
シバラクユックリシテオイデ
………………………………………………




