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子犬が数えていたものの話
太陽が高くなりお昼の時間が近くなる。お昼になれば町の人達も屋敷の働き手達もみんな休憩の時間で、お茶と焼き菓子で一服する。屋敷のお使いをする子犬も寄り道をしていても、兄と一緒にお茶をする為に、お昼の時間に間に合うようにきちんと屋敷に駆けて戻る。
屋敷の一室では、兄が幼馴染の仕事を手伝っていた。そこにお茶と焼き菓子の載ったお盆を持って、台所で焼き菓子を一つ多くもらってご機嫌な子犬が帰って来る。
「ただいま。お茶持って来たよ」
「ご苦労様。気が利く良い子だね」
兄に声を掛けられて、子犬は入り口で立ち止まって空を見上げ「えっと」と呟く。
「どうした?」
「うーん。何回目か分かんなくなっちゃった」
けれどすぐに「まあいっか」と笑って、お盆を幼馴染の机まで運ぶ。幼馴染は「やあ、ありがとう」と笑顔で礼を言ってから子犬に尋ねた。
「で、何を数えてたんだい?」
「兄いが“良い子”って言う回数。朝から数えてて、30までは行ったんだけど」
「君がいない間も、君の話になると言ってたぞ」
「じゃあ、もう数え切れないや」
諦めて伸びをする子犬としょうがないと言う顔で笑う幼馴染に挟まれて、兄は声を出して笑う。




