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子犬が兄を抱き締める話
いつもの朝の決まり事。子犬は兄におはようと撫でられて目を覚ます。おめざを食べて、他の屋敷の働き手と同じように自分達の部屋を掃除する。それから着替えをする。働き手の衣食住は屋敷から提供されるので、子犬も体に合う大きさの服を持っている。その上に、拾われた日に兄がくれた兄の服を羽織る。子犬には大き過ぎるその服は子犬に合わせて直してあった。袖口には装飾があって、それがきれいに見えるようにまつってある。子犬はそうして丁寧に直された袖に腕を通す。
「また背が伸びたな」
冬の終わりにゆとりをもって直してあった丈は、今の子犬には丁度良い長さになっていた。えへへ、と子犬は得意気に笑う。それから両腕を目一杯に広げて兄に抱き付いて背中で手を繋ぐ。
「前よりもっと手が届くよ」
兄も嬉しそうに笑って子犬の背中に両腕を回す。相変わらず子犬は腕の中に収まってしまうけれど、回した両腕の重なりは少し短くなっている。
「うん。抱き締めがいが出てきたな」
子犬は抱き付いたまま兄を見上げて、少し赤い顔をして笑う。




