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少しだけずれてしまう事
何度も触れ合って重ねて確かめてきたから、兄は子犬の小さな仕種や視線の動き、染まった頬の色味からでも、全部言葉にしなくても子犬が今して欲しい事を殆ど正確に推測出来た。子犬を喜ばせてやりたいから、丁寧に確かめながら子犬を愛撫する。けれどやっぱり時々はずれてしまって、子犬は望んだよりも少しだけ多い刺激に焦った声を上げる。兄が手を止めると子犬は愚図る。
「続けて欲しい?」
こくこくと頷く。
「どんな風に?」
「え」と真っ赤な顔で戸惑う。
きっと、どんな風でも嬉しいと子犬は思う。今だって、驚いて待って欲しかったけれど、止めないで欲しかったとも思う。子犬は兄が自分の気持ちを聞いてくれて嬉しかった。けれど兄みたいに上手く説明出来ないから子犬は気持ちばかり膨らんで、目尻に涙が溢れ出す。




