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兄が子犬に伝える言葉たち
いつでもどんな子犬でも、兄にとっては大事で愛しい存在だった。拗ねる様子も自分の感情に正直で良いと思うし、撫でられるままに素直に喜ぶ子犬も可愛い。子犬から何かをしてくれるのが嬉しいし、思いもしない事をするのが楽しい。
「良い子だ」
「可愛いね」
子犬といると、そう言った言葉が口をついて出る。子犬の名前を呼んで、自由奔放に跳ねる赤い髪を撫でる。
兄がいつも向ける笑顔が嬉しくて、子犬も一緒に笑う。子犬は耳が良いから、他の人よりずっと兄の声の良さを知ってた。その声や言葉に込められた感情も。繰り返される言葉に時に面映くて「そんなにかな?」と一瞬思う事もある。けれど兄が言うんだからそうなんだと納得して、照れ笑いを返す。
一つ一つは小さな日常の何気ない言葉だったとしても、兄はそれを丁寧に積み重ねていく。今はまだ迷う事もある子犬にとって、変わらない確かな物となるように。




