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頬を撫でる手に頬擦りする話
朝、子犬は出掛ける支度を整えて、「さ、行こう」と言う兄の顔を見上げる。兄は自分を見上げる子犬のよく跳ねる赤い髪を手櫛で梳いて、頬に手を添えて子犬の顔色を確かめる。子犬は兄の大きな手に手を添えて、楽しそうに頬を擦り寄せると手のひらに顔を埋めてしまう。兄は小さく笑って、子犬の顔をこちらに向けようと両手を添えると、子犬は兄に軽く頭突きして胸元にぐりぐりと顔を擦り寄せる。そうして兄の鼓動と体温と匂いを確かめて、いつも通りだ、と子犬は感じる。それから笑って顔を上げると両頬を兄の手に包まれる。視線を合わせると兄はにこりと微笑んで言った。
「今日も元気だね」
「うん」
部屋を出て、くっ付くように並んで歩き出す。




